アストンマーティンが2019年上半期決算で大幅な赤字に。他のスーパーカーブランドは?

テクノロジー・業界分析

アストンマーティンが、2019年上半期の決算において、7880万ポンド(約102億円)もの税引き前損失を計上しました。
ちなみに2018年上半期は、2080万ポンドの税引き前利益を計上していたので、大幅な減少です。

アストンマーティンは赤字の理由として、高級車セグメントの減速や、イギリスやヨーロッパでの自動車需要の減少、そしてウェールズ新工場の費用などを挙げています。

売上に関しても落ち込んでおり、2018年上半期が約4億5000万ポンドだったのに対し、今年の上半期は4億700万ポンドに減ってしまいました。
ハイエンドモデルの売上が減少し、一方でリーズナブルなヴァンテージの販売が増えたことも影響しているようです。

ではアストンマーティン以外のスーパーカーブランドの決算はどうだったのでしょうか?
ちょっと調べてみました。


2019年上半期のスーパーカーブランドの決算を比較する

フェラーリ

跳ね馬の2019年上半期決算は、売上高が19億2400万ユーロ(約2282億円)、税引き前利益が4億5500万ユーロ(約539億円)でした。
前年同期と比較すると、売上高は+10.7%、税引き前利益は+8.6%増加しています。
上半期の販売台数は5,281台でした。

フェラーリはアストンマーティンと同じく、SUVをまだ販売していないブランドですが、順調に販売台数を伸ばしています。
アストンマーティンが販売減少の理由として挙げていたイギリス市場でも、フェラーリは販売台数を減らしていません。
ヨーロッパおよび中東アジア(EMEA地域)でも同様です。

フェラーリは決算に合わせて、9月に2つのニューモデルを投入することを発表しました。
1台は812スーパーファスト・スパイダーになると見られています。
もう1台はSUVのプロサングエかもしれません。
SUVが投入されれば、フェラーリの売上はさらに伸びるはずです。

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ポルシェ

ポルシェの2019年上半期決算は、売上高が134億ユーロ(約1兆5895億円)、営業利益は22億ユーロ(約2609億円)で、増収増益でした。
前年同期と比較すると、売上高は+9%、営業利益は+3%増となっています。

ポルシェはヨーロッパ市場で-16%も販売台数が減少したものの、中国やアジア・パシフィック、アフリカおよび中東アジア地域の販売台数増加がそれを補いました。
アメリカは+3%と微増にとどまっています。

上半期の販売台数は133,484台で、そのうちカイエンが41,725台、マカンが47,367台と2/3がSUVで占められています。
特に新型に切り替わったカイエンが前年同期比で45%増という驚異的な伸びを記録しているので、今後もSUVが売上を支えていくことになるでしょう。

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ランボルギーニ

ランボルギーニの2019年上半期決算は、売上高が9億7800万ユーロ(約1160億円)となりました。
前年同期比で+75.6%増という大幅な伸びです。

営業利益はアウディ・グループで一纏めにされているので、ランボルギーニの利益がどれほどかは不明ですが、かなりの増益だと考えて間違いないでしょう。

過去最高となる売上高を達成できたのは、販売好調なSUV「ウルス」おかげです。
上半期の販売台数は4,553台だったのですが、そのうち2,693台はウルスでした。
ポルシェと同じくランボルギーニも、販売ボリュームの大部分をSUVが占める時代になったわけです。

ちなみにアウディ・グループ全体の地域別販売台数は、ドイツを除くヨーロッパ地域で-19.1%も減少してしまいました。
アメリカでは増加したもののアジア・パシフィック地域で減少したために、ヨーロッパの販売減をカバーできず、トータルでも-7.8%ほどの減少となっています。

ランボルギーニに関しては、今後はプラグインハイブリッドのアヴェンタドール後継モデルなどが控えていますし、おそらくウルスもいずれハイブリッド化されると思うので、さらに売上を伸ばしていくはずです。

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アストンマーティン不振の真相

アストンマーティンの決算が不調だったのは、ヨーロッパでの販売台数減少を、他地域で補えなかったためでしょう。

ヨーロッパ以外で大きな販売台数を見込めるのはアメリカと中国ですが、どちらもSUVが人気の市場です。
ポルシェはアメリカと中国で新型カイエンを売りさばいて増収増益を維持し、アストンマーティンはそれができずに赤字になった、と考えるのが妥当だと思います。
今後はSUVのDBXが投入されますから、きっと挽回できるはずです。
ランボルギーニはウルスの新車効果が無くなる来年以降が正念場ですね。

フェラーリは他のスーパーカーブランドとは全く異なり、他ブランドが苦戦するヨーロッパで販売台数を伸ばしている特異なブランドです。
ちなみに直近の第2四半期(2019年4~6月)も増えており、減る気配すらありません。
やはり跳ね馬は特別なブランドなのかもしれませんね。

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