WECに復帰するフォードGT 因縁浅からぬフェラーリと再び対決!
モータースポーツへの取り組みを本格化させるフォード
昨年、WECおよびル・マン24時間レースへの復帰を発表したフォード。WECにエントリーする2台のステアリングを握るドライバーが、このほど発表されました。
Ganassi puts together veteran lineup to drive Ford GT at Le Mans
ベテランの名手たちが集結
ラインナップはマリーノ・フランキッティ、ステファン・ミュッケ、オリビエ・プラ、アンディ・プリオールなど多士済々です。
マリーノ・フランキッティは、ダリオ・フランキッティの弟です。インディ500で3度の優勝を誇る兄と比べると地味な存在でしたが、2014年のセブリング12時間で総合優勝し、その実力を証明しました。
ステファン・ミュッケは、金石年弘選手がドイツF3に参戦していたときのライバルでした。その後DTMに参戦し、近年はアストン・マーチンのワークスドライバーを務めていました。
オリビエ・プラは、福田良選手がフランスF3に参戦していたときのライバルでした。その後フォーミュラカーでキャリアを積み、2008年からスポーツカーレースに転向。2015年は日産・GT-R LMでル・マンに参戦しました。
3度のWTCCチャンピオンであるアンディ・プリオールは、再び世界選手権に活躍の場を移します。長年BMWのワークスドライバーを務めてきた彼が、新天地でどのような活躍を見せてくれるのか興味深いです。
IMSAにも2台が参戦
IMSAのWeatherTech SportsCar Championship(去年まではTudor USCCと呼ばれていたシリーズ)にも2台のフォードGTが参戦し、ライアン・ブリスコー、ジョーイ・ハンド、ディルク・ミュラー、リチャード・ウェストブルックらがドライブすることが既に決定しています。
ライアン・ブリスコーは、インディカーを見ている人にはお馴染みの顔ですね。佐藤琢磨選手と衝突(物理的な)したことも何度かあったはずです。
ジョーイ・ハンドとディルク・ミュラーはどちらもBMWのドライバーでした。アンディ・プリオールを加えた3人で、2011年のセブリング12時間・GTクラスを制したこともあります。
ディルク・ミュラーはWTCC時代にプリオールとタイトル争いする過程で揉めたことがあるので、WECはプリオール、IMSAはミュラーと分けられたのかもしれません。
リチャード・ウェストブルックは、ポルシェやシボレーのワークスドライバーとして、GTカーを長年走らせてきたスペシャリストです。FIA-GT1世界選手権では、SUMO POWER GT-Rのドライバーでした。
フェラーリとの対決再び
新型フォードGTがエントリーするGTE Proクラスには、AFコルセ(2013年に小林可夢偉選手が所属)が走らせるフェラーリがいます。そのフェラーリも、2016年から新型488GTEに切り替わります。
対立が生み出したレーシングカー
フォードGTの源流である「フォードGT40」というレーシングカーが生まれたのは、64年のことです。
当時ル・マン24時間レースに参戦しようとしていたフォードは、初夏のサルト・サーキットで向かうところ敵なし(60〜64年まで5連覇)だったフェラーリの買収を画策します。フェラーリはレースでこそ無敵を誇っていたものの深刻な経営危機に見舞われており、フォードからするとお買得物件に見えたわけです。
63年にヘンリー・フォード2世からの手紙を受け取ったエンツォ・フェラーリでしたが、その後の交渉で買収金額が折り合わず破談となります。フォード社は自社ブランドで参戦すべく英国ローラ・カーズと提携し、製作されたのがGT40です。フォードがフェラーリの買収に失敗したことで、GT40は日の目を見たのです。
60年代後半のル・マンにおけるフォードとフェラーリの激闘は、企業の意地とプライドが生み出したものでした。半世紀の時を経て、因縁の相手と再びル・マンで対決することになります。
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