EV時代にBMWが抱えるジレンマ……コンパクトカーから撤退?
BMWがEV時代のコンパクトカー戦略に苦しんでいるようです。
BセグメントやCセグメントに属するコンパクトカーは、比較的安価なモデルが多いわけですが、EVはコスト高なため、利益率が非常に低くなってしまいます。そのため開発コストを回収するのが難しいのです。
今回は現在のBMWが抱えているジレンマについてご覧ください。
EV時代にBMWが抱えているジレンマ
BMWを含むドイツの高級車ブランド(いわゆる御三家)は、ここ20年ほどの間にコンパクトカーのラインナップを拡大してきました。
小さな高級車と呼ばれるプレミアムコンパクトカーは、高級車ブランドのエントリーポイントとして機能してきたのです。
しかしコンパクトカーをEVにするとなると、話は変わってきます。
車体が小さいコンパクトカーは、バッテリーの搭載スペースが確保しづらいのです。
そこでEV専用のプラットフォームを開発することになるのですが、コンパクトカーはそもそも利益率が低いため、新たにプラットフォームを開発するとそのコストを回収できません。
もう一つの問題は市場のニーズです。
米国ではコンパクトカーのニーズがそもそも少なく、中国ではハッチバックよりもセダンの方が人気があります。
つまり世界の2大自動車市場において、コンパクトカーは人気が無いのです。
御三家の動向
メルセデス・ベンツやアウディは、既にコンパクトカーラインナップの整理に着手しています。
メルセデスはコンパクトセグメントにおける「行き過ぎ」を認め、大衆車ブランドの競争相手になるべきではないと言い、「マージンを引き上げるために(既存のコンパクトカーの価格を)上に移動させたい」と述べています。
また、アウディはA1やQ2の廃止を決定しました。
日本の自動車メーカーのEV化遅れは必然
日本の自動車メーカーのEV化が遅れているとよく批判されています。
筆者もそう思っていたのですが、ドイツ御三家の動向を見ると、むしろ遅れは必然なのかもしれません。
日本の自動車メーカーのほとんどは大衆車ブランドであり、ドイツ御三家よりもさらに利益率が低いわけですから、EV化は困難を極めます。
そして、日本の自動車メーカーの主戦場はアメリカと中国です。欧州で大きなシェアを持っているのはトヨタくらいですから、ニーズの無いコンパクトEVを開発しても意味がありません。
これらを総合すると、日本の自動車ブランドの中でEV化を牽引していくのはレクサスになると思います。
先日発表されたRZ450eを皮切りに、業界の先頭に立ってEV化を推進していくことになるでしょう。
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