新型シビックの販売台数が日本では伸びないと思う理由
ホンダが日本国内でも、新型シビックの販売を開始しました。
日本における事前受注は6300台と、月間販売目標の3倍の台数を受注しているようですが、月間販売目標は新車投入時の人気に合わせて設定されるわけではないため、ある意味当然の結果です。
筆者は新型シビックが、日本では大して売れないと思っています。
今回はその理由について説明します。
日本ではシビックの販売台数は伸びない?
ホンダがあえて国内投入を決断したシビックですが、いくつかの理由により、長期間にわたって好調な販売台数を維持するのは難しいと考えられます。
ボディサイズの大きさ
第1の理由は、ボディサイズです。
寸法(mm) | シビック | インプレッサ | オーリス |
---|---|---|---|
全長 | 4520 | 4460 | 4330 |
全幅 | 1800 | 1775 | 1760 |
全高 | 1435 | 1480 | 1480 |
ホイールベース | 2700 | 2670 | 2600 |
ライバルとして、インプレッサとオーリスを選んでみました。
トヨタ・オーリスは、海外ではカローラハッチバックという名前で販売されています。
シビックというと、カローラのライバルというイメージがありますが、現在のシビックはカローラよりもワンサイズ上の車です。
意外と狭い室内
ところがシビックはライバルと比較して、意外と室内が狭かったりします。
シビックのようなスポーティーなドライビングポジションにするほど、寝そべるような形で座ることになります。
しかし室内を広く使うには、できるだけ体を起こす形で座るデザインの方が有利です。
スタイリングを優先して全高を低くしたいから、スポーティーなドラポジにしたのか、あるいはその逆かはわかりませんが、シビックは大きなボディサイズの割に、乗員周りの空間は決して広くありません。
アメリカ市場向けに作られたはずなのに、不思議ですよね。
寸法(mm) | シビック | インプレッサ | オーリス |
---|---|---|---|
フロント足元 | 1074 | 1094 | 1059 |
フロント頭上 | 955 | 1011 | 1008 |
リア足元 | 914 | 927 | 830 |
リア頭上 | 950 | 965 | 953 |
数値はいずれも米国仕様・ハッチバック車のもの。
Source: edmunds.com
取り回しの悪さ
そしてホイールベースが長いために、取り回しが犠牲になっています。
シビックハッチバックの最小回転半径は、5.5mもあるのです。
シビックセダンは5.3mですが、インプレッサはハッチバック/セダンともに5.3mなので、優位性はありません。
カローラフィールダーはW×Bなどの一部グレードを除き、4.9mに抑えられています。
価格が高い
シビックハッチバックの日本価格は、およそ280万円です。
ホンダが誇る1.5リッター・直噴ターボを搭載しているとはいえ、FF・CVTの車の価格としては高額と言わざるをえません。
インプレッサSPORTだと、最上級グレードの「2.0i-S EyeSight」の4WD仕様が、「ブラックレザーセレクション」と「アドバンスドセイフティパッケージ」付きで275.4万円で買えてしまいます。
ちなみにシビックハッチバックで「レザーインテリア」を選択すると、およそ320万円です……。
ちょっと高すぎますよね。
7インチナビしか装着できない
シビックが装着できる中で最上級のギャザズ・インターナビでも、7インチモデルの「スタンダード」までしかありません。
インプレッサは8インチが標準ですし、オーリスには9インチモデルが用意されています。
また、シビックに搭載できるインターナビは、VICS WIDEに対応していません。
VICS WIDEは、従来までのVICS FM多重放送の内容を強化したもので、よりきめ細やかな渋滞情報・交通情報に合わせたリルートだけでなく、災害や大雨の情報も5分おきに更新してくれるサービスです。
ホンダ車はアメリカでも、インフォテイメントの弱さを批判されています。
スタンダード・インターナビは約16.5万円と、かなり安価なナビなので、もう少し高いナビもシビック向けに用意すべきだと思います。
新型シビックの良いところ
批判ばかりでもあれなので、新型シビックの良い部分も指摘しておこうと思います。
まず、燃費の良さですかね。
もっとも実走行に近いと言われる米国EPA燃費でも、インプレッサやオーリスに対して1.3〜1.7km/Lほどの差をつけています。
ボディサイズが大きいことを考えると、かなりの低燃費です。
また、走りの良さではクラス随一と言えるでしょう。
182psを発生するパワフルなエンジンに、低重心なシャシーという組み合わせは、海外でも絶賛されています。
パワフルなのに低燃費というのは、本当に素晴らしいことだと思いますよ。
でも残念ながら、日本市場では走りの良さは評価されません。
タイプRだけでなく、ハッチバックにも6MT仕様を用意した意気込みは評価したいものの、日本市場はAT大国です。
今はガソリン価格も安いですし、日本市場ではハイブリッド車が普及していますから、燃費の良さも大して評価されないでしょう。
新型シビックは、やっぱり日本には合ってないと思います。
いい車なのは確かなんですけどね。
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