マツダが2020年にEV投入! 2021年にはPHEVも!

テクノロジー・業界分析,批評

Mazda 3

マツダ丸本明社長兼CEOがAutomotive News Europeのインタビューに答え、2020年に独自のEVアーキテクチャに基づく、新型EVを導入すると明言しました。
また、2021年から2022年にかけて、プラグインハイブリッド(PHEV)も導入するそうです。

今回は丸本氏のインタビューから、現在のマツダが抱える悩みと、それを解決するための電動化戦略についてまとめてみます。


マツダの電動化戦略

CO2排出量の多さがマツダの悩み

現在のマツダにとっての懸念事項は、多すぎるCO2排出量です。
JATO Dynamicsによると、2018年のマツダ車の平均CO2排出量は135.2g/kmとなっています。
ちなみにブランド別の平均CO2排出量だと、トップに立っているのはトヨタ(99.9g/km)です。

上位にはプジョーやシトロエン、ルノーなどがランクインしていますが、これは彼らの主力車種がコンパクトカーだからでしょう。
このランキングのCO2は、各車種の販売台数を加味した加重平均に基づくからです。

2重の苦しみを抱えるマツダ

売れ筋モデルが中型SUV

ヨーロッパにおけるマツダのベストセラーモデルは、CX-5です。
ミッドサイズSUVとしては燃費の良い車ですし、CO2排出量を抑制しやすいディーゼル(SKYACTIV-D)もラインナップされている車種ですが、コンパクトカー並というわけにはいきません。

Mazda CX-5

ちなみにマツダのヨーロッパ売上高(2018年)の46%が、クロスオーバーSUVによるものだったそうです。
グローバルだと、それが60%に及ぶのだとか。
コンパクトなCX-3などの販売台数も含まれているとはいえ、これだけSUVの販売比率が高いと、CO2対策は喫緊の課題といえます。

当ての外れたディーゼル・コンパクトカー

Mazda 2(日本名: デミオ)

マツダ2(デミオ)とマツダ3にもディーゼルが用意されているものの、その販売比率は減少傾向なのだそうです。
ガソリン車を含めた販売台数だけ見るとかなり健闘しているのですが、ディーゼルの販売比率が減少していることで、CO2排出量の抑制には効果を発揮できていません。

欧州におけるマツダの車種別販売台数の推移
Mazda 2 Mazda 3 CX-5
2014 24,289 48,096 57,289
2015 35,478 49,766 56,179
2016 36,463 45,889 55,345
2017 31,703 43,794 59,499
2018 32,426 38,514 69,956

コストパフォーマンスを重視するユーザーからすると、高価なディーゼルモデルを積極的には選ぶ理由がありません。
原油安でガソリン価格が下がったため、車両価格差の元を取ろうとすると、相当な距離を走らなければならないからです。
もちろんディーゼルの方が燃料代はかかりませんし、低速トルクもあります。
しかし欧州の消費者は、ディーゼル・コンパクトカーに価格差を覆すほどの魅力を感じなかったようです。

丸本氏は、ディーゼル・コンパクトカーが今後さらに減少すると分析しています。

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マツダ・ブランドのCO2排出量抑制策

プラグインハイブリッドの導入

コンパクトカーのディーゼルは減少傾向ですが、中・大型車においては、今後もディーゼルが重要になると丸本氏は語っています。
SUVと大型セダンにとって、ディーゼルエンジン+電動モーターのプラグインハイブリッドが最も効率的なパワートレインなのだそうです。

実際欧州メーカーも、ディーゼルの開発を止めていません。
アウディは新型S6および新型S7スポーツバックに、TDIと48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたモデルを設定しましたし、BMWはクアッド・ターボのディーゼルをラインナップしています。
中・大型車やハイパフォーマンスモデルにとって、ディーゼルはCO2削減の有効な手段なのです。

Audi S7 Sportback TDI

SKYACTIV-Xの導入

SKYACTIV-Xエンジン

世界初のSPCCIエンジンである「SKYACTIV-X」も、CO2削減に効果的です。
SKYACTIV-Xを搭載する新型マツダ3のCO2排出量は、96g/km(都市部と郊外の複合燃費、NEDC基準、セダン・2WD・6MT仕様の数値)に抑えられています。

問題は価格でしょう。
ディーゼルの轍を踏まないためにも、SKYACTIV-X搭載車は安価でなければなりません。
でもSKYACTIV-Xの推奨オクタン価が95 RON(日本だとほぼハイオクに相当)なので、ランニングコストの面ではちょっと心配です。

SKYACTIV-Xの可能性

丸本氏は、「SKYACTIV-Xはガソリンとディーゼルエンジンの一種のハイブリッドなので、この技術を使って、新世代のディーゼルを開発することができる」と語っています。
また、SKYACTIV-Xにマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドを組み合わせることも可能ですから、マツダが取れる選択肢はかなり広がったといえるでしょう。

EVの導入

中・大型車をEV(電気自動車)にしてしまえば、それらのCO2排出量は0になります。
特にSUVはボディが大きく、4WDを選ぶユーザーも多いため、EV化は効果てきめんです。

マツダはトヨタおよびデンソーと共同でEVアーキテクチャを開発しているものの、2020年に登場する新型EVは、マツダ独自のアーキテクチャに基づくものになります。

トヨタとスバルが共同開発するEVプラットフォームのイメージ図

その理由について丸本氏は、「マツダは小さな会社なので、その独自性にフォーカスしなければならない」と説明していますが、提携相手のトヨタは、スバルと共にEV専用プラットフォームと、CセグメントクラスのEVを開発すると発表しました。
マツダが今後どのように協業を進めていくのかは不明ですが、EVに関しては、マツダが1歩先を行くことになりそうです。

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出典・参考サイト

Mazda counts on EVs to reach EU CO2 goal – europe.autonews.com

2018年欧州CO2排出量レポート – jato.com

European Car Sales Data Mazda – carsalesbase.com

Mazda Skyactiv-X 2.0L Engine Confirmed With 178 HP, 165 lb-ft – motor1.com

トヨタとスバルがEVの共同開発で合意 – webcg.net

ディーゼルじゃなくてもいいじゃない! 若者に人気のマツダ デミオ(現行型)は今、ガソリン車が買い – carsensor.net

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