テクノロジー・業界分析 批評

GMが工場の操業停止と大規模な人員削減計画を発表

投稿日:

最近はアップルの業績悪化に端を発する世界的な株安で、景気の減速感が強まっていますが、その影響は自動車業界にも出始めているようです。

ゼネラル・モーターズ(GM)は、カナダ・オンタリオ州オシャワの工場など、北米地域にある5つの工場を閉鎖します。
販売台数の減少などが閉鎖の理由です。
これにより給与額と労働者の数を15%(8,000人)削減します。
ホワイトカラーに至っては、実に25%も減らされるそうです。

北米市場の減速は、日本の自動車メーカーにとっても他人事ではありません。
今回はGMのリストラについての詳細をお伝えします。


GMのトランスフォーメーション

なぜリストラするのか

GMのリストラの背景には、消費者の嗜好の移り変わりと、技術の変化という、2つの理由があります。

消費者の嗜好の移り変わり

SUVはその高い走破性だけでなく、見晴らしの良さ(=運転しやすさ)や室内の広さがウリです。
しかしSUVブームが巻き起こった最大の理由は、原油安でした。
当時のSUVは大型で燃費が悪い車が大半でしたが、ガソリン価格が安くなったことで、セダンやハッチバックよりも売れる人気車種になったのです。

シボレー・シルバラードのようなピックアップトラックも、原油安の恩恵を受けた。

そのSUVブームにあやかる形で、クロスオーバーSUVが次々に登場しました。
クロスオーバーSUVは中・小型なので、伝統的なSUVよりもはるかに燃費が良く、それでいて似たような特徴を備えていましたから、これまた人気となったのです。

シボレー・エクイノックスは、いまや同社の看板車種だ。

そしてハイブリッド技術は、クロスオーバーSUVの人気をさらなる拍車をかけました。
燃費がハンデとならなくなったことで、室内が広く運転しやすいクロスオーバーSUVは、セダンやハッチバックの派生車種ではなく、むしろ主力商品といえるレベルにまで成長したのです。

目次に戻る

セダンの販売不振は限界に達した

GMが操業停止を予定している工場で生産されていた車種は、ビュイック・ラクロス、キャデラック・CT6、シボレー・インパラ、シボレー・Volt、シボレー・クルーズなどを生産しています。
いずれの車種もかつては主力ラインナップだったのですが、いまや販売台数の少ない車種の筆頭です。

興味深いのは、プラグインハイブリッドのVoltが含まれている点ですね。

シボレー・Volt

Voltは北米のPHEV販売台数ランキングで上位につけている車種で、ホンダ・クラリティPHEVや、トヨタ・プリウスプライム(日本名はプリウスPHV)と同じくらい売れているのですが、現行世代で廃止されると言われています。
こちらもクロスオーバーに置き換えられるようです。

目次に戻る

技術の変化

内燃機関が主役だった時代は過去のものとなりつつあります。
GMは「ゼロ・クラッシュ」「ゼロ・エミッション」「ゼロ・コンジェスション(混雑)」を達成すべく、今回のリストラに踏み切ったのです。

GMは電気と自動運転技術の開発プログラムに割り当てる資金を、今後2年間で2倍にするとしています。

シボレー・Bolt EVのような電気自動車が、GMのラインナップにも今後増えていくのだろう。

プラットフォームも統合

消費者の嗜好と技術の変化に合わせ、プラットフォームも最適化されます。
GMは今後10年間で、世界販売台数の75%を、5つのアーキテクチャで賄う計画を立てています。

目次に戻る

操業を停止する工場

2019年の操業を停止する組立工場は以下のとおりです。

  • カナダ・オンタリオ州・オシャワ
  • ミシガン州デトロイト・ハムトラマック
  • オハイオ州ウォーレン・ローズタウン

また、パワートレインに関するプラントも、2019年限りで操業を停止します。

  • メリーランド州・ホワイトマーシュ
  • ミシガン州ウォーレン

また、韓国にある群山工場の他、北米以外の工場を2つ閉鎖する計画だそうです。

操業再開の目処については不明ですが、大規模な人員削減計画も併せて発表されていることから、閉鎖の可能性が高いと考えるのが妥当でしょう。
自動車業界では工場の稼働率が8割を下回ると赤字になると言われているそうですが、今年のローズタウン工場の稼働率は31%という低水準にとどまっていました。

GMはこれらの措置に関連して、30~38億ドルの費用を計上する予定です。
これらの費用は2018年第4四半期と2019年第1四半期に、その大半が発生すると見られています。

目次に戻る

リストラの効果

GMは今回のリストラにより、2020年末までにフリーキャッシュフローが年間60億ドル増加すると見込んでいます。
GMは今後経営資源を自動車の電化や、自動運転技術の開発に振り向ける予定です。

目次に戻る

最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。

sponsored link

-テクノロジー・業界分析, 批評
-,

Copyright© 車知楽 , 2018 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.