デイリーF1ニュース(2017年5月1日号) ロシアGPを振り返る

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本日はロシアGPの模様を振り返ります。


ロシアGP決勝

好天に恵まれた2017年のロシアGP。全車ウルトラソフトタイヤを装着しフォーメーション・ラップを開始しましたが、なんとフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)が途中でストップ! グリッドどころかピットに戻ることすらできず、フォーメーション・ラップがもう1周行われることに。もちろんアロンソはリタイアです。

トボトボ歩くアロンソの姿が悲しい……。

2度目のフォーメーション・ラップの後でレーススタート。
ここで見事なスタートダッシュを見せたのは、3番グリッドスタートのバルテリ・ボッタス(メルセデス)でした。フロントロウを独占したフェラーリの2台をあっさりとかわし、誰よりも速く1コーナーに飛び込んだのです。

ライコネンは出遅れたが、なんとかポジションを死守した。
ベッテルも蹴り出し自体は良かったが、ボッタスの伸びが勝った。

ボッタスの後ろはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)キミ・ライコネン(フェラーリ)ルイス・ハミルトン(メルセデス)という隊列が形成されましたが、半周すらしない内に、いきなりセーフティ・カーが導入されてしまいます。
ロマン・グロージャン(ハース)ジョリオン・パーマー(ルノー)の2台が絡み、激しくクラッシュしてしまったからです。

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驚速ボッタス

レースが4周目にリスタートされると、先頭のボッタスがペースを上げ、2位以下をグイグイと引き離していきます。
しかし同じメルセデスを駆るハミルトンのペースは上がらず、彼は3位のライコネンに追いつくことができません。

ボッタスと2位ベッテルの差は、一時5秒以上にまで広がりましたが、20周目を過ぎて周回遅れが出始めると、一転して今度は2人のタイム差が縮まり始めます。

これを危惧したのか、メルセデス・チームはボッタスを先にピットインさせる作戦を選択。27周終わりにボッタスはピットインし、スーパーソフトタイヤを履いてコースに復帰しました。

上位陣では最初にピットインしたボッタス。

これを見てスクーデリアも動き、28周終わりにライコネンをピットインさせます。タイヤはもちろんスーパーソフトです。

ライコネンとのギャップを縮めたいハミルトンも、間髪入れず29周終わりにピットイン。スーパーソフトに交換します。

しかしベッテルだけはステイを選択。スーパーソフトを履いたボッタスは、ピットアウト直後こそ好タイムを出していたものの、その後はタイムが落ち込み始めたため、フェラーリはベッテルのピットインを先延ばしにしたのです。

とはいえベッテルもボッタスを圧倒するほどのタイムは出せず、ギャップを20秒以上に広げることはできませんでした。
34周終わりにベッテルがピットインし、スーパーソフトタイヤを履いて出ていくと、ボッタスに4.5秒ほど先行されてしまいました。結局ピット戦略では差がつかなかったのです。

ウルトラソフトでロングランする作戦は、狙い通りに機能しなかった。

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アリの一穴

スーパーソフトではライコネンが速く、ベッテルとボッタスはほぼ同等のペース、ハミルトンはウルトラソフトのときよりも遅い有様でした。

ボッタスとベッテルの差は変わらず、ライコネンは追い上げていたものの、ベッテルとの間には10秒近いギャップがあったため、上位陣がピットストップを終えてからというもの、今後の順位変動は無さそうな雰囲気が漂い始めていました。

ところが39周目のターン13で、ボッタスがブレーキングミスからコースアウト! 何とかぶつけずに済んだものの、左フロントタイヤに大きなフラットスポットを作ってしまいました。

フロントタイヤを盛大にロックさせてしまったボッタス。
ウォールへの衝突だけは何とか回避。

このチャンスを逃すフェラーリではありません。無線でベッテルにそのことが伝えられると、彼は跳ね馬に猛然とムチを入れ、見る見るうちにボッタスとの差を縮めていったのです。

5秒以上あった差をここまで縮めたベッテル。しかしその後は鍔迫り合いに。

その後ボッタスも必死に抵抗し、両者の差は1.0〜1.5秒ほどの間を行ったり来たりする展開に。
ベッテルとしてはDRSの使える1秒以内に入りたいのですが、ボッタスはメルセデスPUのパワーを活かして、ギリギリのところでそれを許しません。

しかし如何にエンジンパワーがあろうとも、コース幅の狭さまではどうにもなりません。周回遅れが行く手を阻んだ際にボッタスはペースダウンを余儀なくされ、ファイナルラップでベッテルとの差は、ついに1秒を切ってしまいました。

ベッテルがDRSを作動させ、ファイナルラップで大逆転か!? と観客が沸いたそのとき、なんとボッタスもDRSを使うという驚きの光景が! ボッタスは周回遅れのフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)の後方1秒以内にいたため、DRSの使用条件を満たしていたのです。
ボッタスとマッサは去年までチームメイトでしたから、もしかするとサポートしてくれたのかもしれません。

先輩のアシスト!?

結局ベッテルの大逆転はならず、ボッタスが嬉しいF1初優勝! 薄氷の勝利だったものの、1インチ差でも1マイル差でも勝ちは勝ちです。むしろベッテルを抑えきったことが、ボッタスの自信となるに違いありません。

2017年 F1ロシアGP 決勝結果
順位 ドライバー No./チーム タイム差
1 V.ボッタス #77 メルセデス ──
2 S.ベッテル #5 フェラーリ +0.617
3 K.ライコネン #7 フェラーリ +11.000
4 L.ハミルトン #44 メルセデス +36.320
5 M.フェルスタッペン #33 レッドブル +1:00.416
6 S.ペレス #11 Fインディア +1:26.788
7 E.オコン #31 Fインディア +1:35.004
8 N.ヒュルケンベルグ #27 ルノー +1:36.188
9 F.マッサ #19 ウィリアムズ +1Lap
10 C.サインツ #55 トロロッソ +1Lap
11 L.ストロール #18 ウィリアムズ +1Lap
12 D.クビアト #26 トロロッソ +1Lap
13 K.マグヌッセン #20 ハース +1Lap
14 S.バンドーン #2 マクラーレン +1Lap
15 M.エリクソン #9 ザウバー +1Lap
16 P.ウェーレイン #94 ザウバー +2Lap
R D.リカルド #3 レッドブル ブレーキトラブル
R J.パーマー #30 ルノー クラッシュ
R R.グロージャン #8 ハース クラッシュ
R F.アロンソ #14 マクラーレン ERSトラブル

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