再び4WDターボの時代到来? 次期メガーヌRSも4WDに?

Renaultの新車情報

ルノー_次期メガーヌRS

AutoEXPRESSによると、次期メガーヌRSが4WD化され、パワーも300psオーバーになるそうです。

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4WDターボ化は必然

次期メガーヌRSが4WDターボ化するのは、フォード・フォーカスRSに対抗するためです。

フォード_フォーカスRS Mk3
フォード・フォーカスRS Mk3

画像の出典: netcarshow.com

新型フォーカスRS(Mk3)は、350psの2.3L直列4気筒エコブーストを搭載し、「フォード・パフォーマンスAWD」により4輪にトルクを配分します。

「フォード・パフォーマンスAWD」には、前後のトルク配分を調整する機能だけでなく、状況に応じて後輪のトルク配分を左右で可変させる「ダイナミック・トルク・ベクタリング」も搭載。それらを活用した「ドリフト・モード」すら実装されています。

なぜホットハッチが4WD化するのか?

メガーヌRSもフォーカスRSも、ホットハッチに分類されている車です。

ホットハッチといえば軽量コンパクトなボディに、ハイパワーエンジンを積んだモデルのことを指します。なので駆動方式には軽量なFFが採用されてきました。事実、先代フォーカスRS(Mk2)も、WRCに参戦しているフォーカスが4WDであったにもかかわらず、軽さを重視してFFでリリースされました

ではなぜMk3では4WDになったのか? その答えはエンジンにあります。

Mk3の2.3Lエコブーストは、マスタングの2.3Lエコブーストをファインチューンしたものです。ワンクラス上の車種のハイパワーエンジンを使うのは、ホットハッチでは常套手段です。

かつてはNAエンジンが主流で、ホットハッチに使われるのもハイパワーなNAエンジンでした。しかし直噴ターボが当たり前となった今では、ホットハッチにもターボエンジンが搭載されます。

となるとホットハッチもターボパワーに対応しなければなりません。しかし駆動と操舵を前輪のみで行うFFでは大パワー&大トルクを受け止められないので、必然的に4WD化せざるを得ないのです

ニュルブルクリンクの権威

もう一つの理由としては、ニュルブルクリンクにおけるタイムアタックの隆盛でしょう。日産・GT-Rがやり出した「ニュルで速い車の方が優れている」というアピールの仕方は、タイムという数値でスポーツ車を格付けできるために、今ではほぼ全ての自動車メーカーが熱心に取り組んでいます。

サーキットでラップタイムを削り取るには、「ハイパワーなエンジン」と「賢い4WDシステム」を投入するのが一番手っ取り早いです。メガーヌRSが4WD化するのも、結局はフォーカスRSにラップタイムで勝つためでしょう。

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かつては日本のお家芸だったが……

ワンクラス上の車のハイパワーターボエンジンを、クラス下のコンパクトな車体に使って動力性能を高めるやり方は、かつてはグループAラリーカーのホモロゲーションモデルでよく用いられていました。

たとえばランサーエボリューションは、ギャランの4G63ターボを軽量小型なランサーに載せ替えたモデルですし、インプレッサWRXもレガシィのEJ20を移植されています。

しかし90年代当時の欧米の自動車メーカーは、WRCで日本車が暴れまわっているのを指をくわえて見ているだけで、4WDターボ車を市販しようとはしませんでした。コスト的に割に合わないためです。

生産工程が複雑な4WDターボ車を採算ベースに乗せることができるのは、日本の自動車メーカーだけだとかつては言われていました

採算を度外視したフォード・エスコートRSや、新車価格が500万円以上もしたランチアデルタHFインテグラーレに対し、300万円程度でホモロゲモデルを市販していたトヨタ・スバル・三菱などは、市場において圧倒的な競争力を持っていたのです。

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高付加価値製品としての4WDターボ車

フォード・フォーカスRS(Mk3)は、£30000(1£=¥160換算で480万円)と高価です。次期メガーヌRSも同程度の価格になるとされています。

スバルWRX STIも、今や400万円もする高級車です。しかしそれでも売れています。昔とは異なり、4WDターボ車は高付加価値製品であるという認識が市場に浸透しているため、高くても売れる=採算が取れるのです。

畑を耕して実りを刈り取らない日本

そのような認識を広めたのは、間違いなく日本の自動車メーカーでしょう。ランエボやインプレッサが比較的安価なハイパフォーマンスカーとして若者に人気だったことが、4WDターボ車の市場を開拓する原動力となったのです。

しかし実りの時期を迎えた4WDターボ車の市場にランエボの姿はありませんし、セリカの名も失われて久しいです。トヨタと三菱は実にもったいないことをしたと思います。日本企業のブランド戦略下手は昔からですが、自ら切り開いた市場を他社に明け渡すのは愚かとしか言いようがありません

三菱_ランエボ10
ラリーでの激闘の日々は無駄だったのか?

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最後の砦はスバルだけですが、性能的にも価格的にもWRX STIとフォーカスRSとの間には差がありませんから、先駆者としての優位はもう無いと見るべきでしょう。フォードやルノーにサーキットで返り討ちにされるのは、もしかするとスバルの方かもしれないのです。

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