タカタ再建計画の策定が始まる
エアバッグインフレータのリコール問題に揺れるタカタですが、ここに来て包括的な再建計画の策定が始まったようです。
トップ画像の出典: nw-injurylawyers.com
目次
タカタの現状
再建計画と聞くと「タカタはもう倒産するのか!?」と思われるかもしれません。ところが現在でも本業は好調です。2016年3月期の決算内容を見てみましょう。
項目 | 2015年3月期 | 2016年3月期 | 増減(%) |
---|---|---|---|
売上高 | 6428 | 7180 | +11.7 |
営業利益 | 329 | 421 | +27.8 |
経常利益 | 406 | 352 | −13.4 |
特別損失 | −586 | −442 | ── |
当期純利益 | −295 | −130 | ── |
単位は億円。
上の表からもわかるように、本業の儲けを示す営業利益は大幅に伸びています。2016年3月期が130億円の赤字となったのは、やはり特別損失──つまりリコール関連費用──の影響が大きいのです。
タカタのエアバッグはまだ売れている?
売上や営業利益が増えていても、エアバッグの売上は減っているかもしれません。そこで製品別の売上高とその比率を見てみます。
製品種別 | 15年3月期 | 16年3月期 | 増減(%) | 16年構成比(%) |
---|---|---|---|---|
シートベルト | 2079 | 2403 | +15.6 | 33.5 |
エアバッグ | 2448 | 2559 | +4.5 | 35.7 |
ステアリング | 1058 | 1205 | +13.8 | 16.8 |
その他 | 841 | 1011 | +20.3 | 14.0 |
エアバッグ事業の伸びは鈍化していますが、それでも減少しているわけではありません。構成比で見ても、タカタの中で一番大きな事業のままです。
再建計画の必要性
本業が好調なのに再建計画が必要なのは、今後自動車メーカーからリコール費用の負担を求められることが確実だからです。
一方でタカタの財務状況は、徐々にですが悪化しています。
項目 | 14年3月期 | 15年3月期 | 16年3月期 |
---|---|---|---|
現預金 | 1082 | 763 | 585 |
有利子負債 | 909 | 863 | 840 |
自己資本比率(%) | 39.3 | 31.0 | 27.5 |
格付け(JCR) | A | BBB+ | BB− |
現預金が2年前の半分近くにまで減っていますね。また、格付けが下がってしまっているので、市場からの資金調達も難しい状況です。
この状況で自動車メーカー側から負担を求められれば、財務面で厳しい状況に追い込まれてしまいます。本業を存続させるためにも、財務面の再建が急務なのです。
再建計画の概要
再建計画の策定するのは、弁護士などで構成された「外部専門家委員会」です。委員長には東京富士法律事務所の須藤弁護士が就任し、ビジネス・法務・財務に明るい4名の外部専門家とともに、タカタの再建計画を策定します。
そして財務アドバイザーには、アメリカの投資銀行である「ラザード」が選任されました。
ラザードは、クラフトフーズとハインツの大型合併でもアドバイザーを務めた実績があります。ハインツはウォーレン・バフェット氏の保有銘柄(正確には氏の会社であるバークシャー・ハサウェイの保有だが)だったので、日本でもかなり話題になった合併劇でした。
タカタのスポンサーに30社程度が関心を示しているとロイターは報じています。その内の半数が事業会社──おそらくはタカタと取引のある自動車関連の企業──だそうです。
コールバーグ・クラビス・ロバーツのような投資ファンドや、中国の自動車メーカー傘下のアメリカ企業(キー・セイフティ・システムズ。エアバッグ等の生産を手掛ける)も関心を示しているといいます。シャープのように外資に買われなければ良いのですが。
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