国内自動車メーカーの2015年中間決算まとめ

テクノロジー・業界分析,批評

ますますアメリカ頼みに

国内自動車メーカーの中間決算が出揃いましたので、表にしてみました。



()内は前年同期比。売上高と営業利益の単位は億円。

メーカー名 グループ販売台数 売上高 営業利益 売上高営業利益率
トヨタ 4278000(-4.4%) 140915(+8.9%) 15834(+17.1%) 11.23%
日産 2616000(+1.5%) 59333(+15.3%) 3950(+50.8%) 6.65%
ホンダ 2286000(+7.6%) 73260(+15.6%) 4041(+7.9%) 5.51%
スズキ 1390000(-2.8%) 15555(+8.7%) 1011(+12%) 6.5%
マツダ 764000(+14.2%) 17005(+17.0%) 1259(+21.1%) 7.4%
ダイハツ 642000(-10%) 8215(-3.2%) 302(-18.6%) 3.6%
三菱 521000(±0.0) 10698(+3.4%) 584(-6.8%) 5.4%
スバル 472000(+9.4%) 16015(+22.2%) 2851(+53.6%) 17.8%

好調なアメリカ市場の波に乗ったホンダ・マツダ・スバルの3社が、販売台数と売上高を大きく伸ばしました。スズキは国内軽自動車販売が低迷し販売台数こそ前年同期比マイナスとなりましたが、インド市場が好調なおかげで売上が大きく伸びました。

特にスバルは販売台数が最も少ないにも関わらず、営業利益は4番目に大きく、営業利益率では堂々トップです。プレミアムブランドへの道を着実に歩んでいますね。

中国経済の悪化が、東南アジアに波及

逆にトヨタ・日産・ダイハツ・三菱は、日本国内と中国・東南アジア市場の落ち込みに足を引っ張られた格好です。

それでもトヨタや日産は売上高や営業利益を伸ばしています。ハイブリッドカーなどの収益性の高い商品で、伸び悩む販売台数をカバーしたものと思われます。

ダイハツはかなり危険な状況です。何らかのテコ入れを行わなければ、日本経済の縮小とともに売上を失っていくでしょう。

日本経済のカギを握る、中国と東南アジアの景気

日本と中国は領土問題や歴史認識において政治的な対立があるために、中国の経済成長の鈍化を喜ぶ声もチラホラと聞こえてきます。しかし東南アジア市場の発展には、チャイナマネーの投資が欠かせません。ASEAN諸国の総人口は6億人もいるため、日本からの投資だけで、東南アジアの経済成長を維持することは不可能なのです。

政治的リスクを考えれば、日本が中国に投資したり、経済支援をするメリットはあまりないといえます。けれど中国経済がコケてしまうと、東南アジア市場もコケる可能性が高いのは間違いありません。

チャイナマネーによる東南アジア市場の成長は、日本にも大きな利益をもたらします。東南アジアのTPP加盟国が増えれば尚更です。中国経済の崩壊を喜ぶことは、日本の衰退を喜ぶことでもあるのです。