VWの主張崩れる CEOは2014年に排ガス不正を知っていた
リコールも遅れ、情報開示も不足している
VWの前CEOマーティン・ウィンターコルン氏は、2014年5月の段階で排ガス不正を知っていたとニューヨーク・タイムズが報じています。証拠となるeメールが発見されたそうです。
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VW側のこれまでの主張
これまでウィンターコルン氏は、「排ガス不正に関しては、不正公開(2015年9月)の直前に知った」と主張していました。
また、現CEOのマティアス・ミュラー氏も「取締役の関与はなかった」と主張していましたが、幹部職員の関与が発覚した上、今回の報道では前CEOも知っていたことが明らかになったわけですから、彼らの主張は完全に崩れました。
2014年5月の段階で不正デバイスの存在を知っていたウィンターコルン氏が、なぜ2015年9月までそれを公表しなかったのか? 今後はその点が厳しく追求されることでしょう。
遅々として進まないリコール
VWの排ガス不正における最大の被害者は、顧客です。環境に優しいとの触れ込みを信じて買った車が、実は環境汚染を引き起こしていたのですから、顧客は大きなショックを受けたことでしょう。
しかしその顧客に「真っ当な車」を届けるためのリコールは、遅々として進んでいません。ドイツ国内でのリコールは、現在のペースだと2048年までかかるとブルームバーグが報じています。
VW車の独国内リコール、現行ペースでは完了に32年かかる見通し
不足する情報開示
日本には「VWは潔く対応した。それに比べて日本企業は……」と、日本企業を腐すリベラル言論人が多数存在します。しかしVWの実態は、リベラル言論人の主張とは似ても似つかないものです。
米国や韓国ではリコールすら認められていない
VW側が「どのように不正を行ったのか」を開示しないため、アメリカでは今だにリコールが認められていません。VW側の提示する技術的解決策に対し、米国EPAは長距離テストを行うよう提案していますが、VW側が難色を示しているため協議が難航しています。
独VW経営幹部、3月末より前に米当局との合意ないと想定=独誌
それは韓国でも同様です。韓国当局はVWとアウディの韓国法人代表を刑事告発しましたが、その理由は「リコール計画が法的要請を満たしていないから」です。今年2月に行われたVW現地法人の家宅捜索も、それに伴うものでしょう。
VWに対し何らかの罰を与えるにしても、その量刑を決定するには、不正の程度を正確に算定する必要があります。また再発を防止するには、不正の経緯を分析しなければなりません。
VW側の情報開示の不足は、さらなる環境汚染を引き起こしているのです。
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