斜め上の結末。レッドブルF1がオリジナルPUを作るって!?

F1,モータースポーツ

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画像の出典: ja.wikipedia.org


飲料メーカーがエンジンを作る

斜め上すぎて流石に予想できませんでした。レッドブルは来季のF1に、オリジナルのパワーユニット(以下、PU)で参戦するそうです。

レッドブル、ノーブランドPUで来季参戦との報道。ルノーとの新契約で – AUTOSPORT web

ICE(パワーユニットの内燃機関の部分)はルノーエンジンを使い、ERSのみを自社で開発するようですが、ハッキリ言って自殺行為としか思えません。飲料メーカーがたった数ヶ月で、自動車メーカーに対抗できるようなPUを作れるはずがないからです。


競争力を求めていたはずのレッドブル

レッドブルがルノーを批判したり、ホンダを搭載する可能性を否定したのは、どちらを搭載しても競争力が得られないということが理由だったはずです。にも関わらず、レッドブルは自前でPUを開発するという博打に打って出ました。

レッドブルは自前PUに翼を授けられない

来季レッドブルオリジナルのPUが競争力を発揮する可能性は、ほぼ無いと言っていいでしょう。90年代後半に常勝メルセデスエンジンを作ったマリオ・イリエンがレッドブルに参画しているようですが、彼にはERSを設計した経験がありません。

自動車メーカーですら手こずっているのに、来季開幕までの短期間に、レッドブルが競争力のあるPUを開発できるはずがないのです。

ではなぜレッドブルは、そんな博打に打って出たのでしょうか?

引っ込みが付かなくなった?

レッドブルは2020年までの参戦契約を結んでいるとされ、撤退すれば多額の違約金を支払わなければならなくなるともっぱらの噂です。

よって違約金の額よりもPU開発費が少ないのならば、自前で開発することに経済的な合理性があります。

ルノーに喧嘩売らなきゃ良かったのに……

最初からルノーとの関係を維持するよう努力しておけば、レッドブルはムダなコストを支払わなくて済んだはずです。レッドブルがルノー批判を繰り返したのは、VWグループがF1に参戦する話が進んでいたためでしょう。

口は災いのもと

しかしルノー批判をするなら、プランBを考えておくべきでした。レッドブルは全てのエンジンサプライヤーから見放され、自前開発という茨の道を歩むことになったのです。VWグループをあてにした「捕らぬ狸の皮算用」が、レッドブルを窮地に追い込んでしまいました。

レッドブルはシャシーの競争力を維持できるか

レッドブル本体の成長は鈍化しつつあります。2013年から2014年の売上高は、わずか1.4%しか成長していません。よって昔のように湯水のごとくお金を使えるわけではないのです。

そんな状況でPU開発に予算を割くならば、シャシーの競争力が維持できなくなる可能性が高いです。来季のレッドブルは、高い代償を支払うことになるでしょう。