2016年スーパーフォーミュラ第6戦SUGO なぜ関口は勝てたのか チャートで分析

SUPER FORMULA,モータースポーツ

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ピットタイミングとセーフティーカー絡みでピットストップ1回分のタイム(30秒以上)を失い、圧倒的に不利な状況に追い込まれながらも、驚異の走りでそれを挽回し、大逆転優勝した関口雄飛選手。なぜ彼はあんなに速かったのでしょうか?


鍵は中盤戦

関口選手のタイムが飛び抜けて速かったのは、セーフティーカー後のレース中盤です。

レース中盤では、2位・中嶋大祐選手のタイムもかなり良く、3位の野尻智紀選手を寄せ付けない速さで周回していることがわかります。

しかし関口選手はその大祐選手を、1周あたり1〜2秒ずつ引き離していき、最終的にはアンダーグリーンピットでのロスタイム分を稼ぎ出したのです。

でも、なぜ関口選手は中盤戦でこれほど速かったのでしょう?

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ヨコハマタイヤの特性

今季から導入されたヨコハマタイヤは、エンターテイメント性の向上を期待されていたものの、フタを開けてみればブリヂストンと同じようなタイヤでした。つまりタレが少なく、波乱が起きにくいタイヤです。

しかしどんなにタレが少ないタイヤでも、1レースを通じてグリップレベルに変化が起きないということはありません。

ラップタイムのピーク

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関口中嶋(大)野尻の3選手のラップタイムチャートを見ると、ラップタイムが良い時期がそれぞれ異なることがわかります。

関口選手はセーフティーカーラン後からピットインする2周前まで(24周目〜53周目)、大祐選手は29周目〜43周目、野尻選手は47周目〜68周目が、それぞれの選手が好タイムを連発していた時期です。

後半になるほど良くなるヨコハマタイヤ

関口選手と野尻選手はラップタイムに差こそあるものの、その動きは似ています。15〜20周ほどして車が軽くなり始めると、ラップタイムが急激に良くなり始めるのです

大祐選手は15周目にピットインし給油しました。間にセーフティーカーランを挟んでいるものの、やはり15周ほどでラップタイムが良くなり始めています。

ただ、大祐選手はその好ペースを持続できませんでした。関口選手に追いつこうと無理にペースを上げすぎて、タイヤを痛めてしまったのかもしれません。

災い転じて福となす

つまりヨコハマタイヤはマシンがある程度軽くなったときのタイム短縮幅が大きいのです。関口選手のコメントもそれを裏付けています。

走行中は、一度、リアタイヤが少し垂れてきてペースが落ちたんですが、そこから燃料が軽くなり、タイヤのパフォーマンスが維持できたんです。通常では燃料が軽くなると共に、タイヤのピークも下がってくるので、ペースが上がることはないんですが、タイヤ(のパフォーマンス)が一定のまま燃料が軽くなったので、ペースが復活しました。タイヤは最後になってもまだそのまま走れるんじゃないかというくらい、持続性があるいいものでした。

Race Review 2016 Round6 Sports Land SUGO

タイヤがタレないから15〜20周程度走ってガソリンタンクが軽くなってくると、大きくペースが上がるわけです。なので結果的に関口選手は、タイヤに合った正しい戦略を選択できたということになります。ケガの功名、災い転じて福となす、というやつですね。

もちろんその戦略が力を発揮できたのは、マシンの速さとドライバーの腕があってこそです。関口選手がヨコハマタイヤを知り尽くしていることも大きいでしょう。

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