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WRC 2017 第4戦ツール・ド・コルス ヤリスWRCのターマックでのポテンシャルが試される一戦【4/10更新】

2017/04/11

2017年のWRC(世界ラリー選手権)、第4戦はフランス・コルシカ島で行われる伝統のターマック(舗装)ラリー、ツール・ド・コルスです。
ナロー&ツイスティなマウンテンロードには、10000ものコーナーがドライバーたちを待ち受けています。「コルシカウェザー」と呼ばれる気まぐれな山の天気にも要注意です。

パワステが無かったころのドライバーは、コルスを走るとたった1日でグローブがボロボロになったという。

ここまでの3戦はいずれも勝者が異なり、混戦模様となっていますが、果たして今シーズン2勝目を上げるドライバーがコルシカで誕生するのでしょうか。

トヨタはドライバー2人がグラベル育ちですし、ヤリスWRCはシーズンオフのテストでオジェにターマックでの開発遅れを指摘されていましたから、完走・ポイント獲得が目標になるでしょう。
シーズン後半に向けて、どれだけデータを集められるかが鍵になりますね。

このページではツール・ド・コルスの模様をダイジェストでお送りします。

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第4戦ツール・ド・コルスのダイジェスト

初日

最近のWRCでは木曜日の夜にスーパー・スペシャル・ステージ(街中などに設置される、ファンサービスのためのショートステージ)が設けられることが多いのですが、今回のコルスではありませんでした。

SS1 31.2km

金曜日の朝から、いきなりのロングステージとなったSS1。トップタイムを叩き出したのは、クリス・ミーク(シトロエン)でした。
「楽しんだよ」とミーク。「車の動きはファンタスティックだった。テスト期間中のチームのハードワークに感謝したい。とはいえ、先は長いけどね」

前戦メキシコで優勝した勢いそのままに、SS1から絶好調のミーク。

5.7秒遅れの2番手タイムはセバスチャン・オジェ(フォード)
「バンピーなセクションで上手く走れなかった、なので(その後は)気楽に走ったよ」

際立った速さがない今年のオジェ。マシンの性能ではシトロエンやヒュンダイに一歩劣るようだ。

トップから11秒遅れの3番手タイムは、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)でした。
「ステージの最後の部分がとても滑りやすくて、しかもダスティでした。上手く運転しようとしましたが、アンダーステアに悩まされており、車も私も100%ハッピーではありません。ラインを外れて少しタイムを失いました。クリーン・ランからは程遠いですね」

トヨタ勢は、ターマックを苦手とするヤリ-マティ・ラトバラが7番手につけるのがやっとだった上、ユホ・ハンニネンは橋の欄干にヒットし、ヤリスWRCが浮き上がるほどの大クラッシュ。その影響で車から出火してしまい、ハンニネンはデイリタイアとなってしまいました。

リタイア続きのハンニネン。シーズン中のドライバー交代もありえそうだ。

SS2 29.12km

またもやロングステージ。そしてトップタイムもまたもやミークでした。
「ホントに良いよ。去年このステージはオジェが完全制覇したステージなんだ。われわれは良いレッキ(事前試走のこと)ができたし、それを証明できた。さて、新しい靴(タイヤのこと)を履いて、午後に何ができるか見てみよう」

2番手タイムは3.1秒遅れでオジェ、3番手タイムはトップから6.2秒遅れでヌービルと、トップ3はSS1と変わらず。ターマックが得意なドライバーが上位を独占しています。

トヨタのラトバラは、トップから12.4秒遅れの5番手タイム。「良くなった、(SS1よりも)このステージの方が良かった。でもドライ・ターマックではまだまだ上手く走れていない。いくつかの場所では、私はまだノートどおりに走るのを躊躇してしまうんだ。自分のドライビングを改善しなければならない。ヤリスWRCは良いのだけども」

SS3 31.2km

SS1のリピートステージ。ここでのトップタイムはオジェでした。
「少し良くなった。まだ理想的な車にはなっていないけど、そうなるように努力してるよ」

オジェが駆る #1 フォード・フィエスタWRC

ところがオジェのチームメイトであるオットー・タナクは、コースアウトしてしまい復帰できず、デイリタイアとなってしまいました。
「コースアウトしたけど、車にダメージは無い。溝にハマって動けなくなってしまったんだ」

森の中に突っ込んでしまったタナクのフィエスタWRC。

0.8秒差の2番手タイムはミーク。「良いステージだった。タナクのせいでスローダウンしなければならなかったが、ステージは良いリズムで走れたし、問題ないだろう」

トップから6.2秒差の3番手タイムはヌービル。「とても良いステージにできたと思います。タナクがコースアウトしていたので少し遅れましたが、それにしても差が大きすぎます。次のステージではプッシュするつもりです」

ターマックを得意とするヌービルだが、やや遅れ気味。i20クーペWRCはターマックが苦手?

SS4 29.12km

初日最後のステージは、SS2のリピートステージです。トップタイムはミークが奪い返しました。初日は彼が支配したといっても過言ではないでしょう。
「コースがかなり汚れていたから、今日の午後の2ステージはタフだったが、楽しんだよ。でもセブ(オジェ)のことは常に気にしている、彼は絶対に諦めないタイプだからな」

そのオジェは2.2秒遅れの2番手タイムでした。「総合で2位にいるんだから、悪い1日ではなかったよ。車のフィーリングも少しづつだけど良くなっているしね」

トップから3.2秒遅れの3番手タイムはヌービルで、トップ3の顔ぶれは、やはり変わりませんでした。

総合順位もミーク、オジェ、ヌービルの1-2-3となっており、優勝争いもこの3名に絞られたといえます。
優勝争い以外の見どころとしては、総合4位につけているシトロエンの若手クレイグ・ブリーンが、トップ3にどこまで迫れるか。そしてトヨタのラトバラが、ヌービル以外のヒュンダイ勢を制して、トップ5を確保できるかに注目です。

クリス・ミークの連勝なるか?
第60回ツール・ド・コルス 初日結果
順位ドライバー/No./メーカー総合タイム/トップとの差
1クリス・ミーク1:16:32.1
#7 シトロエン──
2セバスチャン・オジェ1:16:42.4
#1 フォード+10.3
3ティエリー・ヌービル1:16:57.9
#5 ヒュンダイ+25.8
4クレイグ・ブリーン1:17:24.5
#8 シトロエン+52.4
5ダニ・ソルド1:17:25.9
#6 ヒュンダイ+53.8
6ヤリ-マティ・ラトバラ1:17:32.3
#10 トヨタ+1:00.2
7ヘイデン・パッドン1:17:50.9
#4 ヒュンダイ+1:18.8
8ステファン・ルフェーブル1:18:39.7
#9 シトロエン+2:07.6
9アンドレアス・ミケルセン1:19:29.4
#32 シュコダ(WRC2)+2:57.3
10ステファン・サラザン1:19:49.9
#84 シュコダ(WRC2)+3:17.8

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2日目

SS5 48.71km

路面が汚れていてとても滑りやすいSS5でトップタイムを叩き出したのは、これまでアンダーステアに悩まされていたヌービルでした。
「路面に土が多くて、とてもトリッキーなコンディションでした。ハードにプッシュしようとしましたし、最高の走りができたと思います」

そしてヌービルから4.7秒遅れの2番手タイムは、なんと昨日デイリタイアを喫したハンニネンです。
「このタイムには本当に驚いてるよ! 僕はただタイヤを温存しようと、スムーズに走ろうとしただけなんだけどね」

ヤリスWRCのポテンシャル

ハンニネンのタイムにも驚きですが、ターマックを苦手とするラトバラが、ターマックを得意とするソルドとほぼ同タイムで走れていることからしても、トヨタ・ヤリスWRCのターマックでのポテンシャルはかなり高いと言えるでしょう。
ただしその秘めた力を発揮するには、優れたセットアップが不可欠です。
しかし復帰初年度のトヨタには、セットアップを進めるためのデータが無いので、結局今年は「我慢の年」にするしかありません。そのかわり来年以降は期待できるでしょう。

SS6 17.27km

今回のツール・ド・コルスで初のショートステージでしたが、思わぬ番狂わせが起こってしまいました。
総合順位で首位を独走していたクリス・ミークが、エンジントラブルでリタイアに追い込まれてしまったのです

白煙を上げるミークのC3 WRC
ボンネットの周りはオイルまみれ。タービンブローだろうか。

また、DMACKタイヤを履くエルフィン・エバンス(フォード)もコースアウトするなど、波乱のステージとなりました。

リタイアとはならなかったものの、次のステージで7分遅れとなっている。

トップタイムはまたしてもヌービル。2番手はソルド、3番手はハンニネンでした。

オジェは8番手タイムと精彩を欠き、総合順位でヌービルの先行を許してしまいます。
「速さが足りていない。なぜこうなったかわからないよ。本当に説明できないんだ。とても悪いというわけではなかったけど、良くもなかったね」

SS7 48.71km

SS5のリピートステージです。オジェがトップタイムを記録し、SS6での不振を払拭しました。
「セットアップが少し良くなったし、車をさらに信用できるようになった。このラリーではこれ以上他のセットアップを試そうとは思わないね!」

このラリーで初のステージベストを獲得したオジェ。

そして5.0秒遅れの2番手タイムは、なんとラトバラ!
「明らかに良い走りができた! 泥や土が多くて厳しいステージだったけどね」

この日のトヨタはトップタイムこそ無いものの、ステージタイムでは常にトップ3に入っており、決して他車に見劣りしていません。

オジェから6.0秒遅れの3番手タイムはヌービル。
「とても良かったのですが、最初の左ヘアピンでスピンしてしまいました。そのときはリアデフの差動で、かなりホイールスピンしていました」

総合順位ではヌービルがトップ。しかし2位オジェとの差はわずか2.2秒です。

SS8 17.27km

ミークにエンジントラブルが起こったSS6のリピートステージで、またしても大波乱が。
なんとオジェにもトラブルが発生したのです。このステージは呪われているんでしょうか。

「SS7を終えた後、油圧を失ってしまった」とオジェ。「だから目標を今日1日を走りきってサービスに戻ることに切り替えたよ。デフは効かないし、パドルシフトも駄目だし、常時後輪駆動の車になってしまったんだ。その挙動にどれだけ苦労したか!」

オジェはマニュアルシフトでこのステージを走りきりましたが、ヌービルとの差は38.9秒にまで開いてしまいました。

SS8トップタイムはヌービル、2番手は3.2秒遅れでソルド、3番手はヌービルから3.6秒遅れでラトバラとなっています。

今年は2度も優勝を目前で逃しているヌービル。3度目の正直となるか?
第60回ツール・ド・コルス 2日目結果
順位ドライバー/No./メーカー総合タイム/トップとの差
1ティエリー・ヌービル2:44:10.2
#5 ヒュンダイ──
2セバスチャン・オジェ2:44:49.1
#1 フォード+38.9
3ダニ・ソルド2:45:07.9
#6 ヒュンダイ+57.7
4ヤリ-マティ・ラトバラ2:45:19.6
#10 トヨタ+1:09.4
5クレイグ・ブリーン2:45:22.4
#8 シトロエン+1:12.2
6ヘイデン・パッドン2:45:54.0
#4 ヒュンダイ+1:43.8
7アンドレアス・ミケルセン2:50:31.9
#32 シュコダ(WRC2)+6:21.7
8テーム・スミネン2:51:39.8
#34 フォード(WRC2)+7:29.6
9ステファン・サラザン2:51:57.0
#84 シュコダ(WRC2)+7:46.8
10ヨハン・ロセル2:54:06.7
#44 シトロエン(WRC2)+9:56.5

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最終日

3日目は2つのSSしか設定されていないものの、最初のステージは50kmオーバーの超ロングステージ、そして最終ステージは順位に応じてポイントが与えられるパワーステージですから、勝負の行方はまだまだわかりません。

SS9 53.78km

ここでトップタイムを記録したのはヌービル。2番手タイムもソルドが獲得し、総合順位でもヒュンダイの1-2体制となりました。

超ロングステージを制し、優勝に王手をかけたヌービル。

昨日はトラブルで首位を明け渡したオジェ。起死回生を図ったステージでしたが、なんと7番手タイムに終わってしまいます。電気系統にトラブルが発生していたようです。

トヨタ勢はハンニネンがストップ。ラトバラは4番手タイムを記録したものの、このステージで3番手となったクレイグ・ブリーン(シトロエン)に、総合4位の座を明け渡してしまいました。

「とても失望したよ」とラトバラ。「良いステージになったと思ってたからね。なぜこうなったかはわからない。このタイムは良くないよ」と、思った以上にタイムが出なかったことに困惑している様子。

逆にブリーンは「ステージの前半ではいい調子だと思ってたんだけど、後半は苦戦したよ。フロントから2回大きな衝撃を感じたので、パンクだと思ったくらいだ」と、こちらは良いタイムが出たことに驚いている様でした。

着実に成長している印象のブリーン。将来のWRCを担う逸材だ。

総合トップ5はヌービル-ソルド-オジェ-ブリーン-ラトバラの順。ヌービルは2位に1分近いリードを築いていますが、ソルドとオジェの差は2.5秒、ブリーンとラトバラの差は2.0秒という僅差です。

SS10 10.42km

ポイントがもらえるパワーステージでは、すべてのドライバーが全開でアタックします。
そのためターマックが得意なドライバー(ヌービルやオジェ、ソルドなど)がトップタイム獲得するだろうと思われていたのですが、フタを開けてみれば最速はなんとラトバラ!
「狂ったようにアタックしたよ。いくつかの場所でアンダーステアが出ていたから、多分ちょっとやりすぎたね」
これでラトバラは総合タイムで0.1秒だけブリーンを上回り、総合4位を手にしました

ターマックでも速さを見せたラトバラ。まだまだ成長中!?

2番手タイムはオジェ。「タフなラリーだったけど、終わってみればハッピーだったね。最終ステージではパワーを失い、アンチラグもダメで、デフはロックしたまま、ハンドブレーキも効かなくなっていた」
満身創痍ながら2番手タイムを叩き出したのは流石の一言ですが、フォード勢にトラブルが頻発しているのは気になりますね。

昨年までの圧倒的なスピードが無いオジェだが、ポイントの取りこぼしが無いのは見事。

3番手タイムはブリーンでした。「ベストを尽くそうとしたし、(ラトバラとの)バトルを楽しんだよ。この週末は積極的になれたね。少し経験も積めたし、ミスも無かった。そのことを喜ぶべきだと思う」

ヒュンダイ勢はソルドが4番手タイムに終わり、2位の座をオジェに奪い返されてしまいました。
「ラリー前と同様に、ここではすべてが奇妙な感じでした。3位に満足しています」とソルド。i20クーペWRCをまだ乗りこなせていないようです。

そしてヌービルはパワーステージで5番手タイムに終わったものの、ついに今シーズン初勝利を手にしました。
「晴れやかな気持ちです! チームには特にお礼を言いたいですね。モンテカルロとスウェーデンで私がミスをした後も、彼らは私を信じて支え続けてくれましたから。初日を終えたときには勝てるかどうか確信が持てなかったのですが、2日目には思い直しました。本当に嬉しいです!」

ようやく勝てたヌービル。ここから勢いに乗れるか?

ヌービルの勝利により、今シーズンは開幕4戦すべての勝者とメーカーが異なるという、異例の結果となりました。
今年はWRCの歴史上まれに見る大混戦になるかもしれません。

第60回ツール・ド・コルス 最終結果
順位ドライバー/No./メーカー総合タイム/トップとの差
1ティエリー・ヌービル3:22:53.4
#5 ヒュンダイ──
2セバスチャン・オジェ3:23:48.1
#1 フォード+54.7
3ダニ・ソルド3:23:49.4
#6 ヒュンダイ+56.0
4ヤリ-マティ・ラトバラ3:24:03.0
#10 トヨタ+1:09.6
5クレイグ・ブリーン3:24:03.1
#8 シトロエン+1:09.7
6ヘイデン・パッドン3:25:09.7
#4 ヒュンダイ+2:16.3
7アンドレアス・ミケルセン3:31:04.1
#32 シュコダ(WRC2)+8:10.7
8テーム・スミネン3:32:10.4
#34 フォード(WRC2)+9:23.6
9ステファン・サラザン3:32:17.0
#84 シュコダ(WRC2)+9:23.6
10ヨハン・ロセル3:35:50.5
#44 シトロエン(WRC2)+12:57.1

次戦ラリー・アルゼンチンは、4月27日に開幕します。
トヨタは標高の高いメキシコでエンジントラブルに悩まされましたが、同じく標高の高いアルゼンチンではどうなるでしょうか。

ラトバラは鬼門のアルゼンチンで結果を残せるか!?

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