パナソニックが車載電池で攻勢!
パナソニックは2018年度の終わり(つまり2019年3月)までに、車載電池の売上高を2.2倍にする計画のようです。
トップ画像の出典: news.panasonic.com
目次
- 1.パナソニックの戦略
- 2.勝機はあるのか?
- 2-1.テスラ・モデル3の驚異的な人気
- 2-2.ZEV規制
- 2-3.EV開発で出遅れた自動車メーカー
- 3.今後の展開
パナソニックの戦略
パナソニックは18年度の車載電池売上高を、4000億円に引き上げる計画です。これは15年度比で2.2倍の売上高となります。
3年間で2.2倍ということは、年率換算で30%の成長を見込んでいるということです。つまり電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)等の「電動化されたパワートレインを持つ車」の販売が、年率30%の勢いで伸びると、パナソニックは考えているのでしょう。
勝機はあるのか?
結論から言うと、十分すぎるほどの勝機があります。
テスラ・モデル3の驚異的な人気
2015年のテスラの総販売台数は、わずか50,580台にすぎませんでした。しかし現在のテスラは30万台以上のバックオーダーを抱えています。試乗車すら存在しないモデル3に、注文が殺到したためです。
よってテスラが必要とするバッテリーは、単純に考えても6倍以上となります。現在パナソニックとテスラがネバダ州に建設中の電池工場「ギガファクトリー」がフル稼働してもなお足りないくらいの需要が、確実に存在するのです。
ZEV規制
カリフォルニア州の「Zero Emission Vehicle(ZEV)規制」も、パナソニックの車載電池事業を後押しします。ZEVの定義が2018年より変更され、EVと燃料電池自動車(FCV)以外は、ZEVとして認められなくなるからです。
この変更により、カリフォルニア州において2万台以上を販売する自動車メーカーは、EVかFCVを一定台数以上販売しなければならなくなります(できなければ罰金)。販売台数の少ないメーカーは、PHVでもOKです。
アメリカを主戦場とするトヨタ・日産・ホンダは、ZEV規制の変更に対応せざるを得ません。アメリカのビッグ3も同様です。よってパナソニックは、彼らからの受注も期待できるのです。
EV開発で出遅れた自動車メーカー
排ガススキャンダルで評判を落としたフォルクスワーゲン(VW)は、信頼回復に躍起です。彼らは2025年までに、販売台数の25%(アウディは30%)を、EVにする計画を立てています。
計画の達成まで10年を切っていますから、急ピッチでEVの販売を伸ばさなければなりません。しかし現在のVW・アウディ・グループ(VAG)のEVラインナップは、充実しているとはお世辞にもいえない状況です。
しかしバッテリーを納入する電機メーカーからすると、VAGのようにEV市場で出遅れた自動車メーカーは魅力的な存在といえます。今後開発される新型EV用に、バッテリーを売り込む機会に恵まれているからです。
今後の展開
VWには韓国のLGケム(LG化学)が接近しています。しかしVWはバッテリーモジュールを標準化し、どのようなセルでも利用可能にすることで、電池メーカー各社を競わせる腹づもりのようです。
フォルクスワーゲンがテスラより安くバッテリーを調達できる理由(翻訳記事) | ev smart
フォードも2020年までに45億ドルをEV開発に投資する予定ですが、こちらもLGケムが食指を伸ばしています。車載電池の覇権争いは、パナソニックとLGケムの2社によって展開されるでしょう。