日産 新型マーチの評価まとめ VWポロにがっぷり四つ!

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新型マーチ(海外名:マイクラ)の試乗レビューが、イギリスの複数の自動車メディアに掲載されました。
どうやら日本よりも先に、イギリスのモータージャーナリスト達に試乗の機会が提供されたようです。

辛口のイギリス人たちからどんな評価が下されるかとヒヤヒヤしながら読んでみたのですが、高評価の連発でいささか面食らいました

今回は試乗レビューを引用しながら、新型マーチの実像に迫ろうと思います。


新型マーチの概要

レビューをチェックする前に、新型マーチのスペックをざっとおさらいしておきましょう。
まずはボディサイズから。

主要諸元
全長(mm) 3999
全幅(mm) 1743
全高(mm) 1455

全長はぎりぎり4m以内に収まっていますね。
全幅は3ナンバーサイズなので、日本のコンパクトカーの基準に照らし合わせるとやや幅広です。
次はエンジンのスペックを見ていきましょう。

レイアウト 燃料 過給器 排気量(L) 馬力(ps) トルク(Nm)
直3 ガソリン ターボ 0.9 90 149
NA 1.0 73 95
直4 ディーゼル ターボ 1.5 90 220

全車フロントエンジン・フロントドライブ(FF)です。
ギアボックスは5速MTもしくはCVTのようですが、イギリスでのローンチ時は5速MTのみで、CVT仕様は遅れて発売されるのだとか。
ATが98%以上を占める日本では、ちょっと考えられない販売戦略ですね。

燃費は0.9Lガソリンターボの16インチ車が27.3km/L、同17インチだと25.2km/Lとのことですが、欧州NEDC基準の燃費なので日本のJC08と同じく、実燃費は数値の8割くらいだと思います。

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新型マーチの海外レビューまとめ

それでは海外での日産マーチのレビュー記事を見ていきましょう。

エクステリア

この角度から見たときが一番イケメンに見える。
躍動感のあるリア周り。

流れるようなルーフラインと大胆なショルダーライン、スリークなヘッドライトと活発なカラーなど、これまでの日産のコンパクトカーとは異なる。見た目が良く、若いユーザー向けのモダンな車だ。

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ブラックアウトされたリアクォーターガラスと、フローティングルーフは上手く機能している。
自分の肩越しに斜め後方のブラインドスポットを見るなら、注意しなければならないが……。

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見た目の評価は良好ですが、斜め後方の視界は悪いようです。
最近のマツダなどが顕著ですが、後方視界はバックカメラに頼るものとして割り切り、デザインを重視するメーカーが増えていますね。

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インテリア

ホールド性の良さそうなシート。ヘッドレストにはBOSEのスピーカー埋め込まれている。
オレンジの加飾が施されたインテリア。
こちらはボルドー。オレンジとは打って変わって、落ち着いた雰囲気だ。
7インチディスプレイは、縁取りがメッキ加飾されていて高級感がある。
リアシートは少し狭そうだ。

Teknaグレード(上級グレードのこと)のテストカーは、キャビンの周囲にソフトパッドを配し、ダッシュボードとセンターコンソールはカスタマイズ可能な色で彩られていた。

下の方には傷つきやすいプラスチックがあるが、VWポロと同じく、運転中にそれらを無視するのは簡単だ。
7インチディスプレイは我々が見た中で最も鮮明なディスプレイとはいえないが、安く見えず高級感がある。

ドラポジはよく考えられている。調整幅が大きく、シートも快適だし、前方視界も良い。
後席は子供にとっては十分だが、ルーフラインの低さは、背の高い乗客にとって後席が快適でないことを意味している。

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17cm延長され8cmワイドになった車体が、とくにフロントにさらなる広さを保証している。

乗り込むと、キャビンは先代よりもかなり広くなっていた。
フロントシートは硬めだが快適で、アップグレードされたヘッドレストには素晴らしいBozeスピーカー(£500)がインストールされており、臨場感あふれる音が印象的だった。
コンパクトカーでこれ以上のオーディオ体験は考えられないと思う。

質感の高さも印象的で、オーナーは3種類の異なるインテリアカラーを選択でき、加飾パネルがダッシュボードをおめかししてくれる。
カラーパックには、ギアレバー前方のアンビエントライト付きのスマートフォンホルダーも含まれている。

VWポロのクォリティには及ばないが、大量生産車のインテリアとしてはベストのレベルにまで引き上げられている。
タッチスクリーンのインフォテイメントは効果的に機能しており、上級グレードではApple CarPlayも選択可能だ。

後部座席は傾斜したルーフラインの犠牲となっており、頭上を邪魔している。
子どもたちにとっては問題無いだろうが、もしシュコダ・ファビアレベルの広さに慣れているならば、少し圧迫感を覚えるだろう。

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マイクラ(マーチ)のキャビンは、野心的で躍動感のあるエクステリアの装いと同じ味付けだ。

プラスチックの質感は高い。テストカーのようにカラフルでリッチな質感のマテリアルを得るには、ハイエンドモデル(Teknaグレード)を購入しなければならないが、ソフトタッチのダッシュボードとクロームのアクセントが標準装備される。

パワーステアリングと同様に、マイクラ(マーチ)の計器類はキャシュカイの流用だ。
5インチカラー液晶のトリップコンピュータ画面も見やすい。

タイトな後席は、この車のレベルにおいては落第点だが、かさばるチャイルドシートを設置するのに不自由するほどではない。

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インテリアの質感は良く、ドライビング・ポジションも快適なようですが、残念ながら後席の頭上空間が狭いみたいですね。

子供にとっては問題なさそうですが、次期VWポロは後席の広さを確保すべく、ホイールベースを大幅に延長するので、新型マーチは厳しい戦いを強いられるかもしれませんね。

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走り・乗り心地・静粛性

ステアリングは曖昧だが、重さはちょうどいい。
街乗りでは重すぎず、高速走行でも気を散らすほどには軽くない。タイトコーナーでも落ち着いており、グリップも良い。

アクティブ・ライド・コントロールは、道路上に車をキープするために、エンジンのトルクとブレーキを制御する。
アクティブ・トレース・コントロールは、コーナリングの軌跡を小さくすべく、必要に応じて車輪を制動する。どちらもドライバーの操作に干渉せず、自然にふるまうよう設計されている。

0.9Lのガソリンターボエンジンはかなり良い。
コンパクトカークラスのベスト3気筒とは言えないが、キャビン内は非常に静か。
高回転でも振動は最小限で、クルーズでは本当に静かだ。
90psは流れに乗るのに十分だが、ポロやフィエスタの1.0Lほどのパンチは無い。

5速MTはスムーズな操作が可能で、良いギアボックスだ。
パワーバンドを維持するためにギアダウンするときにも苦労しない。
17インチは25.2km/L、1.5Lディーゼルは27.3km/Lで、短距離がメインならガソリンより良いはず。

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小さくダウンサイジングされた3気筒は、印象的で洗練されている。
確実にVWの3気筒より静かだ。
0.29の空気抵抗と相まって、巡航時は静けさは際立っている。
高回転では3気筒の雑音がわずかに聞こえるが、ほとんどの時間では問題ない。

90psではウォームハッチを脅かすことはできないが、ターゲットとなるマーケットにはぴったりだろう。
ブレーキは効果的にスピードを落とせる。

我々が乗った車は16インチホイールで、クッション性の高い乗り心地を提供してくれた。剛性感があり、ステアリングレスポンスもちょうどよい重さだった。

ドライブの楽しさでは、フォード・フィエスタが依然このクラスのベストカーだが、マイクラはもはや利益のためにドライビング・プレジャーを犠牲にしていない。

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走りや静粛性はかなり好評です。
乗り心地に関しては、やはり16インチの方が良さそうですね。
Auto Expressは17インチを試乗したのですが、テストコースが元々空港だった場所で、路面がフラットなために、乗り心地に関する評価は保留とのことでした。

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新型マーチは最強コンパクトカーの一角

ヨーロッパで現在評価が高いコンパクトカーは、VWポロとフォードフィエスタの2台です。
新型マーチはそれらに勝るとも劣らない車として、最強コンパクトカーのトップ3を形成できるだけのポテンシャルを秘めています。

トヨタC-HRレクサスLCマツダCX-5など、最近の日本車はデザインや走りでも欧州車に引けを取らなくなってきています。
そのうえ信頼性が高く、燃費も良く、価格も手頃なわけですから、欧米のメーカーは型無しです。

同じことは韓国車にも言えます。デザインと走りを高次元で両立させたキア・スティンガーGTの登場は衝撃的でした。
今後世界の自動車市場を牽引していくのは、日本・韓国・ドイツを加えた3カ国になるでしょう。
そして中国がチャレンジャーとして、日・韓・独に挑む形になるはずです。

逆にいうとそれ以外の国(特に米・仏)の自動車メーカーは、買収のターゲットになる可能性が非常に高いです。
自動運転やパワートレインの電動化の流れが加速するタイミングで、自動車業界の大再編が始まると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。