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WRCの人気はなぜ低迷しているのか?

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WRC_2015_アルゼンチン_クリス・ミーク

「1強」時代が長期化した理由

VWモータースポーツの代表ヨースト・カピート氏が、「最終日には、それまで2日間のタイム差を10分の1にすべき」「そうすれば日曜日がエキサイティングなものとなり、人気を取り戻せる」と主張しています。

この突飛な案は、世界モータースポーツ評議会では否決されました。しかしこのような案が出てくること自体が、WRCを取り巻く厳しい状況を物語っています

トップ画像の出典: wrc.com

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目次
  1. なぜWRCは商業的に成功できなかったのか?
  2. 改革がWRCを殺した
  3. 新技術で人気を回復できるか?

なぜWRCは商業的に成功できなかったのか?

WRCは商業的に成功しているとは言いがたいシリーズです。観客動員数は多いのですが、放映権ビジネスにおいて完全に失敗しています

F1やイングランド・プレミアリーグなど、現代スポーツにおける商業的な成功は、その大部分を放映権料に依存しています。逆に放映権ビジネスに失敗すると、ビジネスを拡大も止まってしまいます。

もともと人気が無かったから放映権ビジネスに失敗したのか、それとも放映権ビジネスに失敗したために上手くプロモーションできなかったから人気が出なかったのか。鶏が先か卵が先かという話になりますが、個人的には両方だと思います。

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改革がWRCを殺した

そもそも自動車のラリー競技は、テレビ中継向きではありません。サーキットレースのように同じ所をグルグルと周回するわけではないので、走るマシンをカメラで捉え続けるのが難しいのです。

競技の邪魔になりますから、箱根駅伝のようにカメラカーが追走することもできません。必然的に、中継はオンボードカメラ中心になります。

ですがラリーの魅力はド派手なカーアクションです。オンボードカメラ中心の映像では、その魅力を伝えることができません。

テレビ向け企画の失敗

90年代後半になると、WRC界でもF1のような商業的成功を求める声が高まりました。そして99年には「TVステージ」と呼ばれる生中継ステージが導入されます。

TVステージは最終SSに設定されるため、総合タイムでは既に大差がついている状況でのスタートとなります。そこで各車を全力で走行させるべく、TVステージの順位に応じてポイントが与えられることになっていました。

しかしTVステージの勝者には3ポイントも与えられる(当時は優勝しても10ポイント)上に、リタイアした車両でも参加できるため、その公平性に疑問が呈されていました。

結果的にTVステージのポイントのせいで、わずか1勝のトヨタがマニュファクチャラータイトルを獲得する波乱が起きてしまいます。

結局TVステージは公平さに欠けるとの批判を受け、わずか1年で撤廃されました。

コンパクト・フォーマットの導入

その後プロドライブの代表であるデビッド・リチャーズが、バーニー・エクレストンからISC(インターナショナル・スポーツワールド・コミュニケーターズ)社を買い受け、WRCのテレビ放映権と商業圏を獲得します。

リチャーズはダイジェストを中心としたテレビ放送を増やしながらも、同時にWRCのコスト軽減を訴え、コンパクト・フォーマットの導入を推し進めていきました。

コンパクト・フォーマット(CF)では、中心にサービスパーク(SP)、周囲にスペシャルステージ(SS)が配置されます。SPとSSを往復するルート形状から「クローバーリーフ」とも呼ばれていました。

CFならサービスパークはひとつだけ設置すれば良いので、たしかにコストは削減できます。同じSSを2回走るので、当時FIA会長だったマックス・モズレーは「ファンは無名ドライバーよりも、コリン・マクレーを2度見られる方が良い」などと絶賛していました。

失われたWRCの魅力

しかしCFはステージの画一化を生み出し、WRCは魅力のひとつであった冒険的要素や、不確定要素を失ってしまいます

同じステージの繰り返しでは、同じような映像しか撮れません。3日間に何度も同じステージを走れば、ドライバーたちはミスしなくなります。

つまりCFが生み出したのは、「退屈な映像」と、「速いドライバーが圧勝しやすい環境」だけだったのです。

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新技術で人気を回復できるか?

WRC(というよりラリー競技)はもともとテレビ放送向きではない上に、さまざまな改革の結果として退屈な映像速いドライバーが圧勝しやすい環境が揃った結果として、コンテンツとしての魅力を失い、放映権ビジネスに失敗しました

2016年からWRCでは、中国のDTI社のドローンを用いた空撮映像を導入し、新しい視聴体験を提供するとしています。

しかし肝心のコンテンツはこれまでと変わっていません。ラリーカーが各国の美しく多彩な景色を背景に走る姿や、複数のドライバーがタイトル争いをするコンペティションの激しさなどは、まったく取り戻せていないのが現状です。

よってドローンを投入したくらいでは、WRCの人気は回復しません。競技フォーマットの変更と、各マニュファクチャラーの戦力の均衡が達成されないかぎり、今後も人気は低迷し続けるでしょう。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の記事もぜひご覧ください。

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