AMGの本気 “AMG GT R”発表
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて「AMG GT R」が発表されました。
- 1.AMG GT Rの概要
- 1-1.AMG GT Rのエンジン
- 1-2.AMG GT Rのギアボックス
- 1-3.AMG GT Rのボディ
- 1-4.AMG GT Rの足回り
- 2.さらなるバリエーション
- 3.AMG vs ポルシェ
AMG GT Rの概要
AMG GT Rは、公道最速バージョンのAMG GTです。現状、これより速いAMG GTは、レーシングカーのAMG GT3しかありません。
鮮やかなグリーンのカラーリングは、Green Hell Magnoと名付けられた新色です。グリーンヘルはニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの別名ですね。
AMG GT Rのエンジン・ギアボックス
まずはエンジンをGT SやGTと比較してみましょう。
項目 | GT R | GT S | GT |
---|---|---|---|
馬力(ps) | 585 | 510 | 462 |
トルク(kgf・m) | 71.2 | 66.1 | 61.1 |
それぞれのトルクは、およそ5kgf・mになっています。ちょうど50Nm刻みでグレードが分けられているようです。
次はAMG GT Rに施されたパワーアップ・チューニングについて列挙します。
- ソフトウェアの変更
- 圧縮比の変更
- 排気ポートのリデザイン
- 新しいターボ(最高回転数186,000rpm)
- ブースト圧を1.2bar(GT)から1.35barにアップ
これらの変更によってGT Sから75ps、GTからは123psのパワーアップを果たしました。ブーストアップのために各所を変更したという感じがしますね。
AMG GT Rのギアボックス
7速DCTのAMGスピードシフトは、1速ギアがハイギアード化され、一方で7速ギアとファイナルギアがローギアード化されています。全体的なギアのつながりを良くするためでしょう。また、ギアボックスの冷却性能も向上しています。
デュアルマスフライホイールは、GT Sよりも680g軽量化されました。これはクラッチ側とトランスミッション側に分割され2重構造になったフライホイールのことで、トルク変動や振動を吸収します。
エンジンからリアアクスルまでをつなぐのは、GTのアルミ製より40%も軽量なカーボントルクチューブです。これに加えてカーボンクロスメンバーを採用したことで、GT Sよりもねじれ剛性が7.5%アップしています。
AMG GT Rのボディ
リアが56mmワイドボディ化されています。軽量化のため、フロントフェンダー、ルーフ、そしてリアウィングはカーボンファイバー製です。
注目すべきトピックとしては、アクティブエアロが挙げられるでしょう。レースモードで80km/h以上になると、エンジンより40mm前方のアンダーボディに装着された約2kgのカーボンスポイラーが下がり、248km/hで40kgのリフトをフロントアクスルから低減するそうです。
アクティブグリルも装着されており、エンジンがクーリングエアーを必要としないときにはグリルが閉じられます。一般的にアクティブグリルは、空気抵抗と減少させ暖気時間を短くする効果があるようです。
これらの改良によってAMG GT Rのダウンフォースは、GTと比較すると155kg増加(317km/h時)しています。C/D値も改善されているようです。
AMG GT Rの足回り
前後のダブルウィッシュボーンサスペンションのアームは鍛造アルミで、減衰特性を調整できるAMGライドコントロールサスペンションと組み合わされます。
これに加えてGT Rには、リアホイールステアリングが採用されました。これは100km/h以下の速度域において、リアタイヤのトーをフロントタイヤと反対方向に最大1.5°まで動かすものです。逆に100km/h以上では、リアタイヤをフロントタイヤと同方向に動かし、ステアリングレスポンスと車両の安定性を向上させます。
タイヤはフロント19インチ・リア20インチのミシュラン・パイロットスポーツCUP2です。ブレーキのディスク径はフロント390mm、リア360mmですが、オプションでフロント402mm、リア360mmのカーボンセラミックブレーキも選択可能となっています。
AMGトラクションコントロールは、許容するスリップレベルを9段階に調節できるそうです。ただしESPオフのときだけ使えます。
さらなるバリエーション
AMGのボスであるトビアス・メールス氏は、ロードカーとレースカーのそれぞれでAMG GTのバリエーションを拡大するとコメントしています。ロードカーはおそらくコンバーチブル、レースカーはGT4になる可能性が高そうです。
コンバーチブルはAMG GT、GT Sには確実に設定されると見られていますが、GT Rには設定されないかもしれません。
GT4は、FIA-GT3のひとつ下に相当するレーシングカーの規格です。アストンマーチンやポルシェなどが、ジェントルマン・ドライバーのためにマシンを供給しています。パワートレインなどはほぼノーマルですが、レース用の安全装備や冷却システムが装着されているのが特徴です。価格もGT3比で50~60%程度に抑えられています。
AMG vs ポルシェ
ポルシェは911カレラをベースに、数多くのバリエーションを展開しています。それに対しAMG GTのラインナップは少なすぎました。しかしコンバーチブルが出たとしても、そのラインナップは911ファミリーより貧弱です。
911の各モデルに対応する車が無ければ、消費者は比較しようがありません。今回発表されたAMG GT Rがポルシェ911GT3の対抗馬だとすれば、さらに上の911GT2や4WDの911に対応するモデルが、AMG GTのバリエーションに追加される可能性もあるのです。
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