
ポルシェのケイマンGT4といえば、ケイマンをサーキット向けに仕立て直したハイパフォーマンスモデルです。
718型ケイマンにも、GT4がラインナップされます。
981型のケイマンGT4には、3.4L・水平対向6気筒自然吸気(NA)エンジンが搭載されていましたが、新型の718ケイマンは、2.0L(ケイマンSは2.5L)・水平対向4気筒ターボとなったため、718ベースのGT4も、ターボエンジンに変わるのではないかと噂されていました。
しかしポルシェは、718ケイマンGT4でも、NAエンジンを継続採用するようです。しかもマニュアルトランスミッション(MT)が維持されるといいます。
なぜポルシェは燃費や速さを犠牲にしてまで、NAエンジンやMTにこだわるのでしょうか?
今回はその理由と、新型ケイマンGT4のスペック、スパイショットをお届けします。
更新情報
最新のスパイショットを追加し、古いスパイショットを削除しました。また、排気量の値を修正しました。(2019/06/16)
パワートレインの情報を修正しました。(2019/05/10)
最新の動画(2019年4月撮影)を追加しました。(2019/04/14)
スパイショット(2018年7月撮影)と動画を追加しました。(2018/07/28)
スパイショット(2018年5月撮影)を追加し、パワートレインの情報を更新しました。(2018/05/17)
スパイショット(2017年11月撮影)を追加しました。(2017/11/16)
ポルシェがNAエンジンやMTにこだわる理由

サーキットでのタイムを追求するなら、ターボやデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)の方が圧倒的に有利です。
NAエンジンでリッター当たり150馬力を達成するのは至難の業ですが、ターボなら造作もありません。
また、DCTの変速スピードは0.1秒以下であり、人間業では不可能なほど素早い変速が可能です。
ところがサーキット向けのモデルであるにも関わらず、ケイマンGT4はNAエンジンで、しかもMTです。そしてそれを今後も継続します。
新しい911GT3にも、NAエンジン+MTという構成が用意されています。ターボ+DCTのサーキット向けモデルは、頂点に君臨する911GT2のみに限定されているのです。
その理由についてポルシェの
GTプロジェクトを取り仕切るAndreas Preuninger氏は、このように説明しています。
「私たちはスポーツカーエンジンの躍動感やスロットルレスポンスなど、できるだけ多くのエモーションを求める、特別な何かを感じたい人たちに車を提供しています」
「GTは、ほぼ自然吸気エンジンの宗教です。それを恥ずかしがって、成功の頂点で踵を返し、そうする必要も無いのに別の何かを試すことを、私たちは賢明だとは思いません」
宗教だと言い切ってしまうところに、むしろ潔さを感じますね。
ポルシェはタイムを追求したい人にはターボ+DCT、スポーツカーを操る楽しさを感じたい人にはNA+MTという選択肢を用意するという、きめ細やかなマーケティングを行っているのでしょう。
その結果として981ケイマンGT4は、マニュアル・ドライビング・ポルシェに需要があることを明らかにしました。
ニッチな新しい市場を獲得したのです。
日産GT-Rとは対照的なポルシェの考え方
このようなポルシェの考え方は、最速を追求してきた日産GT-Rとは対照的です。

日産GT-Rは、ニュルブルクリンクで911ターボよりも速いことをアピールしてきました。
しかし当のポルシェは、ドライビング・プレジャーを速さだけに限定することなく、あえて手動で操作することの楽しさや、エンジンのフィーリングといった分野にまで拡大し、幅広いユーザー層を取り込む努力をしています。
そのことは718ケイマンGT4のコンセプトからも明らかです。
GT-Rは年間2,000台ほど売れる車種にはなったものの、開発費等をトータルで見ると赤字とのことで、ビジネス的には成功したとは言えません。
フルモデルチェンジしないのも、開発費を回収できていないからです。
一方、ポルシェは911だけで年間3万台以上、ボクスター/ケイマンも年間1.2万台ほどを売り上げており、スポーツカーメーカーの頂点に君臨し続けています。
最速を求める姿勢は間違っていないと思いますが、遅くて高価な車に販売面で負けているという事実を受け入れないと、GT-Rの命脈はいつか断たれてしまうでしょう。
売れない車を作り続けることが出来る自動車メーカーなんて、存在しないのですから。
新型ケイマンGT4の概要
エクステリア
スパイショット
スパイショット(2018年7月)
最新のスパイショット(2019年6月撮影)
動画
ニュルブルクリンクでテスト中の開発車両を撮影した動画です。
かなりテールスライドしています。
意図的にテールスライドさせて何らかの電子制御の効きを試しているのか、それとも開発が難航しているのかはわかりませんが、まだ全開には程遠いようです。
最新の走行動画(2019年4月撮影)
開発も佳境を迎えているのか、ニュルブルクリンクを猛烈なスピードで周回しています。
特にカルッセルの通過速度は圧巻です。
パワートレイン
エンジンは3.8リッター・水平対向6気筒・ガソリン自然吸気です。
このエンジンは718ケイマンGT4クラブスポーツ(レーシングカー)に搭載されているもので、そちらの仕様では425psを発生していますが、市販ロードカーのGT4ではデチューンされる可能性があります。
それでも0-100km/hは4秒程度、最高速は300km/hに到達するでしょう。
スタンダードなケイマンと比較して50kg軽くなると言われているので、その点も加速性能に貢献するはずです。
なお先代の981ケイマンGT4は、385psでした。
ギアボックスはマニュアルが標準ですが、PDKもオプションで用意されるでしょう。
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