マツダの新車情報

ホントに出るのかRX-9

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2016/08/27

Mazda_RX-9_2020

海外サイトを始めとする自動車メディアが、「RX-9の開発が役員会で承認された」と一斉に報じています。しかしロータリー・スポーツの後継機を発売するために、マツダが乗り越えなければならない壁は高いはずです。RX-9、ホントに発売されるのでしょうか?

トップ画像の出典: autoevolution.com

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目次
1.RX-9の概要
1-1.また先送りされた新型ロータリー
1-2.マツダ本社とモータースポーツ
2.ロータリー復活を阻む高い壁
2-1.厳しくなる一方のCO2規制
2-2.水素やHCCIは実現可能なのか?

RX-9の概要

一連の報道のネタ元はホリデーオートのようです。要旨を抜粋すると、

  • 名前の有力候補は「RX-9
  • 新型ロータリーエンジン「SKYACTIV-R」搭載
  • 800cc×2+ターボで最高出力400ps
  • 車重は1300kg以下(つまりパワーウェイトレシオ3.25)
  • バイクのような加速感と最高レベルのコーナリングを目指す
  • 価格は800〜1000万円
  • 2017年の東京モーターショーでプロトタイプを公開
  • その後サーキットテストやスーパーGT(GT300)に参戦
  • マツダ創業100周年の2020年に発売

非常に夢のある話が並んでいますが、いくつかの疑問は残されたままです。以下に疑問点を列挙します。

  1. ロータリーエンジン最大の問題である燃費や排ガス対策はどうするのか?
  2. 2017→2020年と発売が先送りされたのはなぜか?
  3. 今のマツダにレースができるのか?

1に関しては水素ロータリーやHCCIで理論的には解決可能ですが、それらの技術に実現可能性については、長くなるので後段に譲ります。


また先送りされた新型ロータリーの市販化

2は出る出る詐欺なのでは?という疑問です。昨年の東京モーターショーで「RX-VISION」コンセプトを公開したにもかかわらず、次もまたプロトタイプでお茶を濁すというのは如何なものか。発売時期がロータリーエンジン生誕50周年の2017年ではなく、2020年に先送りされたのも気がかりです。

ちなみに次世代ロータリーエンジンは、当初2010年代初頭に登場予定とされていました。マツダはそれから数年に渡って「出るぞ、出るぞ」と言い続けているのですが、肝心の新型ロータリーはモックアップすら公開されていません。2017年のプロトタイプとともに新型ロータリーが発表されなければ、雲行きはかなり怪しいと見ていいでしょう。


マツダ本社とモータースポーツ

マツダといえば日本車で唯一ル・マン24時間レースを制したイメージがありますが、広島のマツダ本社はモータースポーツに積極的ではありませんでした。

ル・マン参戦も、寺田陽次郎氏(当時はマツダの社員ドライバーだった)を始めとするディーラーチームが始めたもので、本社が積極的に支援していたのは日本がバブル景気に沸いていたときだけです。

GT300クラスではロータリーチューニングでお馴染みの「RE雨宮」が長年参戦していましたが、マツダ本社の支援は無いに等しかったのです。マツダスピードもすでにありません(エアロパーツブランドとして名前だけ存続)。一体マツダはどうやってレースをするつもりなのでしょう? 丸投げ?

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ロータリー復活を阻む高い壁

ロータリーエンジンの燃焼室形状は縦長で、理想からかけ離れています。バルブが無いので吸排気効率も低いです。しかもそれらはロータリーエンジンであるがゆえの問題であり、解決手段はありません。

にもかかわらず、排ガス規制は厳しくなる一方です。ポルシェのようなスポーツカーメーカーですら、ハイブリッド車の開発に乗り出さざるを得ない状況になっています。ロータリーは言わずもがなです。

しかし燃料を水素に切り替えたり、点火システムを排しHCCI燃焼にすることで、ロータリーエンジンの弱点を克服できるともいわれています。はたして実現可能な技術なのでしょうか?


水素ロータリーエンジンの実現可能性

水素は燃えやすいので、燃焼室形状の悪いロータリーの弱点をカバーしてくれます。リーン(燃料が薄い)な混合気でも燃やせるので燃費が改善しますし、リーン=空気の量が多いわけですから、燃焼室の温度を下げることができ、縦長な燃焼室壁から逃げてしまう熱エネルギー(いわゆる冷却損失)を抑えられるのです。

ただし水素を燃料とするために、インフラ、航続距離、パワーダウン(ガソリンの1/2の出力しか得られない)など、新たな問題が生じます。

新型ロータリーエンジンは400psを発生するとのことですから、燃料はやはりガソリンになるはずです。水素ロータリーエンジンの実用化はおそらくないでしょう。


HCCIロータリーエンジンの実現可能性

HCCI(予混合圧縮着火)は、ガソリンと空気の混合気をプラグで点火(火花点火: SI)するのではなく、ディーゼルエンジンのように圧縮のみで自己着火させる技術です。

プラグで点火した場合は、着火点を中心に燃焼が広がっていきます(火炎伝播)。なので燃焼室のすみずみまでキレイに燃やしつくすのが──とくに混合気がリーンな場合は──難しいのです。

HCCIならばその問題を解決できます。しかし安定した燃焼領域が限られているにもかかわらず、点火タイミングを温度でコントロールしなければならないため、実用化には至っていません。HCCIの具体的な問題としては、

  • 圧縮終わりの温度が低いと、自己着火が起こらない。
  • 燃焼温度が低いと、自己着火しても燃え終わらない。
  • 最初の温度が高いと、着火・燃焼の位相が早くなりすぎる。
  • 混合気を濃く(リッチ)すると、NOxが増えてしまう。

などがあります。バルブが無く排気の制御が難しいロータリーエンジンでは、HCCIを実現するのは至難の業でしょう。


ブローダウン過給の可能性

thepage.jpに、HCCIロータリーに関する記事があります。その中で「Motor Fan illustrated No.19(以下、MFI 19)にブローダウンと呼ばれる技術が書かれており、それを使えばHCCIロータリーエンジンが実現するだろう」みたいに言及されていたので、早速読んでみました。


ブローダウン過給とは?

MFI 19において、HCCIロータリーエンジンに関する原稿を執筆した畑村耕一氏(元マツダの技術者、 現在はエンジンコンサルタント)によると、「ブローダウン過給」とは、360°位相の異なる排気側のブローダウン圧力波を利用し、高圧の排気ガスを吸気側へと戻す内部EGRのことのようです。

ロータリーの場合はEGR用の排気ポートを追加して、制御バルブで排気行程から吸気行程へと高圧の排気ガスを再導入するだけでよい、動弁機構を持たないロータリーならば可変ポートも簡単に実現できる、と書かれていました。

しかし畑村氏の別の研究成果を見ると、ブローダウン過給は、シリンダー内に再導入される排気ガスの流入方向を規定する「EGRガイド(ピストンヘッドのリセス)」とともに使うことで、シリンダー内の温度分布成層化を実現し、シリンダー内の圧力をコントロールする目的の技術だというのです。ロータリーエンジンの場合は、温度分布の成層化をせずともHCCIが実現できるのでしょうか?

また、MFI 19において「HCCIはロータリーを救う」としながらも、彼の研究成果にロータリーエンジンは出てきません。畑村氏の専門はレシプロエンジンだからです。ロータリーエンジンでHCCIを実現するのは、現実的にはかなり厳しいと思います。ホントに出るんでしょうかね、次世代ロータリーエンジン……。


参考文献・参考サイト様

HCCIの燃焼効率 | Eine Bequeme Reise

日産自動車 | 将来技術 HCCI (Homogeneous-Charge Compression Ignition)予混合圧縮着火

ブローダウン過給と燃料筒内直接噴射によるガソリン HCCI 機関の性能改善

次世代ガソリンエンジンとして注目 される新燃焼方式の紹介

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最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の記事もぜひご覧ください。

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