スズキ ジムニーEVは登場するのか?
スズキが2030年度までのEV投入計画を発表したのですが、その説明会で使われたスライドに、ジムニーらしきシルエットが使われていました。これはジムニーEVの登場を示唆しているのでしょうか。
今回はスズキのEV戦略の概要と、ジムニーEV登場の可能性について考えてみます。
スズキのEV戦略
スズキは2024年度にBEVを欧州に初投入する予定です。そして2030年までにEVを5車種に拡大し、販売車種の80%をEVに、残り20%をハイブリッドにするとしています。
ジムニーEV登場の可能性
スズキは欧州市場においてSUVラインナップを拡大する計画のようです。スライドのシルエットも、ほとんどの車種がSUVとなっています。
しかし現行型のジムニーは欧州の排出ガス規制に適合していないため、イギリスでしか販売されていません。しかもそれは商用バンとしてのみ認められており、後席すら付いていないのが現状です。
ジムニーのような人気車種を販売できないのは、スズキにとって大きな機会損失です。EV化すれば排出ガス規制は関係なくなるので、早い時期にジムニーEVが登場する可能性があります。
ジムニーEVのプラットフォームは?
先日スズキはeVXコンセプトという電動SUVのコンセプトカーを発表しましたが、その全長は4.3mほどだと言われており、ジムニーのボディサイズとはかけ離れています。
eVXコンセプトには60kWhのバッテリーが搭載されていますが、ジムニーEVに同容量のバッテリーを搭載するのは物理的に不可能でしょう。ちなみに軽EVの日産サクラには20kWhのバッテリーが搭載されています。
スズキは軽商用EVを2023年度に発売するとしていますが、ジムニーは伝統的にラダーフレームなので、軽商用EVのプラットフォームを流用することはないと思います。ラダーフレームを諦めるか、ジムニー用のEVプラットフォームを開発するかのどちらかになるでしょう。まあ、レンジローバーもラダーフレームをやめて久しいので、ジムニーもモノコックになるかもしれません。
ジムニーEVの価格は?
スズキの鈴木俊宏社長は軽EVの価格について「200万円がひとつの基準」「100万円台をなんとか達成したい」と回答しています。スズキらしいコストパフォーマンスの良さを、軽EVでも実現する考えのようです。ジムニーEVもそうなることを期待したいのですが、現行型のジムニーですら最上級グレードが190.3万円なので、200万円以下でジムニーEVを販売するのは難しいと思います。できるとしても廉価グレードだけでしょう。
スズキは電動化関連投資として、2023年度から2030年度までの8年間に2兆円を投資する計画です。すでにインドのTDSG社(スズキ、デンソー、東芝の3社で作った合弁会社)でバッテリーセルの生産も開始しています。EV関連では遅れを指摘されることが多い日系メーカーですが、スズキはその中でも先行している方だと思います。インド生産でコストダウンすれば、安価なEVの供給も可能かもしれません。
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