BMW5シリーズ(G30) モデルチェンジした新型のサイズ、スペック、評価
【12/17更新】新型BMW5シリーズ(G30)の530eとM550iが、ついに正式発表されました。画像とスペックをご確認ください。
更新情報
新型5シリーズツーリング(G31)の項目を追加しました。(2017/02/02)
新型5シリーズ(G30)の価格を追加しました。(2016/12/23)
530e iPerformanceとM550i xDriveの情報と画像を追加しました。(2016/12/18)
新型M5の最新テスト動画と情報を追加しました。(2016/12/17)
画像の出典: carscoopes.com
新型5シリーズ(G30)の公式画像
全体的な印象としては、比較的コンサバだなあ、と。まあ、エグゼクティブ・サルーンと呼ばれるカテゴリーの車では、あまり冒険できないのでしょうが、見た目にはあまり新鮮味がありませんし、スポーティーな車にも見えません。BMWの開発者たちは「G30のスポーティーさ」をことさらに強調していたのですが……。
インテリアも、メーターこそディスプレイに置き換わっているものの、物理ボタンを廃止していく方向のメルセデスやアウディとは対照的です。ポルシェなどもコンベンショナルなデザインを好んで採用していますが、ちょっと保守的すぎる感じを受けますね。
新型5シリーズ(G30)のスペック概要
サイズ
主要諸元 | |
---|---|
全長(mm) | 4951 |
全幅(mm) | 1866 |
全高(mm) | 1477 |
ホイールベース | 2976 |
先代と比べて、全長が32mm、全幅が6mm、全高が2mm、ホイールベースが6mm拡大されています。先代とほぼ変わりませんね。
エンジンラインナップ
排気量(L) | 形式 | 燃料 | 馬力(ps) | グレード |
---|---|---|---|---|
2.0 | 直4 | ガソリン | 251 | 530i |
2.0 | 直4+モーター | ガソリン+電気 | 252 | 530e |
3.0 | 直6 | ガソリン | 340 | 540i |
4.4 | V8 | 461 | M550i | |
600 | M5 | |||
2.0 | 直4 | ディーゼル | 189 | 520d |
3.0 | 直6 | 264 | 530d |
すべてのエンジンはツインパワーターボ(ツインスクロールターボ)です。ツインターボではありませんのでご注意を。M550iとM5以外はシングルターボだと思います。
プラグインハイブリッドの530eは、電力のみで45kmの走行が可能です。
530eの燃費は49.7km/Lとのことですが、欧州のNEDC(New European Driving Cycle)燃費の数値なので、実燃費はその80%くらいだと思います。0-100km/hは6.2秒です。
M550iの0-100km/h加速は4.0秒。F10型M5の0-100km/hを、0.3秒上回るパフォーマンスです。G30・M5はさらに速くなることでしょう。トランスミッションは8速ATが標準となりますが、M5のみはDCTが採用されるそうです。
軽量なプラットフォーム
G30最大のトピックは、やはり先代から100kgもの軽量化果たしたことでしょう。しかもこの軽量化を、カーボンを多用せずに達成したというのですから驚きです。
ドア、ルーフ、トランクリッドはアルミニウム製。Bピラーのビーム(梁)はマグネシウム製。そしてサスペンションにもアルミがふんだんに用いられるなど、主に金属素材による軽量化がなされています。
“アダプティブ"なハンドリング
G30ならではの特徴としては、センターコンソールに追加されたアダプティブボタンが挙げられます。
これはステアリングの遊びやトランスミッションの変速スケジュール、スロットルレスポンス、アダプティブサスペンションの硬さなどが、選んだモードによって変化するものです。
とはいえモードごとにセッティングが固定化されているわけではなく、車速やドライバーの運転に応じて「アダプティブ」に変化します。
自動運転
80km/hまでの自動運転が搭載されます。おそらくNHTSA(米国運輸省国家道路交通安全局)の分類だと「レベル2」に該当する自動運転になるでしょう。
NHTSA・レベル2の自動運転には、「スロットル・ブレーキ・ステアリング・原動力のうち最低2つが自動化されており、運転手がハンドルやペダルを操作しなくてもよいもの」が該当します。例えば「アダプティブ・クルーズコントロール」と、車線中央を維持する「レーン・センタリング」の組み合わせ──つまりテスラの自動運転システム──はレベル2です。
テスト車両には「クロスロード・ウォーニング(対向車や飛び出してきた車を検知して自動ブレーキ)」「ステアリング&レーンコントロールアシスト」「アダプティブ・クルーズコントロール」などがすでに実装されているようですから、レベル2自動運転に必要な技術はもう出揃っていると見ていいでしょう。
ヘッドアップディスプレイ+AR技術
ヘッドアップディスプレイ(HUD)は珍しい技術ではありませんが、それにAR(拡張現実)が加わるとなれば話は別です。
BMWがどのようなものを搭載するのかはわかりませんが、おそらくはコンチネンタル社の「AR-HUD」のようなものになるでしょう。AR-HUDは、フロントウィンドウに運転を支援する情報(矢印など)を投影するものです。
新型5シリーズ(G30)の価格
一部グレードの米国価格が明らかになりました。
情報が入り次第、他グレードの価格も追記していきます。
日本円での価格は、米国価格を$1=¥117換算したものです。
グレード | 米国価格($) | 米国価格(万円) |
---|---|---|
530i | 52,195 | 610.7 |
530i xDrive | 54,495 | 637.6 |
540i | 57,445 | 672.1 |
540i xDrive | 59,745 | 699.0 |
新型5シリーズツーリング(G31)
G31・5シリーズツーリングの情報については、以下のリンク先にまとめましたのでそちらをご覧ください。
BMW新型5シリーズツーリング(G31) 走りと実用性を兼備
530e iPerformance
プラグインハイブリッドの530e iPerformanceは、2.0リッター・直列4気筒ツインパワーターボ(182ps、29.7kgf・m)に、96psのモーターと9.2kWhバッテリーを組み合わせたモデルです。
システム出力は251ps、トルクは42.9kgf・mを発生します。
0-60mph(0-92km/h)は6.1秒です。
バッテリーの充電時間は7時間、急速充電器なら3時間となっています。
モーターのみでの最高速は139km/h(MAX eDriveモード)ですが、通常モードでは90km/h(AUTO eDriveモード)に制限されるようです。
バッテリーはリアシート下に配置されており、トランク容量は他の5シリーズと変わりません。
M550i xDrive
4.4リッター・V8ツインターボを搭載するM550i xDriveは、462ps、66.4kgf・mを誇るハイパフォーマンス・4WDセダンです。
1800回転から発生する最大トルクを4輪に伝えることで、0-60mph(0-92km/h)4秒以下という、現行M5並の加速を可能としました。
車名の「M」が示すとおり、リアスポイラーなどのMスポーツ・エアロダイナミック・キットや、アダプティブ・Mサスペンション(SportおよびSport+モードを選ぶと車高10mmダウン)、クロームのレクタングル・マフラーなども装着されています。
M Performance Package
Mパフォーマンスパーツは、5シリーズ全グレードに用意される予定です。
内容は、20インチのアロイホイールやオリジナルのレッドキャリパー、Mパフォーマンス専用エアロキットなどの外装パーツと、専用アルカンターラ・ステアリング、サウンドとエンジンパワーの改善がメニューとなります。
Mパフォーマンスパーツを装着した530i(3.0L・直6ターボ)は、360ps・500Nm(51.0kgf・m)を発生するそうです。
2017年夏の発売を予定しています。
新型M5について
開発は始まっており、ニュルブルクリンクでのテスト風景がたびたび目撃されています。
エンジンは4.4L V8ツインターボ。発生した600psのパワーは、4輪駆動によって余すこと無く路面に伝えられます。コーナーの立ち上がりでドリフトしつつも、前へと進み続けるのを止めない新型M5の動きは、まさしく4WDのそれです。
2016年12月17日追記
なんと新型M5は、後輪駆動の「ドリフトモード」と、4WDの「xDrive」とを切り替えられるとのことです。
ドリフトモードを備える4WDとしては、フォード・フォーカスRS Mk3が挙げられます。
最近のスポーツ4WDは、誰でも簡単にドリフトできることをセールスポイントにしているのかもしれません。
新型5シリーズ(G30)プロトタイプの海外レビュー
実際にG30を運転したAUTO EXPRESSとCAR and DRIVERのレビューから、G30の素性について語られている部分を抜粋してみました。
540i sDrive(2WD)
試乗車の540i sDriveには、後輪操舵のインテグラル・アクティブ・ステアリング(IAS)と、バリアブル・ダンパー・コントロール(VDC)が装着されていたそうです。
また、この車はランフラットタイヤではなく、コンベンショナルなタイヤを履いています。
最近の大型車は後輪操舵が当たり前のように採用されていますね。大柄なボディと太いタイヤのせいで、回転半径が大きくなる一方だからでしょう。
ステアリングの軽さ以外は手放しの褒めようですね。現行5シリーズ(F10)は全長5m近い大型セダンで、G30はさらに大型化されているにもかかわらず、スポーティーさは損なわれるどころかさらに増しているようです。大幅な軽量化のおかげでしょう。
530d xDrive(4WD)
試乗車の530d xDriveには、車高が1インチ(約10mm)低いスポーツサスペンションとIASが装着されています。タイヤは19インチのランフラットです。
540i sDriveと対照的なレビューとなったのは、試乗した530dがランフラットタイヤを履いていたからかもしれません。ランフラットタイヤは空気圧がゼロになった際にサイドウォールで車重を支えるため、必然的にサイドウォールが硬くなり、乗り心地が悪化します。スポーツサスペンションなら尚の事です。
最後にG30のプロジェクトを統括するヨハン・キスラー氏のコメントを引用します。
新型5シリーズの生産地
新型5シリーズの生産は、ドイツ・バイエルン州・ニーダーバイエルン地区にあるディンゴルフィング工場において、2016年末までには開始される予定です。
BMWはディンゴルフィング工場に数億ユーロ規模の投資を行い、ボディショップとドライブトレインの組み付け工程の再編を行いました。年間350,000台の生産能力を誇るこの工場において、5シリーズは3・4シリーズとともに生産されることになります。
また、オーストリアのマグナ・シュタイア社も、新型5シリーズの生産を一部行う予定です。
新型5シリーズ(G30)のスパイショット
以下は開発中の様子を捉えたスパイショットとなります。
上の画像は、トップ画像の明度を調整したものです。現行型(F10)とは異なり、ヘッドライトとキドニーグリルが繋がっているデザインになっています。どちらかと言うと、現行型3シリーズ(F30)に近いデザインですね。
ニュルブルクリンクでのテスト走行も行われています。大柄な車体にもかかわらず、動きはかなり俊敏です。
Mスポーツ
ツーリング
新型5シリーズのインテリア
メーターがディスプレイに置き換えられていますね。アウディのバーチャルコクピットで先鞭をつけてからというもの、ドイツメーカーはアナログメーターを使わなくなりつつあります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。