テクノロジー・業界分析 批評

アップルの英マクラーレン買収 実現可能性はいかに

2016/09/23

mclaren-apple

iPhoneでおなじみのアップルが、F1でおなじみのマクラーレンを買収すると報道されています。

マクラーレン側は買収交渉を否定しているようですが、こういうときには、正式発表以前に買収を認めることはまずありません。よって買収が完全にないとは言い切れないと思います。

では買収の可能性はどのくらいあるのでしょうか? マクラーレンとアップルの自動車ビジネスを検証して、可能性のほどを探ってみます。

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アップルは自動運転で自動車ビジネスへの参入を模索

スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの2人が創業したアップルは、現在ではiPhoneやiPadなどのモバイル機器を主力としています。

そのアップルが自動車ビジネスへの参入を取り沙汰されるようになったのは、自動運転が現実味を帯び始めた2015年2月頃です。ハイテクに関する優れた知見を有するアップルならば自動運転車の開発も可能だろうと、このときは社内外の誰もがそう思っていました。

しかしアップルの自動運転車プロジェクト「タイタン」は開発が難航、2016年7月にはプロジェクト・リーダーが解任され、その後も従業員の解雇が相次いでいるそうです。アップルの従業員は「リセットボタンを押した」と表現しています。

アップルが自動運転車の独自開発を諦め、自動車メーカーとの提携に舵を切ったとも受け取れますが、それだけでは「なぜマクラーレンなのか?」を説明することはできません。

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マクラーレンのロードカーにかける情熱

マクラーレンは、ブルース・マクラーレンが設立したレーシング・チームです。後にF1のコンストラクターとしてシャシー製造も手がけ始めますが、最初期にはプロトタイプ・レーシングカーのCan-Amマシンも作っていました。

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Can-Amマシン マクラーレンM6B

画像の出典: Nathan Bittinger via Wikimedia Commons

ブルース・マクラーレンは、Can-Amマシンをベースにしたロードカーを作るのが夢でした。しかし彼はテスト中の事故で還らぬ人となります。

その後F1で大成功した同社は亡きブルースの夢を引き継ぎ、ついに夢の実現にこぎつけました。それがマクラーレンF1です。

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マクラーレンF1 LM

画像の出典: motoyen via flickr

その後メルセデス・ベンツとのジョイントで「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン>」を世に送り出しましたが、2009年5月をもって、両社の提携は終了してしまいます。

それでもマクラーレンは諦めず、ふたたび自社ブランドでのロードカー製造に乗り出します。そして「マクラーレンMP4-12C」のリリース以降は、スーパーカーブランドとして確固たる地位を築き上げた感があります。

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アップルとマクラーレンが手を組むメリット

アップルがマクラーレンを買収すると聞くと、「マクラーレンがアップルの自動運転車を製造するのか?」と考えてしまいがちです。

マクラーレンに大量生産は不可能

しかしアップルの狙いが「自動車製造のパートナー探し」にあるのだとしたら、マクラーレンとは組まずに、トヨタやVWと提携するでしょう。生産の規模が桁違いだからです

マクラーレンはたしかにロードカー製造の設備を有していますが、生産台数は年間2,000台程度です。

アップルが巨額を費やして開発した自動運転技術をペイするには、たくさんの自動車を売る必要があります。数百万台規模での生産能力が必要です。

したがってアップルの自動車製造のパートナーとしては、マクラーレンは不適格だといえます。

でもアップルが開発のパートナーを探しているのならば、話は別です。

開発パートナーとしてのマクラーレン

自動運転車の開発パートナーとしては、マクラーレンはベストかもしれません。

自動運転車の肝となるセンサー類に関しては、F1で得たノウハウがあります。また、ECUなどの電装系部品のサプライヤーでもあり、NASCARのECUもマクラーレン製です。

もちろん開発のパートナーとして、アップルが大手自動車メーカーと組むという選択肢も考えられます。しかし大手自動車メーカーは大手のサプライヤーと一体であり、アップルが食い込む隙間が無いのです。

アップルが主導権を握れる規模のメーカーで、しかも卓越した技術力を有しており、そのうえ大手自動車メーカーの系列に属していない企業となると、マクラーレンくらいしか思いつきません

デザイン:アップル 開発:マクラーレン

アップルは製造を外部委託するのが常です。なのでマクラーレンの名前が出てきた際に、「マクラーレンに製造を委託するのか?」と思ってしまいます。

しかしマクラーレンの生産能力では、アップルの投資をペイできません。よってアップルはマクラーレンに、開発パートナーとしての役割を求めていると考えるのが妥当です。

ビジネスモデルとしては、ソフトウェアとハードウェアのデザインをアップルが、自動車の開発とハイエンド機(超高級車)の製造をマクラーレンが行い、あとは外部委託するのではないでしょうか。

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もしくは自動運転のシステムと必要なパーツだけを開発し、生産は外部委託、それらを世界中の自動車メーカーに販売するというやり方もあるでしょう。どちらにしろマクラーレンに大量生産させることはないはずです。

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Category: テクノロジー・業界分析, 批評
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