メガーヌRSトロフィーRを実際にニュルで走らせたら……公式記録より15秒も遅い!?

テクノロジー・業界分析

Renault Megane RS Trophy-R

ルノー メガーヌRSトロフィーRといえば、ニュルブルクリンクでホンダ シビックタイプR(FK8)のタイムを上回ったFF最速車として有名です。

そのメガーヌRSトロフィーRを、ドイツのSport Auto誌がニュルブルクリンクで走らせたところ、なんと公式記録より15秒も遅いタイムしか出せませんでした。


なぜ15秒も遅いのか、YouTubeのコメント欄では様々な仮説が語られています。
今回はそれらの中で代表的なものをいくつか取り上げ、検証します。


メガーヌRSトロフィーRがニュルで15秒も遅かった理由

ドライバーのせい?

ルノーの公式記録は、ルノー・スポールのテストドライバーであるロラン・ウルゴン氏によって記録されたものです。
クリオカップのセーフティーカードライバーなども務めていたようですし、何より自動車メーカーにその腕を認められているわけですから、一流のドライバーといえるでしょう。

一方、Sport Auto誌のテスターを務めたのはChristian Gebhardt氏です。
彼はニュル24時間やVLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)に何度も出場しているニュルのスペシャリストで、2018年のニュル24時間ではSP8Tクラスで優勝しているほどのドライバーです。
実力に問題があるとは思えません。

実際、AMG GT R Proのタイムだと、AMGのメーカー公式記録(7分04秒632)に対し、Gebhardt氏は7分06秒60を記録しています。


ちなみにAMG公式の方は、ワークスドライバーのマーロ・エンゲルが記録したタイムです。
約20kmのコースでワークスドライバーから2秒落ちなら、相当な腕前といえるのではないでしょうか。
よってドライバーが原因であるとは考えにくいです。

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気候・路面温度のせい?

ルノー メガーヌRSトロフィーRが7分40秒100というFFが最速タイムを記録したのは、2019年4月30日でした。
当日は氷点下3℃で路面も凍っていたため、午前11時ごろまで待ってからアタックを開始したそうです。
路面温度はかなり低かったと考えられます。

一方、Sport Auto誌のテストは、2019年6月に行われたものです。
フロント周りが大量の虫の死骸で汚れているところを見ると、既に暖かい時期だったと見るべきでしょう。
日も照っていますし、路面温度も結構高かったのではないでしょうか。

路面温度が高いとタイヤのグリップが低下しますし、気温が高いと空気密度が低下するため、エンジンパワーも低下します。
ターボエンジンだとその差はより顕著です。

15秒の遅れというと大きな差に感じますが、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェは1周約20kmもありますから、1kmあたりだと0.75秒遅れでしかありません。
エンジンパワーとタイヤのグリップ低下でその程度タイムを失うことは十分に考えられます。

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セッティングが不十分だった?

メガーヌRSトロフィーRには、標準でオーリンズの調整式ダンパーが装備されています。
フロントは車高と減衰力を、リアは減衰力のみを調整可能です。

ルノーがテストした際には、タイムアタック用に完璧に調整されていたことでしょう。
ドライバーのロラン・ウルゴン氏はルノー・スポールのシャシー担当開発ドライバーなので、セットアップはお手の物のはずです。

一方、雑誌のテストで完璧なセットアップができていたとは思えません。
メーカーのようにデータを持っていないからです。

ウルゴン氏は、メガーヌRSトロフィーRが軽量化のために4コントロール(後輪操舵)を取り外したため、「操れるのはかなりのエキスパートドライバーのみ」だと語っています。
つまり、かなり手強いマシンになっているということです。
Gebhardt氏もエキスパートドライバーであることに疑いはありませんが、セッティングが決まっていなければ手強いマシンを手懐けることはできません。
実際、ウルゴン氏がアタックしたときの方が挙動が安定していて、ステアリングの修正も少ないので、セッティングが不十分だった可能性は十分にあります。

ロラン・ウルゴン氏がタイムアタックした際の車載映像

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メーカーのテスト車両が「チューニング」されていた?

ルノーがタイムアタック車両に特別なチューニングを施していた可能性はもちろんあります。
かつて日産がライトチューンしたR33 GT-Rを広報車にしていたこともありますし、ニュルのアタック車両が市販車と全く同じである保証は無いのが現実です。

チューニングしたR33の広報車にドリキン土屋圭市がブチ切れた事件

しかしメガーヌRSトロフィーRは、世界限定30台の「カーボンセラミックパック」と呼ばれるグレードをわざわざ設定し、その車両でタイムアタックしているので、ルノーのテスト時だけ特別なチューニングを施す必然性がありません。
どうせチューニングするなら、カーボンセラミックパックに最初から盛り込んでおけばいいわけですからね。
よってメーカーのテスト車両だけに特別なチューニングが施されていたというのは考えにくいです。

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出典・参考サイト

  • メガーヌ R.S. トロフィーR – renault.jp
  • 「一発タイムはDCT、ロングランならMT」ニュル最速男、ロラン・ウルゴンが明かすルノー・メガーヌR.S.トロフィーのすべて – motor-fan.jp
  • Christian Gebhardt – driverdb.com

最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。

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