ブラック企業っぽいテスラの従業員がハッピーな理由
安い給料で高ストレス。それでも幸せな仕事って?
SUVの「モデルX」に続き、今月末にはBMW3シリーズやレクサスISの対抗馬である「モデル3」の発表が予定されているテスラ・モーターズ。今もっとも勢いのある自動車メーカーといっても過言ではありません。
会社の業績も、電気自動車の走行距離のごとく年々伸び続けています。しかしテスラ従業員の待遇は、業績ほどには良くありません。
トップ画像の出典: car-brand-names.com
目次
ストレスフルな職場
米国版Autoblogによると、職場のストレスに関する調査において、テスラ社の従業員の70%が「(ストレスが)かなり多い」「非常に多い」と感じていることがわかりました。
70%という数字は、テック系企業ではワースト2位です。ちなみに1位はスペースX社で、従業員の88%が「かなり」または「非常に」ストレスフルだと答えています。スペースX社は、テスラと同じくイーロン・マスク氏(創業者)がCEOを務める会社です。
この件に関してマスク氏は「スペースXとテスラは、ハイテク業界でもっとも意義のある仕事に位置づけられている。また、もっともストレスフルだ。しかしそれはこのような仕事においてはつきものなのだ。」とコメントしています。
実際マスク氏のコメントを裏付けるように、テスラ社の従業員の89%は「自分たちの仕事は世界をより良くするもの」だと感じているようです。クリーンな電気自動車を世界に広めるべく、修道士のような心持ちで仕事に励んでいるのかもしれません。
他社と比較すると安い給料
仕事がキツくても報酬が良ければ、給料日のたびにストレスを癒やしてくれます。
「ハードワーク」と「高収入」のセットは、急成長した企業でよく見られるやり方です。いわゆるアメとムチですね。佐川急便方式といってもよいでしょう。
テスラも急成長中の企業です。しかし若手の年間報酬の中央値は$81,400で、テック系企業としては低い水準にとどまっています。中堅の年間報酬でも$118,500なので、他社と比べると見劣りするレベルです。
マスク氏は報酬の低さについて「テスラは仕事を外注していないからだ」と答えています。現場労働者を数多く雇用している分、中央値も低くなるのだと言いたいのでしょう。
仕事に満足度をもたらすのは何か?
テスラ社は「非常にストレスフルな職場」であるにもかかわらず、「比較的低報酬」です。しかし従業員の70%は、自分の仕事に「非常に/かなり満足」しているといいます。
日本でも労働環境に関する議論が盛んに行われています。しかしその大半は、既存企業を過激な言葉で批判したり、逆にフリーランスを過剰に賛美したりと極端なものばかりで、労働者の満足度を向上させる具体的な方法についてはおざなりです。
経済的報酬+精神的報酬=労働者の満足度
テスラ社の従業員満足度が高いのは、「自分が世界をより良くしている」と感じているためでしょう。
地球温暖化や環境汚染等の世界的な問題に対し、テスラ社は電気自動車を普及させることで解決しようとしています。従業員たちは電気自動車ビジネスの背後に「大いなる使命」を見いだし、自分たちは人類の先頭に立って問題解決に取り組む「ヒーロー」という感覚なのではないでしょうか。
だから経済的報酬が相対的に少なかろうと、職場がストレスフルでキツかろうと、仕事に対する満足度は高いのです。だってヒーローに苦難はつきものですからね。
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