GMコリアが破産するかもしれない

テクノロジー・業界分析,批評

Chevrolet Aveo

ゼネラル・モーターズ(GM)が、2002年に韓国の大宇(DAEWOO)自動車を買収して誕生したのが、GMコリア(韓国GM)です。
GMコリアは大宇時代の経験を活かし、主に小型車(シボレー・スパークやアベオなど)を生産してきました。

そのGMコリアが窮地に陥っています。
労働組合との交渉が上手く行かなければ、4月中に破産する可能性もあるようです。
しかも怒り狂った労働者たちによる暴力事件まで発生してしまいました。

今回はGMコリアの現状についてお伝えします。


GMコリアの現状

Chevrolet Spark

赤字体質と再編計画

GMコリアは4つの工場(群山、保龍、昌原、扶平区)を有していますが、群山の工場は過去3年近くにわたって稼働率が20%と低水準だったため、再編計画で5月に閉鎖されることが既に決定しています。

再編計画を受けて、16,000人いる従業員の15%にあたる2,500人が、希望退職に同意しました。
さらにGMコリアでは、群山工場に残る680人の従業員の中からも、希望退職者を募ることを検討しています。

また、資金不足を補うために、GMコリアは28億ドルの投資パッケージと、27億ドルのデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を提案していますが、労働組合が従業員の削減と再編計画に応じない場合には、破産を選択するそうです。

暴力事件

苦境に立たされているGMコリアは、従業員へのボーナスの支払いを見送りました。
しかしこれに怒った従業員がCEOの部屋を襲撃し、パソコンや椅子などを破壊し、家具を勝手に持ち出したのです。


GMコリアは警察に事件を報告し、従業員に対し法的措置を取ると声明を出しています。
しかし従業員を取り巻く環境が改善されなければ、今後さらに過激な行為に出る者が現れるかもしれず、予断を許さない状況です。

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Too Big To Fail

GMコリアはGM傘下の一企業ですが、決して小さな企業ではありません。
過去16年間に1,000万台以上の車を製造してきた大メーカーです。

2017年の販売実績を見ても、韓国国内で132,000台を販売していますし、国外に392,000台もの車を輸出しています。
GMコリアが倒産すると、直接的もしくは間接的に20万人の雇用に影響すると言われており、まさに「潰すには大きすぎる」存在なのです。

鍵を握るのは韓国政府か

GMコリアの株式は、77%をGMが所有し、17%を韓国産業銀行が所有しています。
韓国産業銀行は、韓国最大の政府系金融機関です。

GMが再編計画に着手している以上、GMコリアの従業員を救うことができるのは、おそらく韓国政府だけでしょう。
韓国産業銀行を通じて資金を注入するなどしなければ、事態は悪化の一途を辿ると思われます。

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出典・参考サイト

GM Korea Might Go Bankrupt | autoevolution.com

GM Korea Employees Destroy CEO’s Office Over Bonus Cuts | carscoops.com

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