スズキ・バレーノはリッター100psオーバー!
新しいファミリーカー像を提供できるか
スズキの新型車「バレーノ」は、「スイフト」の後席を拡大したファミリー向けの車です。昨年の東京モーターショーでも「iK-2」として展示されていましたが、その市販バージョンがいよいよ公開されます。お披露目の舞台はジュネーブ・モーターショーです。
トップ画像の出典: netcarshow.com
目次
バレーノに搭載されるエンジン
エンジンは新開発の「1.0 Booster Jet」が搭載されます。直列3気筒・直噴ターボで、パワーは110ps、トルクは17.3kgf・mを発揮します。
Eco Boostとの比較
1リッターの3気筒直噴ターボというと、フォードのEco Boostが真っ先に思い浮かびます。ダウンサイジングターボのトレンドを決定づけたエンジンです。
VWもポロ・ブルーモーションに、3気筒直噴ターボを搭載しています。それぞれのパワーとトルクを比べてみましょう。
メーカー | エンジン | パワー(ps) | トルク(kgf・m) |
---|---|---|---|
スズキ | 1.0 Booster Jet | 110 | 17.3 |
フォード | 1.0 Eco Boost | 100 | 17.3 |
VW | CHZ | 95 | 16.3 |
スズキの「1.0 Booster Jet」は、競合する他のエンジンを凌ぐ性能です。今後しばらくは、スズキの主力エンジンとして活躍することでしょう。
バレーノにも「Sエネチャージ」?
バレーノの話に戻ると、上記の「1.0 Booster Jet」の他に、4気筒の「1.2 SHVS(Suzuki Smart Hybrid System)」の搭載が予定されています。
carscoops.comによると、「SHVSはスタータージェネレーターにリチウムイオン電池をつなげたもの」と説明されているので、おそらくソリオバンディットの「マイルドハイブリッド」のことではないかと思いますが、今のところ詳細は不明です。
リッター100psオーバーのすごさ
日本製の自然吸気(NA)エンジンでリッター当たり100psを初めて突破したのは、ホンダのB16A型エンジンでした。現在でもNAでリッター当たり100psオーバーのエンジンは、スポーツモデルや高級車に限定されています。
ではターボなら簡単に達成できるかというと、意外にそうとも言えないのです。
日本製のターボ車でリッター100psオーバーを達成したのは、GT-R、ランエボ、インプレッサWRX、シルビア、MR2などのスポーツモデルに限られています。当然高価ですし、燃費を考慮せずパワーだけを重視した結果ですから、「高効率」とはとても言えません。
国産のリッター100psオーバー車としては、他にスカイライン200GT-tと直噴ターボのクラウンアスリートが挙げられます。しかしどちらも実用車ではなく高級車ですし、スカイラインのエンジンにいたってはメルセデス製です。
最近は国産実用車にもターボモデルが増えましたが、直噴ターボを搭載したステップワゴンがちょうどリッター100ps、オーリス120Tはリッター100psに届きません。
つまり実用車向けエンジンでのリッター100ps超えは、国産エンジンの大きな壁だったのです。
スズキの「1.0 Booster Jet」は、実用車向けエンジンでありながらその壁を初めて突破した国産エンジンであり、スズキの技術力の結晶と言えるでしょう。
これからのスズキのエンジンラインナップ
すでに欧州版スズキ・ビターラには、「1.4 Booster Jet」搭載モデルが追加されました。こちらは138ps、22.4kgf・mというスペックです。数字だけ見れば、次期スイフトスポーツに搭載されてもおかしくないエンジンです。
次期スイスポにも!? スズキの新型1.4Lターボについて | 車知楽
とはいえ「1.0 Booster Jet」が、NAの「1.2 Dual Jet」と置き換わることはないでしょう。「1.2 Dual Jet」は開発されて日が浅いですし、パワー・トルクでは「1.0 Booster Jet」の方が上でも、燃費面では「1.2 Dual Jet + マイルドハイブリッド」の方が優れているはず※1 だからです。
「1.0 Booster JET」はベーシック、「1.2 Dual Jet」は燃費重視、そして「1.4 Booster JET」はスポーツといった形で、各グレードを差別化するために使い分けられると思います。
直4 2.4L NAはどうなる?
エスクードに搭載されている2.4L NAはどうなるのでしょうか。この「J24B」型エンジンはスズキ・キザシに搭載されたときにリファインされているものの、今年で登場から丸10年になります。性能面でも陳腐化していますし、そろそろ新型が登場してもおかしくはありません。
フォードには「1.6L Eco Boost」、VWには「1.8 TSI」があります。スズキが1.6〜1.8Lの直噴ターボユニットを作る可能性は、十分にあると見てよいでしょう。
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