トヨタ86がル・マン24時間レースにちなんだリバリーで登場!
2018年のル・マン24時間レースが、6月16~17日にかけて開催されます。
今年の大本命はトヨタです。
総合優勝を狙えるLMP1クラスに参戦する唯一の自動車メーカーですから、当然と言えます。
まあ、レースに絶対は無いので、トヨタといえども勝てる保証はありませんけどね。
そのル・マンに先駆けて、トヨタUKが特別なカラーリングを施した86を公開しました。
かつてトヨタがル・マンで走らせた「TS010」「TS020」「TS050」のリバリーを、忠実に再現したものです。
市販されるわけではありませんが、ル・マンにかける意気込みが伝わってくるようです。
今回は3台の特別な86とともに、そのカラーリングの元となったレーシングカーの歴史を簡単に振り返ってみたいと思います。
ル・マンにちなんだヒストリックな86
トヨタ TS010
ル・マンに「トヨタ」の名前を冠するワークスマシンが登場したのは、1985年のトヨタ 85Cが最初でした。
88年までは市販車エンジンをベースにした小排気量のターボエンジンで戦っていましたが、1991年に登場したTS010からは、レギュレーションの変更に伴い、F1と同じフォーマットの3.5リッター・V型10気筒ガソリン自然吸気エンジンに切り替わっています。
TS010はフロントにラジエターを搭載する古風なデザインだったため、SWC(スポーツカー世界選手権)ではジャガー XJR-14やプジョー 905に苦戦することになりましたが、1992年のSWC開幕戦モンツァでは、小河等、ジェフ・リース組が見事優勝を果たしています。
小河選手が日本人として初めてスポーツカー世界選手権で優勝した、記念すべきマシンです。
その小河選手はル・マンでの活躍も期待されていたものの、スポット参戦した全日本F3000のレースで事故に遭い、他界してしまいました。
悲しみを乗り越えて参戦したル・マンでは、TS010で2位を獲得した関谷正徳選手が、表彰台で小河選手の遺影を掲げたそうです。
その関谷選手が日本人として初めてル・マンを制覇したのは感慨深いものがありますね。
余談ですがトムスが使用している「36」というカーナンバーは、元々は小河選手が付けていたものです。
今回86に施されたカラーリングは、92年に2位表彰台を獲得した33号車(ピエール-アンリ・ラファネル、関谷正徳、ケネス・アチソン組)のものです。
青と白が鮮やかで、かっこいいですね。
トヨタ GT-One TS020
1995年から、ル・マン24時間レースはGTカーを頂点とするレースになりました。
それに合わせてトヨタもスープラを送り込みますが、何しろ相手がマクラーレンF1 GTRでしたから、勝ち目はありませんでした。
翌96年もスープラで出たものの、リタイアに終わっています。
そこでトヨタは1年間活動を休止し、98年にル・マンに復帰。
そのときサルト・サーキットに持ち込んだのが、TS020です。
アンドレ・デ・コルタンツが手がけたTS020は、革新的なマシンでした。
フロントフェンダーは最小限(内側が無い)で、ホイールの内側にまで水平板が伸びているなど、細部に至るまで徹底して空力にこだわったマシンだったのです。
しかしTS020は、信頼性に問題を抱えていました。
1998年はミッショントラブルが多発し、最上位は日本人トリオ(片山右京、鈴木利男、土屋圭市組)の9位がやっと。
翌99年は優勝候補筆頭だったものの、トラブルとクラッシュで2台を早々に失い、燃費に勝るBMW V12 LMRの先行を許すことに。
それでも日本人トリオの駆る3号車が最後まで追いすがったものの、タイヤバーストで万事休す。2位に終わっています。
速さは抜群でしたが、結局勝てませんでした。
86に施されたカラーリングは、98年仕様のTS020を元にした所謂「霜降り」カラーです。
2位表彰台を獲得した99年仕様のマールボロ・カラー(フランスは当時からタバコ広告禁止だったためロゴは入っていない)でないのは、諸事情を考慮すれば仕方がないのかもしれませんが、残念ですね。
トヨタ TS050 ハイブリッド
トヨタが2016年に投入したTS050 ハイブリッドは、TS040まで長らく使われてきた3.7リッター・V型8気筒ガソリン自然吸気と決別し、新開発の2.4リッター・V型6気筒ガソリンツインターボを搭載しています。
また、蓄電装置もスーパーキャパシタからリチウムイオン電池に変更。
レギュレーションで許される1周あたりエネルギー放出量も最大の8MJを選択するなど、TS030・TS040とは全く異なる車に進化しました。
2016年のル・マンでは優勝まであと一歩に迫ったものの、「I have no power!」の悲痛な叫びとともにスローダウン。
最後の最後でポルシェに抜かれてまたもや勝てませんでした。
翌2017年もペースこそ良かったものの、トラブルとアクシデントで総合9位(後に繰り上がりで8位)にとどまっています。
86のカラーリングは、2016年の5号車がベースのようです。
86の方はno powerとはならない……はずです。
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