スズキ・イグニスを、ライバルのパッソ/ブーン&ハスラーと比較する

スズキ車の比較

コンパクトクラスのSUV登場

スズキ・イグニスは、ホンダ・ヴェゼルよりさらに下のクラスを担うニッチなSUVです。「コンパクトSUV」は数あれど、1.2Lエンジンを搭載する「コンパクトクラスのSUV」は珍しいですね。

イグニスは、車体サイズとしてはトヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーンに近く、コンセプトとしてはスズキ・ハスラーに近い車です。

したがってこの2台と比較すれば、イグニスの強みと弱みが見えてきます。パッソ/ブーンがライバルというのは意外に思われるかもしれませんが、イグニスとの違いは最低地上高くらいなもので、あとはそっくりなパッケージングです。後述の比較を読んでもらえば納得していただけると思います。

イグニスについてはまだ寸法くらいしかわかりませんが、車の性質やパッケージングはほとんどが寸法で決まるので、かなり正確に予想できるはずです。


目次

  1. 比較する車とグレード
  2. ボディの寸法比較
  3. 室内寸法・荷室容量の比較
  4. 運動性能の比較
  5. 経済性の比較
  6. イグニスは買いか?

比較する車とグレード

メーカー 車名 グレード
スズキ イグニス HYBRID MX・2WD
トヨタ パッソ 1.3G・2WD
スズキ ハスラー Gターボ・2WD

ボディサイズやエンジン性能が近い「パッソ1.3G」と、同じスズキのSUVであるハスラーを比較対象に選んでみました。イグニスとの性能差が大きすぎるので、ハスラーは「Gターボ」です。

イグニスの最安グレード「HYBRID MG」には、キーレス、ステアリングオーディオスイッチ、運転席シートリフター、運転席センターアームレスト、左右独立リアシートスライド&リクライニング、サブトランクなどが装着されていないので、イグニスのグレードは「HYBRID MX」としました。

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ボディの寸法比較

寸法 イグニス パッソ ハスラー
全長 3700 3650 3395
全幅 1660 1665 1475
全高 1595 1535 1665

各数値の単位はmm

イグニスは全幅こそパッソとほぼ同じですが、全長と全高が一回り大きいですね。

ハスラーは3台中、全長と全幅が一番小さいにもかかわらず、全高だけは飛び抜けて高いです。


画像の出典: car.watch.impress.co.jp


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室内寸法・荷室容量の比較

寸法 イグニス パッソ ハスラー
室内長 2020 1830 2160
室内幅 1365 1420 1295
室内高 1250 1280 1250

各数値の単位はmm

イグニスの室内はそれほど広くはありません。室内長はハスラーに劣り、室内幅・室内高ではパッソに負けています。けれどインテリアの色調が明るいので、圧迫感を覚えることはないでしょう。


画像の出典: suzuki.co.jp


ラゲッジスペースの容量

状態 イグニス パッソ ハスラー
5名乗車 133-258 221 N/A ※1
2名乗車 415 592 N/A ※1

各数値の単位はリットル
※1 Not Announcementの略

イグニスはパッソよりも室内長が長いにもかかわらず、リアシートを倒したときの荷室容量が少ないです。


画像の出典: car.watch.impress.co.jp

とはいえイグニスはリアシートが165mmもスライドするのは強みですね。ハスラーの数値が公開されていないのが残念ですが、イグニス以上の荷室容量(5名乗車時)は無さそうです。

イグニスの前後乗員間距離は765mmと狭い(ちなみに新型HA36アルトで900mm)ので、室内長の大半は荷室でも後席でもなく、前席に割り当てられているということになります。


画像の出典: autoc-one.jp




ドアの取っ手は魚肉ソーセージホルダーとなっております(嘘)

画像の出典: autoc-one.jp


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運動性能の比較

運動性能関連の指標

指標 イグニス パッソ ハスラー
PWR ※1 9.67 9.89 12.81
W/T比 ※2 1.107 1.115 1.879
最小回転半径 4.7 4.7 4.6

※1 Power Weight Ratioの略。数値が小さいほど良い。
※2 Wheelbase/Treadの略。ホイールベース/(前後トレッド幅の平均値)で求める。1に近いほど良い。

イグニスは運動性能は、パッソとほぼ同等でしょう。イグニスに搭載される1.2L・NA「K12C型デュアルジェットエンジン」はパッソの1.3Lとほぼ同じ性能ですし、W/T比もほとんど変わらないからです。

イグニスは車重が軽くコーナリングで有利そうに見えますが、最低地上高がパッソより40mmも高い180mmなので、コーナリング時の軽さのメリットは相殺されてしまうと思います。

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経済性の比較

経済性関連の指標

指標 イグニス パッソ ハスラー
価格(万円) 150.1~ 147.1~ 135.9~
燃費(km/L) 28.0 19.0 27.8
グリーン税制 -75% 無し -25%
取得税優遇 -80% 無し -80%
重量税優遇 -75% 無し -75%

最初に書いたようにイグニスは「HYBRID MX・2WD」、パッソは「1.3G・2WD」、ハスラーは「Gターボ・2WD」のデータです。

パッソ1.3はグリーン税制やエコカー減税(取得税・重量税)の優遇措置がありません。パッソ1.0はイグニスと同等の優遇措置が受けられますが、パワーが69馬力と軽自動車並みになってしまいます。

パッソ1.0はその分安くなりますが、「HYBRID MX」並みの装備を揃えるとなると「1.0X Lパッケージ(129.3万円~)」を選ぶ必要があります。1馬力1万円くらいが相場なので、バリューフォーマネーはどちらを選んで変わらないということです。

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イグニスは買いか?

コンパクトクロスオーバーSUVという触れ込みで登場したイグニスですが、パッソと同等の運動性能しかなくスポーツ性はイマイチですし、室内も広くないのでユーティリティに優れているわけでもありません。目の付け所は良かったけど、イグニスは中途半端な車になってしまった感があります。

安全装備の「デュアルカメラブレーキサポート(MOP)」も、軽自動車としては珍しい装備でしたが、普通車だと1.0L~1.5Lクラスの車でも普及が進んでおり、イグニスの強みとはなりません。

同価格帯には「フィット 13G」や「ノート X」などが存在するので、あえてイグニスを選ぶメリットはデザインと燃費くらいしかありません。イグニスを選ぶかどうかは、マイルドハイブリッドの実燃費次第ですね。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の記事もぜひご覧ください。

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