BMWがル・マン復帰 LM-GTEでフェラーリやフォードと対決!

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BMWのル・マン復帰が正式に発表されました。ワークスBMWとしては2011年以来となります。2018年からWECのLM-GTEクラスに参戦し、目指すはル・マン24時間レースのクラス優勝です。

画像の出典: automobilesreview.com


ル・マン24時間レースとBMW

BMWが初めてル・マンに参戦したのは、1939年です。この年の9月に第2次世界大戦が始まるので、戦前最後のル・マン24時間レースですね。

再びBMWがサルテ・サーキットに姿を現したのは、ドイツの敗戦と東西分断を経た33年後のことでした。1972年にシュニッツァーが2800CS(現在の6シリーズの源流)でル・マンに参戦。このときはリタイアに終わっています。

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Team Schnitzer-Motulの2800CS

画像の出典: racingsportscars.com

しかし翌73年には3.0CSLが投入され、’73〜’74と2年連続でクラス優勝を達成しました。

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ワークスカラーの3.0CSL

画像の出典: racingsportscars.com

1975年にはプライベーターの2002 TIがクラス優勝。BMW車の性能をこれでもかと見せつけましたが、グループ5規定の3.5CSLは、ポルシェ935/76(フラットノーズ)に惨敗。結局3.5CSLはこの年限りでした。

1979年に満を持して投入されたBMW M1も、ワークスチームに勝利をもたらすことはありませんでした。

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80年のル・マン。935 K3-80とM1の対決。

画像の出典: Martin Lee via flickr

’84〜’85とプライベーターのM1がクラス優勝するものの、それ以降BMW車の参戦は再び途絶えてしまいます。

マクラーレンF1 GTRの登場

80年代はプロトタイプ・シャシー向けにエンジン供給を行っていたBMWでしたが、それも90年代になると無くなり、BMWのエンブレムはル・マンから姿を消してしまいました。

ところが95年、BMWエンジン搭載車がいきなり総合優勝をかっさらってしまいます。#59国際開発UK・マクラーレンF1 GTR(ヤニック・ダルマス、関谷正徳、J.J.レート組)が、雨で波乱のル・マンを制したのです。

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画像の出典: superstreetonline.com

この勝利はBMWエンジンにとって初めての総合優勝でしたし、日本人ドライバーが初めてル・マンで表彰台の頂点に立った歴史的なものでした。

しかし96年以降は、ポルシェ911GT1や日産R390、メルセデス・ベンツCLK-GTR、そしてトヨタGT-One TS020など、レギュレーションを満たすためだけにベース市販車数台だけ製造した「レース専用のGTカー」が多数参戦し、マクラーレンF1 GTRは勝利から遠ざかってしまいます。

BMWがプロトタイプを投入

97年限りでマクラーレンF1 GTRへのエンジン供給契約が終了したBMWは、翌98年にオープンプロトの「BMW V12 LM」を投入します。しかしV12 LMは、2台ともリタイアを喫してしまいました。

トヨタ vs BMW

99年、必勝を期したBMWは、F1チームのウィリアムズと「BMW V12 LMR」を共同開発、今度こそはル・マン24時間レースに臨みます。

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画像の出典: wallpaperup.com

しかし当時のル・マンはワークスの百花繚乱。スピードではトヨタとメルセデスに及ばず、予選は3番手・6番手につけるのがやっとでした。

戦前の予想では圧倒的にトヨタ有利。しかしレースが始まると、状況が一変します。

まずメルセデスは宙を舞い全車撤退。トヨタは翌日の日の出を見ることなく3台中2台がリタイア。そしてBMWは燃費の良さを武器に、いつの間にやらトップに躍り出ていたのです。

追いかけるのはトヨタ唯一生き残りである日本人トリオ(片山右京・鈴木利男・土屋圭市)の#3。カミカゼ右京の鬼神の如き走りにBMWは追い詰められますが、トヨタの逆転が現実味を帯びてきたところでTS020は痛恨のタイヤバースト。BMWが逃げ切り、ついにワークスチームとして総合優勝を遂げたのです。

それにしてもトヨタって……もってないですよね。

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BMWの2018年ル・マン参戦マシン

現在BMWは、FIA-GT3規定に合わせて製作された「M6 GT3」と、北米IMSAが運営する「ウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ」用の「M6 GTLM」という、2種類のGTレースカーを供給しています。

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M6 GTLM

画像の出典: rahal.com

このうちLM-GTE規定に近いのは「M6 GTLM」だと思われます
。しかし2018年にBMWが復帰する際には、6シリーズが新型に切り替わっている可能性が高いので、ル・マン参戦マシンは新型のM6ベースになるはずです。

次期6シリーズはポルシェ911の対抗馬に

新型6シリーズは、現行型のようなラグジュアリー・クーペではなく、スポーツカーになると言われています。BMWはポルシェ911の対抗馬となるような車を欲しがっており、次期6シリーズに白羽の矢が立ったというのです。

ポルシェをル・マンで叩きのめすことができれば、新型6シリーズのスポーツ性を大いに喧伝することができます。今年のル・マンで復活したフォードGTが、因縁の相手であるフェラーリや、ライバルのコルベットをやっつけたように、2018年のル・マンでは、ポルシェを圧倒するBMWを見れるかもしれません。

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