BTCCのすゝめ 超接近戦のツーリングカーレースは一見の価値あり
レースの無いオフシーズンは、モータースポーツファンにとって退屈な日々が続きますよね。
筆者はJSPORTSオンデマンドに入っているのですが、スーパーGTなどはリアルタイムでチェックしていたこともあり、総集編であってももう一回見る気にはなれません。
以前は海外のレース動画(V8スーパーカーやNASCAR・K&Nプロシリーズなど)がYoutubeに結構上がっていたのですが、最近はすっかりお目にかからなくなりました。
日本では視聴手段が無い(CATVも含めそもそも放送していない)レースも多いので、Youtubeがダメとなると、まったく見れなくなるのが痛いですね。
BTCCもそんなレースのひとつだったのですが、ネットを探していたらitv(BTCCを中継しているイギリスのテレビ局)のサイトで2016年のBTCC全レースを配信しているのを発見し、嬉しくなってこの記事を書くことにした次第です。
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British Touring Car Championship – itv
現在のBTCCのレギュレーションや有力チーム&ドライバーついては、簡単にまとめておきましたので以下の本文をご覧ください。
BTCCとは?
イギリス・ツーリングカー選手権(British Touring Car Championship)の略称です。
選手権の格式としてはイギリスの国内選手権でしかないのですが、最も歴史の長いツーリングカーレースであるため、世界的に有名なシリーズとなっています。
マシンのレギュレーション
以前はFIAのスーパー2000規定の車両が走っていましたが、2011年からはBTCC独自のNGTC(Next Generation Touring Car)規定に基づく車両が導入され始め、2015年からは完全にNGTCのみのレースとなりました。
NGTCのスペック
NGTCのエンジンは2.0L・直噴ガソリンターボで、最高出力は350ps以上とされています。
ドライブ・バイ・ワイヤによるスロットルコントロールや、オーバーブースト機能なども実装済みです。
ギアボックスはXtrac製の6速シーケンシャル。
APレーシングのクラッチを介しエンジンと接続されています。
駆動方式は前輪駆動でも後輪駆動でも構いませんが、エンジンの搭載位置はおそらくフロントでなければならないはずです。(ミッドシップ車がエントリーしたことはこれまで無いため)
4WDもおそらく禁止だと思われます。(レヴォーグは後輪駆動に改造されている。)
NGTC最大の特徴は、前後のサブフレームが共通規格化されていることでしょう。
フロントサブフレームにはエンジンが取り付けられ、リアサブフレームはロールケージと締結されます。
サスペンションはダブルウィッシュボーンで、コイルオーバーダンパーとの組み合わせ。
ブレーキシステムはAPレーシング製のワンメイクです。
NGTCのボディシェルに関する規定は以下のとおり。
- 全長4400mm以上。
- 全幅は1875mmに統一。
- 2ドアおよび3ドア車の場合は、4ドア/5ドア車と共通の基本骨格を持つこと(つまり4ドアセダンの2ドアクーペモデルなどでなければ、NGTCのボディシェルとして使えない。)
- イギリスにおいて一般的なディーラーで購入可能なモデルであること。
- 18インチセンターロックホイールを使用。
また、参戦する際に適当なエンジンが無い場合には、運営団体のTOCAが用意した、スウィンドン・チューンのTOCAエンジンを使用することもできます。
スーパーGTのマザーシャシーが、GTAエンジン(中身はLMP2用の日産VK45DE)を使うのと同じだと思えばよいでしょう。
現在TOCAエンジンを使用しているのは、MG6 GT、トヨタ・アベンシス、メルセデス・ベンツAクラス、フォルクスワーゲン・CCなどです。
ホンダ、BMW、スバル、フォードの4車は、市販車に搭載されているエンジンを使用しています。
BTCCのレースフォーマット
1イベント・3レース制を採用しています。
つまり同じサーキットで3回スタートが切られるわけです。
1レースの距離は短く、16〜25周程度で終わりますが、3周以上セーフティカーランが続いた場合に限り、レース周回数が3周分延長されます。
レース1は予選の順位に、レース2はレース1の順位にしたがってスターティング・グリッドが決定しますが、レース3はリバースグリッドとなります。
ただし「レース2をわざと遅く走る」という不正を防ぐために、6〜10位のどこからリバースグリッドとなるかは抽選です。
たとえばレース2において7位だった選手が抽選で選ばれ、そこからリバースグリッドが適用される場合には、レース3のスターティング・グリッドは、7-6-5-4-3-2-1-8-9-10-11-12……(数字はレース2の順位)となります。
タイヤレギュレーション
タイヤはダンロップ・SportMaxxのワンメイクですが、スタンダードとソフトの2種類が用意されています。
ソフトタイヤはシーズンを通じ、レース1・2・3のそれぞれで3セットずつしか使えません。
たとえばシーズン序盤3イベントのレース1全てにおいてソフトタイヤを投入した場合、その後のイベントのレース1ではソフトタイヤを使えないということです。
おそらくリバースグリッドのレース3にソフトタイヤを集中投入させないためのルールでしょう。
サクセスバラスト
ハンデウェイトですね。
1位75kg、2位66kg、3位57kg、4位48kg、5位39kg、以下は6kg刻みで10位までバラストを課せられます。
レース1のサクセスバラストは、チャンピオンシップ順位に基づき決定され、レース2・3は、直前のレース順位に基づき決定されるシステムです。
BTCCの有力チーム&ドライバー紹介(2016年版)
ホンダ・チーム・ダイナミクス
泣く子も黙るBTCC最強チームです。エントリー名はハルフォード・YUASA・レーシングとなっています。
マシンはもちろんシビックタイプR。
ドライバーは3度のタイトルを誇るマット・ニールと、2012年と2015年の覇者ゴードン・シェダンの2人であり、マシン・ドライバーともに隙の無い陣容です。
ウエスト・サリー・レーシング
イギリスの名門チームが走らせるのは、彼らが開発したBMW 125i M Sportです。
125iはシビックに匹敵する速さを秘めており、2014年には当時125iをドライブしていたコリン・ターキントンをタイトルに導きました。
2016年のドライバーは、期待の新星サム・トードフと、ルノー・クリオカップからステップアップしてきた若手ジャック・ゴフ、ETCCでも活躍していた大ベテランロブ・コラードの3名です。
トリプル・エイト・レーシング
MG6 GTを走らせるのは、1996年設立と比較的歴史が浅いにもかかわらず、これまでにBTCCマニュファクチャラータイトルを9回も獲得している、強豪トリプル・エイト・レーシングです。
トリプル・エイト・レーシングには、実はオーストラリアに分家が存在します。
「ヴァージン・オーストラリア・スーパーカー・チャンピオンシップ(旧称V8スーパーカー)」のレッドブル・オーストラリア・チームのオペレーションを担当しているのがそれです。
以前はジェイソン・プレイトを擁し憎たらしいくらい強かったのですが、今年はジネッタ・ワンメイク上がりのジョシュ・クックと、ルノー・クリオカップ上がりのアシュレー・サットンという若手コンビになりました。
2人の成長に期待しての起用だと思うので、2016年に関しては雌伏の年ということでしょうか。
BMRレーシング
BMRレーシングは2013年設立の新興チームですが、スバルUKとタッグを組み、独自に開発したレヴォーグをBTCCに投入してきました。
4台体制ですが、有力なのはジェイソン・プレイト、コリン・ターキントンの2人です。
どちらも2度のBTCCタイトルを獲得しており、ドライバーラインナップ的にはホンダに勝るとも劣りません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。BTCCのレース動画は以下のリンク先からどうそ。