新型アコードが北米で販売不振 なぜ売れ行きが悪いのか?
ホンダの新型アコードが、米国で販売不振に陥っています。
とくにリース販売が伸びずに苦戦しているそうです。
アコードといえばアメリカホンダの屋台骨を支えてきた中型セダンで、ライバルのトヨタ・カムリとは人気を2分してきました。
北米市場における年間販売台数の1位2位を争ってきたホンダ主力車種に、一体何が起こっているのでしょうか?
今回はホンダ・アコードの販売不振の原因について、考えられる理由をまとめてみました。
北米における新型アコード販売不振の原因
どのくらい販売不振なのか
北米におけるアコードの在庫は、3月初めの時点で104日分あるそうです。
通常、自動車メーカーは在庫を60日分確保するといわれているので、新型アコードの在庫はかなりダブついているといえます。
一部の地域では、アコードの販売は通常の半分にまで落ち込んでいるそうです。
アコードが工場から出荷されるのを拒否しているホンダディーラーもいるということですから、かなり深刻な事態となっています。
実際の販売台数でも、アコードは新型に切り替わったにもかかわらず、前年同期比でマイナスになっています。
ちなみにトヨタ・カムリは、前年同期比でプラスです。
考えられる理由その1: リース価格の高さ
原因として考えられるものの1つとして、リース価格の高さが挙げられます。
最大のライバルであるトヨタ・カムリは、頭金1999ドル・219ドル/月でのオファーを出しているそうです。
マイアミでは月額支払がさらに安く、頭金3198ドル・199ドル/月で販売されているのだとか。
一方、新型アコードはというと、頭金3199ドル・249ドル/月での3年契約が、もっとも安いリース契約なのだそうです。
考えられる理由その2: モデルチェンジの早さ
先代の9代目アコードは2012年8月に生産が開始され、2017年12月まで生産されました。
つまり5年4ヶ月しか生産されなかったのです。
9代目アコードはベストセラーとなったモデルであり、別に早期に代替わりする必要は無かったはずなのですが、ライバルのカムリがフルモデルチェンジすることを受けてか、ホンダはモデルライフサイクルを早めて新型を投入しました。
しかしそのせいで販売不振に陥っていると考えているディーラーもいるようです。
乗り替え需要は一定期間を経過しないと発生しないため、早すぎたモデルチェンジのせいで需要が弱まっている可能性は否定できません。
考えられる理由その3: SUVブームおよび小型車との競合
世界的なSUVブームにより、セダンはどのメーカーでも軒並み販売不振に陥っています。
アコードもその煽りを受けているのかもしれません。
実際ライバルのトヨタですら、北米で昨年1番売れたのはカムリではなく、SUVのRAV4でした。
現行型のRAV4がモデル末期であるにもかかわらず、です。
また、小型車のパッケージングが良くなったことで、中型セダンと需要を食い合う(カニバリゼーション)展開になっていることも原因の1つでしょう。
シビックは現行型に切り替わってからというもの非常に好調で、北米では2年連続で販売台数を伸ばしていますし、今年1-2月の販売台数も、前年同期比で増えています。
室内が広く運転もしやすいSUVや、燃費や使い勝手が良くしかも安価な小型車の登場によって、中型セダン離れが加速していることは十分に考えられます。
SUVと小型車から、中型セダンは挟み撃ちにされているのです。
考えられる理由その4: 商品自体の魅力に乏しい
新型アコードハイブリッドは、旧型よりも燃費が悪くなっています。
普通ではありえないことですが、アメリカEPAによる燃費測定だと、旧型のアコードハイブリッドよりもなぜか悪化しているのです。
車種 | 市街地 | ハイウェイ | 複合 |
---|---|---|---|
新型アコードハイブリッド | 20.0 | ||
旧型アコードハイブリッド | 20.8 | 20.0 | 20.4 |
新型アコード 2.0Lターボ | 9.7 | 14.5 | 11.5 |
新型アコード 1.5Lターボ(CVT) | 12.8 | 16.2 | 14.0 |
新型カムリハイブリッド | 21.7 | 22.5 | 22.1 |
新型カムリ 2.5L NA | 11.9 | 16.6 | 13.6 |
単位はkm/L。
なぜ新型アコードの燃費が悪化したのかは不明です。
ライバルのカムリは熱効率40%オーバーのダイナミックフォース・エンジンを導入したため、ハイブリッドの燃費で差をつけられてしまっています。
ノンハイブリッド同士の比較だと、1.5Lターボではわずかにアコードが勝っていますが、ハイウェイ燃費ではカムリに負けているので、ユーザーによってはカムリを選ぶ人もいるでしょう。
新型アコードハイブリッドはまだ発売されていない(記事執筆時点)ものの、ハイブリッドの投入がアコード販売の起爆剤になるとは考えられません。
しかもリースだとカムリの方が安いというのですから、新型アコードへの需要は、結局カムリに吸われてしまうのではないでしょうか。
内外装のデザインや質感においても、新型アコードがカムリに勝っていると考える人は少ないようです。
北米のあるディーラーは「2台の車を並べて置くと、カムリよりもそれほど良くはない」と語っており、新型アコードは商品自体の魅力に乏しいのかもしれません。
出典・参考サイト
Honda Dealers Struggling To Sell 2018 Accord Due To Poor Lease Offers | carscoops.com
2018 HONDA ACCORD HYBRID GETS 47 MPG | motortrend.com
Honda Accord Sales Figures | goodcarbadcar.net
Honda Civic Sales Figures | goodcarbadcar.net
Toyota Camry Sales Figures | goodcarbadcar.net
Compare Side-by-Side | fueleconomy.gov
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