新型ポルシェ991ターボのニュルタイムは7分18秒?(ただしシミュレーション)

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正式なラップタイムは2016年3月以降におあずけ


新型ポルシェ911ターボS(type991)のニュルブルクリンクでのラップタイムは、7分18秒程度になりそうです。しかしこのタイムは、あくまでポルシェの予想タイム。全開でのタイムアタックは、いまだに行われていません。

トップ画像の出典: netcarshow.com


目次

  1. タイムアタックできないワケ
  2. 「7分18秒」に意味はあるのか?
  3. ポルシェがラップタイムにこだわる理由
  4. ラップタイムに潜む「相対化」の罠
  5. ブランド商法では一日の長があるフェラーリ

タイムアタックできないワケ

昨年日産GT-R GT3がレース中に宙を舞い、観客に犠牲者が出たことで、現在ニュルでは事故現場付近に速度規制が敷かれています。

コースの安全性を根本から高める改修作業が終わるのは、2016年3月以降の予定ですから、新型ポルシェ911ターボSのタイムアタックが行われるのもそれ以降になると、911ターボSの開発責任者がデトロイト・オートショーで語ったそうです。

(7分18秒というタイムは、ニュルの)いくつかの部分を運転し、速度規制のためにトップスピードを出すことが許されない中で、前の911ターボと比較して計算されたものだ。

(正確なタイムは)春に速度規制が解除されたら時にチェックする。

しかし7分18秒は確実に出せる。われわれはタイムに関して元来保守的だし、その(7分18秒という)タイム(の根拠となったセクションタイム)も、スポーツタイヤではなくスタンダードタイヤつけてのものだ。

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仮に7分18秒を出せるとすれば、991 GT2 RS(type997)と同タイムということになります。

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「7分18秒」に意味はあるのか?

R35 GT-Rが火をつけたニュルブルクリンクでのラップタイム競争は、市販車のトップタイムが6分台に突入し、行き着くところまで行った感があります。

よって911ターボSが7分18秒を実際に記録したとしても、ニュルの市販車ラップタイム記録を更新できるわけでもなく、タイムアタック史的には何の意味もありません。

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ポルシェがラップタイムにこだわる理由

しかしポルシェがわざわざ「7分18秒」という具体的な数字を出してきたのは、ポルシェ社が自社製品同士の差別化に苦慮しているためでしょう。

「素の」911であるカレラも、次期ボクスター/ケイマン(718)も、共にターボ化されます。ターボというだけでは差別化できない時代なのです。

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かつては高性能の代名詞だった911ターボも、ライバルたちの急速な進歩により、性能面でのアドバンテージを喪失しつつあります。

911ターボは、いつからか特別な車ではなくなってしまった

ターボ装着が珍しくなくなり、性能面でも優位性を失ったポルシェ911ターボという車種は、アイデンティティ・クライシスに陥っているのです。

しかしタイムという絶対的な指標で差別化すれば、911ターボの存在意義を主張できます。少なくとも自社製品同士での顧客の食い合い(カニバリゼーション)は避けられるでしょう。

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ラップタイムに潜む「相対化」の罠

しかしラップタイムで差別化すれば、他社製品と比較されることは避けられなくなります。R35 GT-Rが一挙に世界的な知名度を得たのも、ニュルのタイムでポルシェ911ターボを上回ったからです。

製品の「相対化」は「代替可能」であることを証明するだけなので、それだけで製品が売れるわけではありません2つの製品のある部分が相対化されたなら、別の部分が比較されるだけです。

ポルシェがニュルのラップタイムで差別化しようとすればするほど、同レベルのタイムで走れる車と「速さ以外の部分」で比較されるようになります。技術力で勝負してきたポルシェが、デザインや内装の質感で比較されるのは、彼らにとっても本意ではないはずです。

ブランド商法では一日の長があるフェラーリ

むしろポルシェはフェラーリのやり方を真似るべきです。フェラーリはラップタイムにこだわらず(アピールされるのはフェラーリ専用テストコース・フィオラノのタイムだけ)、F1を中核に据えたブランド・エクスペリエンスを徹底的にデザインしています

ポルシェはその技術力でアピールできる分野──たとえば環境性能や自動運転──での顧客体験に注力すべきでしょう。その点では「ミッションE」に期待したいところです。


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タイヤ性能でどうとでもなるラップタイムにこだわりすぎれば、数多あるプレミアムブランドの中に埋没するしかありません。

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