EVの普及で失業者が増える!?
ドイツ政府が電気自動車(EV)の普及によって、自動車生産に携わる多くの労働者が失業する可能性があると警告しています。
EV販売台数の伸びが、なぜ雇用の増加につながらないのでしょうか。
EVの普及で失われる雇用
2030年には世の中を走る全ての車の25%がEV、15%がハイブリッド、そして残りの60%がガソリン車になるという研究報告があります。
そしてこの報告に基づいて計算すると、ドイツの自動車産業では、およそ75,000人分の仕事が失われる可能性があるそうです。
さらに悪いことに、もしプラグインハイブリッド車(PHEV)が想定以上に普及した場合には、失われる雇用は100,000件を超えると推測されています。
EVやPHEVが失業者を生む理由
EVやPHEVが普及するほどに雇用が減少する原因は、パワートレインの組立時間が30%も短くなるためです。
ドイツの労働組合は「電気自動車は邪悪な災害である」と声明を発しています。
EVやPHEVのパワートレインは部品点数が少ないため、ICE(内燃機関)ほど多くの労働力を必要としません。
EVパワートレインの部品点数はICEの1/6に過ぎず、バッテリーの生産に関しても、エンジン生産のプラントと比較して1/5の労働力しか必要としないそうです。
同じことがサービスに関しても言えます。
エンジンオイルやオイルフィルター、エアフィルター、スパークプラグ、クラッチプレートなどの交換や、エンジンオーバーホールなどのサービス作業は不要になるからです。
内燃機関車と比較すると、EVのサービス費用は35%も減少します。
つまりEVやPHEVの普及によって失業した労働者は、自動車産業自体では吸収できません。
よって労働者を他の産業で吸収できなければ、時間の経過とともに「EV失業」が増えることになります。
「EV失業」問題はインドでも
インドも同様の懸念を抱いているようです。
インドの自動車部品メーカーは、EVへの転換が急激に行われた場合、実に150万人分の仕事が失われると警告しています。
EVやPHEVへの転換が急激に起こる理由は、主に政治的なものです。
大気汚染や地球温暖化の対策として、EVやPHEVの普及を促進しようとする動きがあります。
極端な政策では都市部での内燃機関車の使用を禁止するようなものまであるようです。
政治家や環境保護団体などは、EVやPHEVの普及を政治権力によって加速、もしくは強制しようとしていますが、それが多数の失業者を生み出しかねないことを、心に留めて置かなければなりません。
つまりある日を境に突然EVやPHEVに移行するのではなくて、少しずつ段階的に移行しなければならないのです。
日本も他人事ではない
日本も自動車製造を基幹産業としているので他人事ではありませんが、幸か不幸か日本では人手不足が顕著になってきているので、自動車産業で失われた雇用を、他で代替することができるかもしれません。
とはいえ、それでもやはり政府の支援は必要になるでしょう。
出典・参考サイト
Electric cars are more labor efficient to make and will lead to job loss, says new study – electrek.co
German Government Warns Of Massive Job Loss Due To Electric Cars – insideevs.com
Electric vehicles will kill jobs? See shocking emerging facts – financialexpress.com
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