ボルボの親会社・中国吉利(ギーリー)が、ロータスの株式の51%を取得
中国・吉利(ギーリー)自動車は、2010年にボルボを買収しました。
この買収は大きな成功を収め、2011年には1255億2500万クローナだったボルボの売上高が、2016年には1806億7200万クローナと、6年間で約43.9%もの成長を遂げています。
また、ボルボの営業利益も、2011年には69億5500万クローナだったものが、2016年には110億1400万クローナと、やはり大幅に増えています。
その吉利自動車が、マレーシア・DRB-ハイコム傘下の「プロトン自動車」の株式を取得しました。吉利は、プロトン株式の49.9%を取得した模様です。
吉利はプロトン傘下の「ロータス」についても、株式の51%を取得しています。これにより吉利は、ロータスの支配株主となりました。
今回は、プロトンおよびロータスを買収した、吉利自動車の狙いについて考えてみます。
吉利によるプロトン株大量取得の狙い
プロトンは、マレーシアにある2つの工場が、年間40万台の生産能力を有しているそうです。
しかし品質に問題があり、プロトン車は長らく販売不振に陥っているため、プロトン工場の稼働率はかなり低いと見られています。
吉利はこの工場の生産能力を活用し、世界的に販売好調なボルボや、自社ブランド「Lynk&CO」の車を生産するつもりなのでしょう。
とくにボルボの販売が好調なため、このペースで販売台数が増加していくと、10年後には年間80万台ほどの生産規模になるはずなので、プロトンの工場はちょうどよい物件と言えるのです。
ロータスで2匹めのドジョウを狙う?
ロータスに関しては、ボルボと同じ戦略が取られるはずです。
つまり、知名度の高い欧州の自動車ブランドに資金を注ぎ込むことで、販売台数をV字回復させ、投資資金を素早く回収するのが狙いだと考えられます。
その際には、外部の部品メーカーから優れたコンポーネントを調達することで、手早く技術をキャッチアップする手法が取られるはずです。
ボルボもアイシンAWやデンソーから調達するなど、積極的に外部企業の力を活用しています。
また、ロータスの高い技術力は、吉利グループ全体に利益をもたらすはずです。
ロータスの軽量化技術は、燃費の改善に役立ちます。
ロータスとトヨタの関係はどうなる?
現在ロータスはトヨタエンジンを使っていますが、この契約は終了すると思われます。
グループ間でシナジーを生み出すためには、ボルボと同じエンジンを搭載した方が効率が良いからです。
ロータスは立ち直れるか?
昨年ロータスは久しぶりに黒字を計上しましたが、経営再建は前途多難だと思われます。
というのも、現在の高級スポーツカー市場は戦国時代だからです。
また、スポーツカーブランド以外でも、ブランドイメージ向上のために、積極的にスポーツカーを開発・販売している時代ですから、「ロータス」という名前だけでは、販売のV字回復は難しいでしょう。
ボルボが成功できたのは、世界的なSUVブームを味方につけたからです。
今後世界的なスポーツカーブームが起こるかというと……首を傾げざるを得ません。
ロータスもSUVを作る!?
しかしロータスがスポーツカー以外の車を製造・販売するならば、話は違ってきます。
実際ロータスにはSUVの開発計画があり、イメージスケッチもすでに出来上がっています。
ボルボと同じグループになったことで、SUVの開発・生産ノウハウも手に入るでしょうから、ロータスのSUVが成功する確率は、かなり高まったといえるのではないでしょうか。吉利の勝算も、そこにあるのかもしれません。
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