また出た! VW擁護のジャーナリスト!
VWを買わない日本人は神経質?
某ジャーナリストが「VWのアメリカでの10月新車販売は+0.2%だった。一方、日本では前年比48%も落ち込んだ。日本人は神経質だ」と、無理くりVWを擁護しているようです。なんだかエビ・カニの臭いが漂ってきますね。
このやり方、韓国からの輸入キムチに寄生虫卵が発見されたとき「なあに、かえって免疫力がつく」と擁護した東京新聞を思い出します。不正ソフトを使い試験をすり抜けてたVWに、情状酌量の余地はないと思うのですが。
アメリカでも市場シェアを落とすVW
VW擁護の記事中では「前年同月比で+0.2%」ということしか書かれてませんが、VWはアメリカでもシェアを落としています。10月だけ見るなら、シェアは2.1%(前年同月比−0.3%)です。
自動車販売台数速報 米国 2015年10月 – MARKLINES
−0.3%というと大したことないように聞こえるかもしれませんが、VWの前年同月の米国市場におけるシェアは2.4%です。つまりVW単体でみると、前年同月比で−12.5%もシェアを落としたことになります。
競合他社に置いて行かれるVW
全米の新車販売は好調で、10月の販売台数は前年同月比で13.6%も伸びました。スバルは+20.0%、マツダにいたっては+35.4%も販売台数を伸ばしています。
そんな中、VWの販売台数は+0.2%でした。VWは9月に主力であるパサートセダンの新型を米国に投入したばかりですが、まったく効果が無かったと言ってよいでしょう。
つまりVWは他社にシェアを食われてしまったのです。このことはVWが米国市場における競争力を失いつつあることを示しています。
日本人は神経質で、アメリカ人は無神経?
日本で新車販売が半減したのに、アメリカではほぼ横ばいだった、日本人は神経質すぎると、我々は件のジャーナリストからお叱りをうけました。
しかし新車販売台数に日米で差がついたのは、
- 市場環境の違い(米国は新車販売台数が大幅に伸びている)
- 戦略の違い(米国市場には不正発覚後にパサートでテコ入れ。日本では8月のクロスup!投入以降は新車投入なし)
- ブランドイメージの違い
という3つの違いがあったためで、どちらの市場においてもVWが勢いを失いつつあるのは明らかです。
「日本は特殊」では説明したことにはならない。
国内外での差を、「日本特殊論」で分析する論調が目につきます。日本特殊論は一見すると的を射ているように思えるのですが、「日本は特殊」「日本はガラパゴス」という分析は、実は日本と海外で差異のある全てのことに適用可能です。つまり分析ではなく、差異があるという事実を示しているに過ぎません。
物事を分析するためには、その差異を生み出した原因を究明しなければなりません。件のジャーナリストはVWの新車販売台数に日米で差が生じた原因を、「日本人は神経質」であることに求めました。しかし日本におけるVWのシェアが1.14%(2014年。登録車+軽自動車+輸入車の新車販売台数から計算)に過ぎないことを考えると、「日本人は神経質」と言い切るのは些か無理があります。
むしろVWのブランドイメージの日米差に原因を求めるべきでしょう。日本ではVWは高品質で高級なイメージですが、アメリカではただの実用車メーカーに過ぎません。
日本の顧客はVWに「ドイツ的完璧主義」のイメージを抱いていたため、排気ガス不正でのダメージが大きかった。一方アメリカでは元々そんなイメージはなく、安さと利便性を売りにした車なので不正の影響は相対的に小さかった、と考える方が自然です。
おまけ
VWを買うならディーゼルがベストだそうです。
不正があってもVWやアウディのクルマを買うならディーゼル車が一番
「不正デバイス搭載車が日本に輸入されてた・されてなかった」という問題ではなく、信用問題なんですが……。
記事中ではやはり「日本特殊論」を使い、VWを擁護しています(村八分だと日本批判)。
昨年のVWの世界販売台数が2~3%減だった(よって大したことはない)と主張していますが、世界の自動車販売は通年で2.0%増だったので、平均的な自動車メーカーに対し、販売台数の増加率で2倍以上の差をつけられたことになります。
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