「フォーミュラe」は早くも格差社会に! F1の悪いところまで真似するな!
F1化するフォーミュラe
2015-16シーズンのフォーミュラeが、北京で開幕しました。
FE開幕戦北京ePrix FP1タイム結果 - AUTOSPORT web
トップのブエミのタイムが1’36″991なのに対し、10番手のダ・コスタのタイムは1’41″061です。トップから10番手までの間に4秒もの差があるのは驚きです。
先日SUGOで行われたスーパーフォーミュラの公式練習では、トップから最後尾までが2秒以内に収まる僅差でした。スーパーGTも同じです。
なんでこんなに差がつくのか?
いじっていいとも
フォーミュラeでは2015-16シーズンから、モーター・ジェネレーター・ユニット(以下、MGU)の開発が自由化されただけではなく、MGUを2基まで搭載することが可能になりました。そして5速のワンメイク(ヒューランド製)だったギアボックスは、6速までならギアレシオを自由に組み合わせることが可能になりました。
モーター数は2倍、速さは変わらず。
ではツインMGU速いかというと、一概にそうとも言えないようです。開幕戦北京のFP1で1-2位を独占したルノー・eダムスは、MGUを1基しか積んでいません。3-4位を占めたドラゴンレーシングが使用するベンチュリ製シャシーも、MGUは1基です。
MGUを2基積んでいるのは、DSヴァージン・レーシングとネクストEV TCRの2チーム計4台だけです。ツインMGU勢の最上位はサム・バード(DSヴァージン・レーシング)の5位ですが、それでもトップから1.5秒も引き離されています。
ギア数もまちまち
ルノー・eダムスは2速、ドラゴンレーシング=ベンチュリは4速です。ギア数によって速さに大きな違いが出るということは無さそうです。
結局金か? 世の中金なのか?
FP2ではアプト・シェフラー・アウディスポートのディ・グラッシが、1’37″279のタイムでトップを獲得しました。名前のとおり、アウディからの支援を受けているチームです。2位のダニエル・アプトも同じチームです。
外部経済への依存
FP1・FP2と、自動車メーカー系のチームが独占したことは、フォーミュラeがF1化しつつあるということを示しています。マネーゲーム@サーキットになるということです。
モータースポーツの特異性
モータースポーツが他のスポーツと決定的に異なるのは、自動車メーカーが採算度外視で湯水の如く金を注ぎ込むという点にあります。
サッカーや野球など他のスポーツコンテンツにおけるスポンサーマネーは、あくまで広告効果を根拠にしたものです。しかしモータースポーツにおいては、自動車メーカーが「技術開発」の名目で、多額の出費を正当化してしまいます。
そのためモータースポーツの市場価値と、それを運営・維持するためのコストとの間に大きな乖離が生じます。コストの上昇率が、市場価値(広告効果)の上昇率を追い抜いてしまい、その差が縮まらなくなるのです。少なくとも自動車メーカーが関与し続ける限りは。
コスト高騰のしわ寄せは観客へ
しかし全てのチームに自動車メーカーが関与できるわけではありません。F1の分配金のように、何らかの形でプライベーターを支援する必要が出てきます。
その資金源は、放映権料やスポンサーフィー、チケット料金などです。しかし自動車メーカーの予算レベルに合わせるわけですから、分配金も高額にならざるを得ません。必然的に、放映権料などを値上げすることになります。
放映権料が上がれば、放送は有料チャンネルに限定されるでしょう。視聴者数が減ればスポンサーは撤退し、コストはチケット料金に転嫁されます。そして高額のチケットを嫌って観客が来なくなったのが、今のF1です。
自動車メーカーを縛るルールが必要
国家権力を縛るルールとして憲法があるように、モータースポーツにおいても自動車メーカーを縛るルールが必要です。F1はもう手遅れですが、設立2年目のフォーミュラeならばまだ間に合うはずです。
もし「朕はフォーミュラeなり」とばかりにルノーの専制支配を許せば、やがて観客席にラ・マルセイエーズが響き渡ることになるでしょう。