テスラが世界で9番目に売れた車に! でもEV人気は……?

テクノロジー・業界分析

Tesla Model 3 2018

テスラ モデル3が、2021年に世界で9番目に売れた車としてランクインしました。また、2022年にはトップ5に入る可能性すらあると言われています。

今回は2021年のモデル別世界販売台数ランキングから、市場の傾向を見ていきます。


2021年のモデル別世界販売台数ランキング

Best Selling Vehicle 2021 1-11
出典: fiatgroupworld.com

上位はほとんどが日本車です。
1位のトヨタ RAV4と2位のカローラセダンは、100万台を超える台数を販売しています。トヨタは5位にカムリ、8位にハイラックスが入っているので、トップ10のうち4台を占めています。

日産でトップ10にランクインしたのは、4位のシルフィー / セントラのみ。
一方、ホンダは3位にCR-V、6位にヴェゼル、10位にアコードが入っています。シビックは惜しくも11位でしたが、集計方式がボディタイプ別でなければ、セダンとハッチバックの合算でアコードよりも売れているはずです。

日本車以外だと、7位に入ったフォード F-150と、9位のテスラ モデル3だけです。
このランキングは世界の販売台数の合計ですが、ほとんどの需要がアメリカに集中しているフルサイズのピックアップトラックがランクインしていることで、アメリカ市場が如何に大きいかわかります。
ちなみにハイラックスは新興国市場でも売れているそうです。

Best Selling Vehicle 2021 12-22
出典: fiatgroupworld.com

12位以下はピックアップトラックとSUVが多くを占めています。
テスラ モデルYは19位にランクインしており、伸び率も前年比+412%と驚異的です。
トヨタ ハイランダーも+30%と大きく伸びていますが、これは中国市場での人気が影響しています。

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EVは本当に人気なのか?

Tesla Model Y 2021 Front
テスラ モデルY(2021年モデル)

ランキングを見てわかる通り、ランクインしているEVはテスラのみです。そしてEVとは対極にあるような、ガソリンを大食らいするピックアップトラックも数多くランクインしています。
ちなみにランキングは110位まで公開されていますが、モデル3とモデルY以外にEVの姿はありません。

テスラ モデル3やモデルYは、比較的安価だから売れているとも考えられます。しかしフォルクスワーゲンなどはテスラよりも安い価格帯でEVを投入しているので、安いからテスラが売れているとは言えません。
ランキングを見る限り、むしろテスラに人気があるだけで、EV人気自体はさほど高くないと見る方が妥当な気がします。
ちなみにフォルクスワーゲン ID.4(モデルYより安い)の2021年の販売台数は119,600台だそうです。ランキングの110位が166,000台ですし、新車は出た直後が一番売れるので、2022年もID.4がランクインするのは難しいかもしれません。

ガソリン価格の高騰により、EVの需要はますます高まると思われますが、性能に対して車両本体価格が大きく下がらない限り、EVのシェアが大きく伸びるとは思えません。
ランキング上位を日本車が占めているのは、アメリカだけでなくアジアやヨーロッパでも人気のモデルだからです。その世界的人気がコストを引き下げ、製品品質に対して販売価格が安い──コストパフォーマンスの高さ──につながっています。EVで同様の構造を作り上げたのは、今のところテスラ モデル3とモデルYのみと言えるでしょう。

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