ポルシェが初の年間20万台突破! 好調の要因を探る

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やっぱりピケティの言う通り?

ポルシェ・マカンGTS_外観

画像の出典: netcarshow.com


中国経済の減速、ヨーロッパに流入する難民問題、そしてVWの「ディーゼルゲート」事件など、自動車市場を取り巻く環境は、決して良好とは言えません。

そんな中、ポルシェが年間20万台以上の販売を達成することが確実となりました。これはポルシェ社の歴史において初めての快挙です。

Porsche Delivers 200,000 Cars In Calendar Year For The First Time

上記リンク先の記事によると、2015年のポルシェの販売台数は、11月末の段階で209894台となり、昨年比24%増となっています。


ポルシェ好調の要因を分析する

売れ筋はやはりSUV

ポルシェの快進撃を支えているのはカイエンです。今年は既に68029台を販売したとのことですから、カイエン1車種で販売の32.4%を占めている計算になります。

今年はどうなるかわかりませんが、ポルシェの昨年の販売台数に占めるマカンの比率は約23.7%、カイエンの比率は約34.7%でした。つまり年間販売台数の50%以上を、SUVが占めているのです。

地域別販売台数ではヨーロッパと中国が牽引

ヨーロッパにポルシェの販売台数は昨年比で+30%の70509台。中国にいたっては+34%の54302台と、経済減速など何処吹く風です。

意外だったのはアメリカ合衆国です。安いガソリンと低金利で自動車販売が絶好調な同国ですが、ポルシェの販売台数は+9%と伸び悩み、国別でのポルシェ売上げランキングトップの座を中国に明け渡すこととなりました。

ちなみには日本は昨年比+34.7%の5851台でした。

ポルシェの販売台数内訳の推移

こうしてグラフにしてみると、カイエン以外の販売台数はさほど伸びていません。2011年9月に新型に切り替わった911が翌2012年に大幅増となったのと、ボクスター&ケイマンが新型になった2013年に倍増した以外は、ほぼ横ばいと言えます。

2014年にカイエンが販売台数を落としていますが、マカンがそれを埋めて余りある売上を記録したことで、ポルシェ社全体としては17.1%の販売台数増となりました。

売上高と営業利益は順調に伸び続けているが……

マカンは販売台数増に寄与しましたが、営業利益率を引き下げる原因ともなったようです。

他のブランドにも言えることですが、販売台数を増やすためにより安価なモデルを投入すると、結果として営業利益率が下がってしまい、それをカバーすべく量販効果を求めてさらに安いモデルを投入……という悪循環が発生しがちです。

悪循環を食い止めるにはコストダウンして営業利益率を改善するしかありませんが、下手にコストダウンを進めると高級感や上質感を損ない、ブランド価値そのものを失いかねません。

VWやホンダの営業利益率の低さは、上記の悪循環に嵌った結果でしょう。ブランド価値を落とさずにコストダウンするのは、一流企業といえども至難の業なのです。

スバルがポルシェの営業利益率を超えるかも?

2014年、スバルの営業利益率は14.7%でした。スバルの好調は今年も持続していますし、アメリカにおいて最上位車種であるアウトバックがバカ売れしていることを考えると、2015年の営業利益率はさらに高まると思われます。

ポルシェはダウンサイジングターボ化した911を発表しましたが、まだデリバリーは始まっていません。マカンの販売が昨年以上に伸びているとすれば、営業利益率のさらなる低下は避けられないでしょう。

昨年、ポルシェとスバルの営業利益率の差は1.1%にまで縮小しました。今年は逆転するかもしれません。

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