ブレッドバン・オマージュ ワゴンみたいなスポーツカー!?

チューニング

ロンドンのNiels van Roij Designというコーチビルダーが、フェラーリ 250GT SWB ブレッドバンをオマージュした「ブレッドバン・オマージュ」開発しました。
ベースとなっているのはフェラーリ 550マラネロです。
ステーションワゴンやシューティングブレークのような形をしていますが、れっきとしたスポーツカーです。

今回はブレッドバン・オマージュの概要をご覧ください。
元となった250GT SWB ブレッドバンについても簡単に説明します。


フェラーリ 250GT SWB ブレッドバンとは?

フェラーリ 250GT SWB ブレッドバン
画像の出典: Brian Snelson, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

1962年のル・マン24時間レースに参戦したレーシングカーです。
ベースとなった250GT SWB コンペティションのルーフをテールエンドまで延長し、カムテールにしてあるのが特徴です。
また、エンジンはドライサンプ化でより低く、車体中心に近い位置に搭載されています。
車重も935kgと軽量でした。

カムテールデザインで空力向上を狙ったものだった。
画像の出典: Brian Snelson, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

なぜこんな改造を施したかというと、フェラーリ 250GTOに対抗するためです。
ブレッドバンを開発させたジョヴァンニ・ヴォルピ伯爵は、スクーデリア・セレニッシマというレーシングチームを設立し、フェラーリ製のレーシングカーを購入して走らせていました。つまり、フェラーリのカスタマーチームだったわけですね。

しかしマラネロから離脱したメンバー(カルロ・キティやジオット・ビッザリーニなど)が設立した「ATS」をヴォルピ伯爵が支援したため、エンツォ・フェラーリとの関係が悪化。新型マシンである250GTOの販売を拒否されてしまったのです。

ビッザリーニは、カロッツェリア・スポーツカーズのピエロ・ドロゴと共に250GT SWBコンペティションを改造し、250GTOに対抗できる空力性能を与えました。
そのシューティングブレークのような形状から「ブレッドバン(パン屋のバン)」の渾名で呼ばれることになりましたが、決して奇をてらったものではなかったのです。

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ブレッドバン・オマージュの概要

画像はクリック(タップ)で拡大できます。

ブレッドバン・オマージュ

シューティングブレークのようなフォルムだが、リアオーバーハングは短め。

ワゴンではないので、テールゲート開口部は見当たらない。

側面のルーバーはオリジナルに倣ったものだろう。

縦並びの丸2灯テールライトもオリジナル・ブレッドバンと同じだ。

インテリアはラグジュアリーな雰囲気だが、シートはスポーティーな形状。

Hパターンの6速MTを搭載する。敷き詰められたキルティングが高級感を演出。

トグルスイッチやダイヤルなどはマテリアルが見直されているようだ。

ブレッドバン・オマージュはワンオフで製作された1台限りのモデルです。
ニールス・ヴァン・ロイ氏は内外装のデザインを担当し、製作プロセスも監督しました。

550マラネロがベースとなっていますが、ブレッドバン・オマージュが引き継いでいるのは5.5リッター・V型12気筒ガソリン自然吸気エンジンと6速マニュアルギアボックス、そしてフロントウィンドウなどだけで、ほとんどの部分は新たに製作されました。
サスペンションにオリジナル・ブレッドバンと同じブランド(Koni)を用いるなど徹底的にこだわっていますが、内装はレーシーなものではなく、ラグジュアリーな仕立てとなっています。
ブレッドバン・オマージュの価格は公表されていませんが、1億円を優に超えるのは確実です。

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