テスラ サイバートラックはなぜあんな形をしているのか?

テクノロジー・業界分析

Tesla Cybertruck

テスラが電動ピックアップトラックの「サイバートラック」を発表しましたが、なぜこのような奇妙な形をしているのでしょうか?
今回はその謎に迫ります。


テスラ サイバートラックの概要

スペック

項目 数値
全長 5,885mm
全幅 2,027
全高 1,905
航続距離 804km以上
0-96km/h 2.9秒
牽引能力 6,350kg
最大積載重量 1,587kg
荷室容量 2,831リッター

サイバートラックにはいくつかの仕様があり、上記の数値は3つのモーターを搭載するAWD仕様のものです。
他にデュアルモーターAWD(航続距離483km, 牽引能力4,535kg)、シングルモーターRWD(航続距離402kg, 牽引能力3,401kg)があります。

Tesla Cybertruck interior
外観からは想像できないほど室内は広い。

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サイバートラックはなぜこんな形をしているのか?

Tesla Cybertruck side

サイバートラックはこれ以上無いほどシンプルな面構成をしています。
しかしこのデザインは、単に未来的な印象を与えるためだけにあるのではありません。

サイバートラックは「ストレススキン」という設計手法をとっています。
ラダーフレームでもなく、モノコックでもないやり方です。

Tesla Cybertruck frame

ストレススキンはその名の通り、応力(ストレス)を外皮(スキン)でも受け持つ構造です。
骨組みと外皮を強固に結合することで、全体が高い剛性を発揮します。
一般的には飛行機(単葉機)の翼や家屋のパネルなどに用いられている構造ですが、自動車での採用はサイバートラックが史上初でしょう。

サイバートラックのボディパネルは、ウルトラ-ハード30X冷間圧延鋼で作られています。
これはSpaceXのロケットでも使われているものだそうです。
この冷間圧延鋼をストレススキンとして用いることで、サイバートラックは高剛性を獲得しました。

ストレススキンとして適切に機能させるためには、複雑なキャラクターラインなどをプレスしない方が良いでしょう。
コストの面からみても、シンプルな方が望ましいはずです。
また、ウルトラ-ハード30X冷間圧延鋼自体が、加工しづらいという問題もあります。

Tesla Cybertruck rear
空力効率を高めるために、荷台はカバーで覆われている。

Tesla Cybertruck bed
カバーを外すとこんな感じ。

実際、サイバートラックの車重は、フォード F-150ピックアップトラックと同じなのだそうです。
巨大なバッテリーを搭載した電動ピックアップトラックが、ICEを搭載するピックアップトラックと同じ車重というのは驚異的といえます。
その軽さとモーターの力が相まって、スーパースポーツ並の加速性能を生み出しているわけです。
もちろんピックアップトラックとしても十分な性能を有しています。
価格も39,900ドルからとリーズナブルです。

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参考サイト

Learn Why The Tesla Cybertruck Makes Perfect Sense – insideevs.com

木質パネルとは – misawa.co.jp

人力飛行機に於けるストレススキン翼開発の背景 – userweb.www.fsinet.or.jp

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