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FCAの大改革 ジープとラムの販売エリア拡大、フィアットとクライスラーは縮小

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フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)セルジオ・マルキオンネCEOが、クライスラー車の販売を北米に限定する他、北米と中国におけるフィアット車の販売を終了するなど、グループ全体の大改革に乗り出すようです。

一方で利益の70%以上を占めていると言われているジープブランドや、北米で人気のラムブランドをさらに拡大し、マセラティアルファロメオを1つの部門に統合しようとしています。
フォルクスワーゲントヨタのような大衆車メーカーと正面切って争うことを避け、よりニッチな分野にシフトしようという動きのようです。

今回はフィアット・クライスラーの大改革の内容について見ていきます。


フィアット・クライスラーの大改革

セルジオ・マルキオンネCEOは、FCAを率いて今年で14年目になります。
その間に彼は破綻寸前だったフィアットを立て直し、クライスラーと合併させ、企業価値を10倍に高めました。

セルジオ・マルキオンネ

そのマルキオンネCEOは、来年退任する予定です。
後任人事は2019年4月の株主総会で発表されます。

今回の改革は、マルキオンネ体制における総仕上げ的なものです。
一方で創業の地・イタリアからの批判を招きかねない内容を含むものでもあります。

ブランドごとの改革内容

ブランド名 改革内容
ジープ 販売エリア拡大
ラム
フィアット 北米・中国から撤退
イタリアでのプント生産終了
アルファロメオ マセラティと統合?
イタリアでのMiTo生産終了
マセラティ アルファロメオと統合?
クライスラー 販売地域を北米に限定
ダッジ 不明

SUVブームを追い風に販売好調なジープを中核に据え、利益率の高いピックアップトラックを生産するラムと合わせて、フィアット・クライスラーの販売の柱とするのが、マルキオンネCEOの計画のようです。
ジープが開発していると言われるレネゲードよりも小型のSUVや、ハイブリッド仕様のジープには、欧州やアジアでの販売を拡大する狙いがあるのでしょう。

FCAはイタリアにおける低価格車の生産を打ち切ると見られています。
フィアット・プントの生産は、ポーランドに移管される予定です。
アルファロメオ・MiToに関してはフルモデルチェンジされることなく、そのまま販売を終了するでしょう。

フィアットは欧州、ブラジル、新興市場向けの車両の製造に集中する予定です。

クライスラーに関しては北米限定で生産を続ける可能性が高そうですが、Automotive Newsは、FCAの5年計画にクライスラー、ダッジ、フィアットの名前が無いことを根拠に、クライスラーブランド自体が無くなる可能性について報じています。
実際、現在のクライスラーは3車種(300とパシフィカ、パシフィカPHEV)しか販売していないため、いつブランドが廃止されてもおかしくはありません。

ダッジに関しては「非常にユニークな立場」にあるということで、廃止されることはなさそうです。

アルファロメオとマセラティの統合は、フェラーリのようにスピンオフさせることが目的だと言われています。

イタリアへの影響

マルキオンネCEOは、イタリアなど西ヨーロッパでの生産を高級車に限定するつもりのようです。
トリノとナポリの工場ではフィアットの替わりに、マセラティとジープのスポーツタイプを生産します。

しかしイタリアでの生産台数は間違いなく減少するでしょうから、労働者のリストラ等は避けられないでしょう。
同国の労働組合も、既にその懸念を表明しています。

マルキオンネCEOの勝算

この改革によってFCAは2022年までに、ジープの販売台数を昨年の140万台から倍増させる計画です。

実はFCAは既にSUVへのシフトを進めており、2018年第1四半期の利益率は、ライバルであるフォードを上回る結果を残しました。
来年にはゼネラル・モーターズを上回る利益率を達成する見通しです。

長期的には他社との合併──以前ヒュンダイと合併すると噂になった──もあり得るかもしれません。
アリエッリ家は自動車製造ビジネスから手を引きたがっているという噂ですし、大改革でFCAの企業価値が高まったタイミングで、FCA自体を売却する可能性も否定できません。

出典・参考サイト

Marchionne's Finale Entails Expanding Jeep, Shrinking Fiat | bloomberg.com

s Sergio plotting to have a starved Chrysler whacked? Looks like it to me | autonews.com

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