不正・不祥事 批評

メルセデスも排ガス不正デバイス使用? 集団民事訴訟を起こされる

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M-Benz_ブルーテック_ロゴ

ディーゼルエンジンにさらなる逆風か

VWの不正発覚からもうすぐ5か月が経とうとしていますが、メルセデス・ベンツも同様の不正を行っていたのではないかという疑惑が浮上してきました。Autoblogによると、ニュージャージー州で集団民事訴訟を起こされたそうです。

Lawsuit alleges Mercedes-Benz diesels use defeat devices | autoblog

トップ画像の出典: netcarshow.com

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目次
  1. 訴状の内容
  2. 訴状が正しいとすると何が問題になるのか?
  3. メルセデス・ベンツに不正デバイスを用いる動機はあるか?
  4. 原告弁護士の主張
  5. メルセデス・ベンツおよび当局の対応

訴状の内容

ニュージャージー州の米連邦地方裁判所に提出された集団民事訴訟の訴状で原告側は、メルセデス・ベンツのブルーテック・ディーゼルエンジンは、外気温が華氏50度(摂氏10度)を下回ると窒素酸化物(NOx)を除去するシステムがオフになると主張しています。

システムがオフになると、ブルーテック・ディーゼルは最大で規制値の65倍ものNOxを排出するそうで、原告側は懲罰的損害賠償を求めています。

訴状の内容が真実かどうかは、現在のところわかりません。我々にできるのは、裁判の行方を見守ることだけです。

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訴状が正しいとすると何が問題になるのか?

「クリーン・ディーゼル」と呼ばれているエンジンでも、実走行時には規制値以上のNOxを排出している場合があります。

しかし、それだけでは違法とはなりません。シャシーダイナモ上での排ガス試験に合格しているからです。試験方式の不備を、民間企業の責任にすり替えることはできません。

これまでシャシーダイナモ上で試験を行っていたのは、排気ガス中の有害物質をチェックする計測機器が大きすぎて、車載できなかったためです。しかし現在ではコンパクトな計測機器が開発されたため、今後はより実走行時の条件に近い試験方式に変わっていくでしょう。

VWの場合

VWのやり方が問題になったのは、不正デバイスで試験をすり抜けていたからです。意図的に法律を無視し、消費者と政府を欺いたことが問題視されたわけです。

メルセデス・ベンツの場合

メルセデス・ベンツが不正デバイスを用いていたとしても、米国の排ガス試験に「外気温華氏50度以下」という条件がないと、違法性を問うことは難しいと思います。そしてコスト制約や効率性の面から、そんな条件での排ガス試験は行われていないはずです。

なので今回のブルーテック・ディーゼルに関する集団民事訴訟では、「メルセデス・ベンツが消費者を欺いたかどうか」が焦点になるでしょう。

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メルセデス・ベンツに不正デバイスを用いる動機はあるか?

メルセデス・ベンツのディーゼルエンジン「ブルーテック」には、尿素SCRが搭載されています。

尿素SCRとは

尿素SCRは、尿素を還元剤とする「選択的還元触媒」です。NOx吸蔵還元触媒とは異なり、触媒の再生のために燃料を噴射する必要がないため、燃費が悪化しづらいというメリットがあります。

しかし冷間始動時にはSCR触媒の活性温度域に到達せず、NOx還元反応が上手くいきません。

今回の訴状で原告側は「メルセデス・ベンツが不正デバイスを用いた」と主張していますが、単純に尿素SCRが機能していなかっただけかもしれません

メルセデス側に不正デバイスを使う動機があるとすれば、「低温時にSCR触媒を活性化させるための装置をつけるとコスト高になる」ということくらいでしょうか。

けれどVWのような大衆車メーカーならともかく、利益率の高いメルセデス・ベンツがわずかなコストをカットするために不正デバイスを用いるというのは、動機としては少し弱い気がします。

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原告弁護士の主張

原告の弁護士は、テキサス州の法律事務所「ハーゲンスバーマン」のマネジメント・パートナー、スティーブ・バーマンです。「ハーゲンスバーマン」は、GMのイグニッションスイッチ問題※1で主任弁護士を務めました。

「メルセデスのブルーテック・ディーゼルは『地球に優しい』と標榜しているが、低温下では違法レベルで地球環境を汚染している。環境技術のチャンピオンという称号は偽物だった」とバーマンは言います。

「ブルーテック・ディーゼルは、暖かいときこそ『クリーン』かもしれないが、そうでないときには『ダーティー』だと、メルセデス・ベンツが開示したことはない。メルセデスのディーゼルは華氏50度を下回ると、人間の健康以上にエンジンパワーと会社の利益を重視する。」

──環境に優しい車を買ったと思っていたのに、メルセデス・ベンツの欺瞞のために損害を被った──というのが、原告側の主張です。

※1 2014年2月に発覚した、イグニッションスイッチの不具合でエアバックが作動不良を起こす問題。GM側は死亡事故に繋がる可能性を認識しながら、長年に渡ってこの欠陥を放置していた。この欠陥が原因で死亡したとされる人数は100名以上。

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メルセデス・ベンツおよび当局の対応

メルセデス・ベンツ社からのコメントはなく、米国EPAも「ディーゼル車の試験(おそらく実際に走行しての排ガス検査)が進行中であるし、政府機関が民事訴訟についてコメントはしない」と述べています。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の記事もぜひご覧ください。

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