あのデ・トマソ・パンテーラが復活!? アレス・デザイン「プロジェクト・パンサー」

他メーカーの新車情報,新車情報

デ・トマソ・パンテーラという車をご存知ですか?
イタリアのデ・トマソと、アメリカのフォードが共同開発した車で、フォード製の大排気量自然吸気エンジンを、デ・トマソ製のエキゾチックなボディに載せたスーパーカーです。

イタリアのアレス・デザインが、そのパンテーラを現代的に解釈し直しました。
プロジェクト・パンサー」というコードネームで呼ばれているその車のルックスは、まさに現代版パンテーラなのですが、何と中身はランボルギーニ・ウラカンです。

今回はプロジェクト・パンサーの概要と、その着想の元となったデ・トマソ・パンテーラについて触れてみようと思います。


デ・トマソ・パンテーラとは?

デ・トマソ・パンテーラ

By Lothar Spurzem (Own work) [CC BY-SA 2.0 de], via Wikimedia Commons

1960年代後半、フォードの副社長を務めていたリー・アイアコッカと個人的に親しかったアレッサンドロ・デ・トマソが、「フォード・GT40のようなイメージの安価なスポーツカー」として企画したのが事の始まりです。

元々GT40は、ル・マン24時間レースでフェラーリに勝つべく作られたレーシングカーですから、公道走行可能なロードカーは、わずか31台しか製作されませんでした。
よほどの財力とコネが無ければ手の届かない代物だったのです。

量産エンジンでコストダウン

パンテーラはGT40の問題点=価格を解決すべく、量産しやすいモノコックを採用し、エンジンもフォード製の量産エンジン(5.8リッター・V型8気筒・OHV)を搭載しています。

そのため戦闘力には劣るものの、価格はライバルの半分に抑えることができました。
72年には年間2700台も生産されていたそうですから、販売的には成功を収めたといえるでしょう。

その後オイルショックで売れ行きは急減してしまいましたが、パンテーラは当初の狙い通り多くの人々に愛され、歴史にその名を残したのです。

日本とパンテーラ

日本でパンテーラが一躍有名にしたのは、やはりスーパーカーブームでしょうね。
ブームの火付け役となった池沢さとし氏のマンガ「サーキットの狼」にも何度か登場しますが、劇中ではあまり良い役回りではなかったようです。

しかし日本のチューニング業界においては、パンテーラはエポックメイキングな車でした。
何しろ日本で初めて300km/hオーバーを達成したチューニングカーとなったのですから。

光永パンテーラ

via clicccar.com

ゲイリー・アラン・光永氏が所有するパンテーラ(いわゆる光永パンテーラ)は、あの高橋国光氏のドライビングにより、谷田部高速周回路で300km/hオーバーを記録しました。
エンジンをフォードからシボレー・LS7に換装し、レース用パーツを惜しみなく投入した光永パンテーラは、アタック時に600馬力を発生していたそうです。

しかしオーナーの光永氏は、記録樹立の12日後に、記録を達成した当のパンテーラで事故に遭い、他界してしまいました。
日本最速となったパンテーラは伝説だけを残して、あっという間に人々の目の前から姿を消してしまったのです。

目次に戻る

プロジェクト・パンサー

そんなパンテーラからインスピレーションを得たのが、アレス・デザインの手がけるプロジェクト・パンサーです。

プロジェクト・パンサー

元祖パンテーラをより一層洗練した華やかなルックスの下には、ランボルギーニ・ウラカンが隠されています。
エンジンもウラカンのものと同じく6.2リッター・V型10気筒610psですし、ギアボックスも7速デュアル・クラッチ・トランスミッションで変更はありません。

以前、光岡自動車がホンダ・NSXをベースにした「オロチ」という車を販売していましたが、プロジェクト・パンサーも似たようなものでしょう。
ルックスだけを大幅に変更するこの手法は、性能や信頼性を犠牲にせずに、小規模なメーカーでもスーパーカー市場に参入できるというメリットがあります。

不安要素も……

しかしアレス・デザインを率いるのは、あのダニー・バハールです。
彼はアレス・デザインの創業者でもあります。

ダニー・バハール

via telegraph.co.uk

バハールはレッドブルやフェラーリでマーケティングを担当していた人物で、その後ロータスのCEO(最高経営責任者)となったのですが、高級車種のラインナップを一気に拡大しようとして失敗、親会社から解任されたという過去を持ちます。
ロータスはその後、中国の吉利(ギーリー)自動車に売却されてしまいました。

ロータスは吉利の下で再建されつつありますが、プロジェクト・パンサーはどうなることやら。
予定どおり2018年後半にきちんと発売されるといいのですが。

目次に戻る

出典・参考サイト

デ・トマソ・パンテーラ | ja.wikipedia.org

サーキットの狼 | ja.wikipedia.org

最高速で日本初のオーバー300km/h! 最強伝説となった深紅のパンテーラ | clicccar.com

バハール・ショックに学ぶ | minkara.carview.co.jp

Sacked Lotus boss Bahar settles out of court | telegraph.co.uk

ARES Project Panther | aresdesign.com

最後まで読んでいただきありがとうございます。以下の関連記事もぜひご覧ください。