WRC 2017 第5戦 ラリー・アルゼンチン トラブル続出! トヨタ勢は生き残れるか!?【5/1更新】
2017年のWRC(世界ラリー選手権)第5戦はラリー・アルゼンチンです。伝統のグラベル(未舗装)ラリーは、巨石の横をすり抜けていくスリリングなマウンテンロードや、平原を抜ける高速ステージなど多様性に満ちており、非常に難しいラリーとして知られています。
このページではラリー・アルゼンチンの模様を、ダイジェストでお送りします。
第5戦ラリー・アルゼンチンのダイジェスト
初日
木曜日は夜のスーパー・スペシャル・ステージのみ。ファンサービスのために用意された1.7kmのステージなので、本格的な戦いは翌金曜日からとなります。
順位 | ドライバー/No./メーカー | 総合タイム/トップとの差 |
---|---|---|
1 | セバスチャン・オジェ | 1:53.8 |
#1 フォード | ── | |
2 | エルフィン・エバンス | 1:54.7 |
#3 フォード | +0.9 | |
2 | ダニ・ソルド | 1:54.7 |
#6 ヒュンダイ | +0.9 | |
4 | ティエリー・ヌービル | 1:55.4 |
#5 ヒュンダイ | +1.6 | |
5 | ヤリ-マティ・ラトバラ | 1:55.9 |
#10 トヨタ | +2.1 | |
6 | マッズ・オストベルグ | 1:56.2 |
#14 フォード | +2.4 | |
7 | ヘイデン・パッドン | 1:56.3 |
#4 ヒュンダイ | +2.5 | |
8 | クリス・ミーク | 1:56.5 |
#7 シトロエン | +2.7 | |
9 | オットー・タナク | 1:56.9 |
#2 フォード | +3.1 | |
10 | ユホ・ハンニネン | 1:57.6 |
#11 トヨタ | +3.8 |
2日目
SS2 19.95km
序盤は道幅が広いものの、ところどころ岩盤が露出しているセクション。その後12kmまでは曲がりくねったテクニカルなセクションが続き、終盤はスムーズな高速コーナーを抜けていくステージです。
このステージでトップを奪ったのはエルフィン・エバンス(フォード)。ドライバーランキングで下位のエバンスは、スタート順が早いドライバーたちが掃除したクリーンな路面を走行。その好条件を見事に活かした格好です。
「良いね。でも公平に見れば、路面を掃除してもらったからだ。それは明らかだよ」とエバンス。「われわれはこのペースを続ける。良いスタートだ」
4.6秒遅れの2番手タイムは、クリス・ミーク(シトロエン)でした。
「ループの中では、掃除してもらえる唯一のステージだろう。スタート直後のバンプで大きな衝撃をうけ、車が打ち上げられてしまった。それ以外は良いステージだった」
トップから6.9秒遅れての3番手タイムは、ダニ・ソルド(ヒュンダイ)が記録しました。
「ステージの出来には満足。しかし道はタフで車にとって厳しいね。(午後の)2度目の走行はきつそうだ」
トヨタ勢は、ヤリ-マティ・ラトバラが4番手タイム、ユホ・ハンニネンが11番手タイムでした。
SS3 20.44km
砂に覆われた道で、ラリー・アルゼンチンでもっとも有名なステージの1つ。ナロー&ツィスティなセクションですら高速かつバンピーで、大クラッシュが頻発する危険なステージでもあります。
好調なスタートを切ったダニ・ソルドでしたが、このステージで石にタイヤをヒット。損傷したサスペンションアームの交換を強いられ、結局11分32秒も遅れてしまいました。
トップタイムはまたもエルフィン・エバンスが獲得。
「少し車のバランスと戦っている。でもタイヤは良く機能しているよ。ポジティブなスタートだね」
2.3秒遅れの2番手タイムはミークでした。
「とても速いステージ。このステージは前に一度走ったことがあるだけだ。前のステージみたいに掃除されてなかったから、このタイムはハッピーだよ」
エバンスから2.7秒遅れの3番手タイムは、オットー・タナク(フォード)が獲得。
「セットアップを大きく変えました。そしたら車がまるで別物になったんです。それまではこれほどのトラクションはありませんでしたよ。これは非常に良いステップです」
トヨタ勢は、ラトバラがトップから7.6秒遅れの6番手タイム。
「どこにも当てずに済んだ。一箇所でラインがワイドにはらんだけど、大事には至らなかったよ。とてもハードなコンディションだ。レッキ(事前試走)のときは雨だったけど今はとても乾いていて、(コースが)岩のようだ」
もう1台のトヨタを駆るハンニネンはトラブルに見舞われ、このステージだけで1分6秒も遅れてしまいました。
SS4 23.85km
スタートから650mのところにあるウォータースプラッシュは、ラリー・アルゼンチンを象徴する風景です。1.4km地点にも川があり、そちらは深さがあるので慎重に渡る必要があります。ステージは全体的に高速でスムースですが、終盤はバンピーです。
SS4もトップタイムはエバンス。これで3連続ベストです。
「すべてがとても上手く機能している。昨年はこのステージでプッシュしたんだけど、あんまり快適じゃなかったから、それを少し参考にしたんだ。失敗する余地が少ししかなかったので、慎重な運転を心がけたよ」
2.8秒遅れの2番手タイムはラトバラ。
「最初のウォータースプラッシュでフロントバンパーを失った、そのことがわかったのは高速セクションになってからだったよ」
トップから5.6秒遅れの3番手タイムはタナクでした。「私は去年このステージで車を壊したので、少し慎重に行きました。フィーリングはそれほど良くありませんが、われわれは問題なくここにいます」
ここまで総合2位につけていたシトロエンのミークでしたが、SS4で横転する大クラッシュ! ステージを何とかフィニッシュしたものの、ロードセクションでマシンが動かなくなり、デイリタイアとなってしまいました。
SS5 6.04km
2日目午前中最後のスーパー・スペシャル・ステージ。
トップタイムはまたしてもエバンス、2番手タイムはティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)、3番手タイムはマッズ・オストベルグ(フォード)となりました。
総合順位は1位エバンス、2位は30.1秒遅れでラトバラ、3位はトップから35.6秒遅れでオストベルグが続いています。
SS6 19.95km
SS2のリピートステージ。エバンスの勢いは午後に入っても止まらず、SS6でもトップタイムを記録しました。
「上手くいってると思うけど、それは大まかなもので、十分かどうか知るのは難しいね。すべてはOKだよ。タイヤはいい感じだし、車も上手く機能している」
エバンスだけは中国製のDMACKタイヤを装着しているのですが、彼の好調にはそのことも影響しているのかもしれませんね。
8.7秒遅れの2番手タイムはヌービル。リピートステージはコースがキレイなため、ヌービルのようにスタート順が早いドライバーも、ようやく上位のタイムを出せるようになってきました。
「非常に良いステージになりました。けれどいくつかの場所でオーバーヒートの症状が出たので、水温を少し気にしなければなりませんでした。それ以外はとても良かったですよ」
12秒遅れの3番手タイムはオストベルグが獲得。
「最高だぜ! 良いステージだった。車に乗れず長い時を過ごした後、われわれはラリー前に良い戦略を選んだ。計画を選んでそれが上手く行くってのは、素晴らしいことだね。それが何かって? 言わないよ、秘密の計画だから!」
トヨタ勢はこのステージで8・9番手と振るわず。秘密の計画が功を奏したオストベルグが、ラトバラを逆転し総合2位の座を奪取しています。
SS7 20.44km
SS3のリピートステージ。トップタイムは、もはや当たり前のようにエバンスが獲得。しかしヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)も同タイムを記録しています。
「十分に路面が掃除されてたわけじゃなかったけど」とパッドン。「路面の状況はそのことを考慮しても、今回の走行の方が良かった。そのことは僕に自信を与えてくれたよ」
トップからわずか0.1秒遅れの3番手タイムは、オストベルグでした。
「まあまあかな。いくつかの場所では午前中より良かったけど、難しいステージだしね」
SS8 23.85km
SS4のリピートステージ。ここでトヨタのラトバラにトラブルが発生。岩を避けようとコースオフした際に、タイヤがホイールリムから外れてしまい、ステージ中でタイヤ交換する羽目になってしまったのです。
その結果ラトバラは総合3位から一挙に総合6位へと転落してしまいました。
トップタイムはパッドンが記録。グラベルを得意とする彼ですが、いよいよ本領発揮でしょうか。
「午後の方がフィーリングはかなり良いよ。ステージにはより平常心で望めている。くつろげているし、明日のステージも楽しむよ。まだ先は長いし、何が起こるかわからないけどね」
エバンスは4.0秒遅れの2番手タイム。このラリーで初めてステージウィンを逃してしまいました。
ステージベストから7.1秒遅れの3番手タイムはヌービル。
「リアタイヤを保たせるために、スムースな走りをしなければなりませんでした」
SS9 6.04km
2度目のスーパー・スペシャル・ステージ。トップはヌービル、2番手はラトバラ、3番手はセバスチャン・オジェ(フォード)でしたが、距離が短いために差はほとんど付きませんでした。
2日目になってから全く出てこなかったオジェの名前が、ここでようやく登場しましたね。彼は先頭走者なので路面の掃除役を強いられているのですが、苦戦の理由はそれだけではありません。
2日目に彼を襲ったトラブルの数々を、箇条書きにしてみましょう。
- SS2……ペースノートのミスでタイトコーナーを直進し、溝にハマり抜け出すのに6秒のロス。
- SS3……いくつかのエアロパーツを失ってマシンが不安定に。セッティング変更も必要だと主張。
- SS8……丘を越えたところで岩にヒット。ステアリングが曲がったままでステージを走る羽目に。
路面の掃除とトラブルの頻発でイヤになったのか、SS7終了時には「正直言って、もうやれることはないよ。出来る限りのことはやってるんだ。限界なんだ」と、オジェにしては珍しく弱音を吐いています。
3日目からは走行順が、2日目終了時の総合順位のリバースとなるので、オジェも掃除役から開放され、本来の実力が発揮できるようになるはずです。
順位 | ドライバー/No./メーカー | 総合タイム/トップとの差 |
---|---|---|
1 | エルフィン・エバンス | 1:24:55.4 |
#3 フォード | ── | |
2 | マッズ・オストベルグ | 1:25.51.1 |
#14 フォード | +55.7 | |
3 | ティエリー・ヌービル | 1:25:56.1 |
#5 ヒュンダイ | +1:00.7 | |
4 | セバスチャン・オジェ | 1:26:02.1 |
#1 フォード | +1:06.7 | |
5 | オットー・タナク | 1:26:06.7 |
#2 フォード | +1:11.3 | |
6 | ヤリ-マティ・ラトバラ | 1:26:25.3 |
#10 トヨタ | +1:29.9 | |
7 | ヘイデン・パッドン | 1:28:37.2 |
#4 ヒュンダイ | +3:41.8 | |
8 | ロレンツォ・バルテッリ | 1:29:09.3 |
#37 フォード | +4:13.9 | |
9 | ユホ・ハンニネン | 1:29.44.0 |
#11 トヨタ | +4:48.6 | |
10 | ポンタス・ティデマンド | 1:31:27.7 |
#31 シュコダ(WRC2) | +6:32.3 |
3日目
SS10 20.8km
アスファルトで舗装された部分や、ウォータースプラッシュがある難ステージ。フィニッシュ地点に向けて徐々にコース幅が広くなり、路面もスムーズになるため、高速でのコーナリング能力が問われます。
このステージのベストタイムはエバンス。前日の好調を引き続き維持しているようです。
「最初はグリップが低くて危ないと思ったよ。その後スピードと実効性を改善できた。いくつかの場所では、もっと上手くやれたかもしれないけどね」
0.8秒遅れの2番手タイムはヌービルでした。彼はオストベルグを逆転し、総合順位でも2位に浮上しています。左後輪のタイヤがリムから外れるというトラブルに見舞われたにも関わらず、2番手タイムは立派です。
「コーナーへの進入速度が速すぎました。逆光でエイペックスが見えず、ブレーキングをミスしてバンクに当ててしまったんです。パンクだけで済んだのは幸運でしたね」
モンテカルロやスウェーデンでは、障害物へのささいなヒットで勝利を台無しにしたヌービルでしたが、今回は助かったようです。
そしてデイリタイアから復帰したミークが、怒りの3番手タイム(トップから2.1秒遅れ)を叩き出し、実力を証明しました。
「(昨日のリタイアに関して)機械的には、車はとても調子が良かったんだが、主に外装がね。スタッフの信じられないほどの仕事を成し遂げたよ。さて、昨日の恐怖の後で自信を持つのは難しい。走り続けて学ぶしかない」
SS11 38.68km
このラリー最長のステージ。以前はダカールラリーで使われていたという山岳ステージで、最も高い地点では、標高1912mに達します。頂上を過ぎると、粘土質の路面が露出する高速セクションへと突入するにも関わらず、目標物が少ないためスピード感覚が掴みづらいという罠があります。
ここでトップタイムを叩き出したのはミーク。まともに走ればやはり速いですね。0.6秒遅れの2番手はヌービル、1.5秒遅れの3番手はタナクでした。
トヨタ勢はラトバラが7番手タイムを出すのが精一杯。トップとは1kmあたりコンマ2秒ほどのタイム差がまだあるようです。
「最初の方は上手く走れたんだけど、終盤は良くなかったね。去年はここでクラッシュしてるから、ステージを最後まで走りきったことが無かったんだ」
SS12 20.52km
コンクリートの排水口が11箇所も道路を横切っているステージ。ロードサイドにも障害物が数多くあり、ラインを外せばたちまちクラッシュやパンクに見舞われる危険なステージでもあります。
ベストタイムはまたしてもミーク。速さがあるだけに、昨日のクラッシュが悔やまれます。
1.1秒遅れの2番手タイムはオストベルグ。
「ハンドブレーキを始め全ては機能しているんだけど、リアディフューザーが無いから高速セクションでタイムを失ってる。SS11でかなり時間を費やしたよ。このステージはツイスティだったから、それほど悪くなかった」
総合首位のエバンスは、なんとトップから14秒遅れの7番手タイム。彼もパンクに苦しめられたようです。
「長いステージでスローパンクチャーしたために、最後の方のコーナーでワイドに膨らんでしまった。(パンクの原因は)ノートをロスト(つまりどこを走っているのかわからなくなるという意味)して、リアをパンクさせてしまった」
3日目午前中を終えての総合順位は、エバンス-ヌービル-オストベルグというトップ3になっています。
SS13 20.80km
SS10のリピートステージ。トップタイムはタナクでした。
「車がきちんと機能することを願っています。ここではとても上手く動作していました。こんな素晴らしくスムーズな道は、ドライビングのためにあると言えます。私はそれを楽しみました」
タナクはオストベルグをかわして、総合3位に浮上。表彰台が見えてきました。
2.1秒遅れの2番手タイムはオジェ。上位のタイムをようやく出すことができました。
「良いステージだ。車の感じも良さそうだから、午後にはもっと良い時を過ごせるだろう」
タナクから1.8秒遅れの3番手タイムはミーク。
「午後のひとときを楽しんでるぜ!」
ラトバラはトップから5.4秒遅れの6番手タイムでしたが、車の調子は良さそうです。
「車のフィーリングは良いので、それが自信を与えてくれる。フロントにハード、リアにソフトというタイヤチョイスは上手くいったよ」
SS14 38.68km
SS11のリピートステージでは、総合4位のオストベルグがクラッシュ! 彼はスタートから4km地点で岩にヒットし、右リアサスペンションを壊してしまいました。オストベルグは修復を試みましたが、フィエスタが再び動き出すことはありませんでした。
午後のひとときを楽しんでいたミークでしたが、好事魔多し。昨日に続きまたもや横転クラッシュを演じてしまいます。彼はこの「やらかし癖」が治らないと、チャンピオンは無理そうですね……。
総合首位のエバンスも、リアディフューザーを失いペースダウン。このステージはトップから15.1秒遅れの6番手タイムに沈みます。
総合2位のヌービルとの差も、30.4秒にまで縮まってしまいました。3日目スタート時に2人の差は1分あったので、ここまでの5ステージで半減したことになります。
このステージはタナクとヌービルが同タイムでトップ。2.0秒遅れでパッドンが3番手、2.7秒遅れの4番手がオジェ、トヨタのラトバラは12.3秒遅れの5番手タイムでした。
SS15 20.52km
SS12のリピートステージ。ステージベストはヌービルが獲得しました。
「明日の戦いは厳しいものになるでしょう。でも私たちの車は、タフなコンディションでも上手く機能しているように見えますから、その恩恵を受けたいですね。良いリズムで走れていると思います。リスクがどれくらいあるかって? 様子を見てみますよ」
6.9秒遅れの2番手タイムはタナクでした。
「エルフィン(エバンス)にとっては良くないステージになりました、コンディションがラフでトリッキーでしたから。明日は特別なステージ(エル・コンドルのこと。ラリー・アルゼンチンの最難関ステージ)があり、差は30秒もありません。(優勝の)可能性はあると思いますよ」
そのエバンスは6番手タイム。ステージベストのヌービルから、このステージだけで18.9秒も遅れてしまいました。
「(明日勝つためにヌービルとの差を維持できるかという質問に対し)もちろんできるよ。2位になるためにここにやって来たわけじゃない。もしヌービルが勝利を望むなら、彼は血を流して僕と戦わなければならないだろう」
SS10でヌービルとの競り合いを制していることからもわかるように、今回のエバンスはペース的に見劣りしていません。リアディフューザーを失わなければ、大量リードで最終日に望んでいた可能性が高いのです。
勝負の分かれ目はタナクの言うように、名物ステージのエル・コンドルでしょう。今回のラリー・アルゼンチンは、最終日に2回のエル・コンドル(SS16と最終SS18)が設定されているので、ここを制するものが、2017年のアルゼンチンを制するはずです。
順位 | ドライバー/No./メーカー | 総合タイム/トップとの差 |
---|---|---|
1 | エルフィン・エバンス | 2:53.45.7 |
#3 フォード | ── | |
2 | ティエリー・ヌービル | 2:53:57.2 |
#5 ヒュンダイ | +11.5 | |
3 | オットー・タナク | 2:54.12.5 |
#2 フォード | +26.8 | |
4 | セバスチャン・オジェ | 2:54:35.6 |
#1 フォード | +49.9 | |
5 | ヤリ-マティ・ラトバラ | 2:55:10.3 |
#10 トヨタ | +1:24.6 | |
6 | ヘイデン・パッドン | 2:58:12.4 |
#4 ヒュンダイ | +4:26.7 | |
7 | ユホ・ハンニネン | 3:03:20.0 |
#11 トヨタ | +9:34.3 | |
8 | ロレンツォ・バルテッリ | 3:05:55.7 |
#37 フォード | +12:10.0 | |
9 | ダニ・ソルド | 3:07:12.5 |
#6 ヒュンダイ | +13:26.8 | |
10 | ポンタス・ティデマンド | 3:07:43.2 |
#31 シュコダ(WRC2) | +13:57.5 |
4日目(最終日)
SS16 16.32km
名物ステージのエル・コンドル。ここでのステージウィンは、総合3位につけているタナク。そして2番手タイムがヌービルでした。
総合首位のエバンスは、ステージの途中でブレーキペダルが床に底づきするトラブルを乗り越えてフィニッシュ。タナクから3.8秒遅れの3番手タイムで何とかしのぎ切りました。本人も「ミラクルだ」と語っています。
総合順位は変わらないものの、エバンスとヌービルの差は9.0秒にまで接近。残すは2ステージです。
SS17 22.64km
月面のような風景が印象的なステージ。路面はバンピーで、タイヤやサスペンションにはキツいステージでもあります。
逆転を狙うヌービルが、このステージで会心のトップタイム! 首位エバンスも2番手タイムで続いたものの、ヌービルは一挙に8.4秒も差を縮め、エバンスを完全に射程圏内としました。
「私たちにとってはとても良いステージになりました」とヌービル。「懸命にプッシュしましたし、ノートは完璧、トラクションも良かった、私には自信があったんです。ハッピーですが、パワーステージでは何が起こるかわかりません」
エバンスはさらなるトラブルに見舞われ、かなりタイトな状況で最終ステージを迎える羽目に。初優勝に黄信号が灯ってしまいました。
SS18 16.32km
エル・コンドルのリピートステージ。ステージ順位に応じて選手権ポイントが付与される、パワーステージでもあります。
優勝争うエバンスとヌービルですが、走行順によりまずはヌービルがアタック。好タイムを叩き出しますが、その後でアタックを開始したエバンスが、さらなる好タイムで最初の計測地点を通過し、ヌービルを驚かせます。
ところがエバンスは橋を渡る際に痛恨のミス! フィエスタを欄干に軽くヒットさせてしまい、一瞬ですがペースを落としてしまったのです。
結局このミスが尾を引き、エバンスはヌービルに1.3秒遅れの2番手タイムでフィニッシュ。ヌービルが0.7秒差でエバンスをかわす大逆転劇で、ラリー・アルゼンチンを制覇しました。
「十分なマージンがあったのに負けたのでガッカリしているよ」とエバンス。「今は受け入れがたいけど、僕たちはより強くなって戻ってこれると思う。僕はここで少しミスを犯した、途中で橋にぶつかってしまったんだ。たぶんそれが(ヌービルとの)差だね。金曜日を終えたときには、大きなリードがあったのに……そのことから学ぶ必要がある」
一方ヌービルは、「私は全てを捧げました。前の2つのステージでプッシュしたため、私にはベストのタイヤが残ってなかったんです。たとえ勝てなかったとしても、私たちはベストを尽くしました」
土壇場で勝利を手にしたヌービルは、ドライバーズポイントを84点に伸ばし、2位のラトバラにあと2点という所にまで迫っています。
ランキングトップのオジェは今回のラリーで4位に入ったため、ドライバーズポイントを102点と大台に乗せてきましたが、走りの精彩を欠いているのが気がかりです。
順位 | ドライバー/No./メーカー | 総合タイム/トップとの差 |
---|---|---|
1 | ティエリー・ヌービル | 3:38:10.6 |
#5 ヒュンダイ | ── | |
2 | エルフィン・エバンス | 3:38.11.3 |
#3 フォード | +0.7 | |
3 | オットー・タナク | 3:38.40.5 |
#2 フォード | +29.9 | |
4 | セバスチャン・オジェ | 3:39:35.3 |
#1 フォード | +1:24.7 | |
5 | ヤリ-マティ・ラトバラ | 3:39:58.7 |
#10 トヨタ | +1:48.1 | |
6 | ヘイデン・パッドン | 3:45:53.3 |
#4 ヒュンダイ | +7:42.7 | |
7 | ユホ・ハンニネン | 3:49:27.5 |
#11 トヨタ | +11:16.9 | |
8 | ダニ・ソルド | 3:52:54.7 |
#6 ヒュンダイ | +14:44.1 | |
9 | マッズ・オストベルグ | 3:53:21.9 |
#14 フォード | +15:11.3 | |
10 | ポンタス・ティデマンド | 3:55:42.7 |
#31 シュコダ(WRC2) | +17:32.1 |
トヨタ勢の課題
ラトバラが5位入賞を果たしたものの、アルゼンチンでは一度もステージベストを奪えなかったトヨタ勢。課題はやはりスピードでしょう。
今回上位争いをしていたマシンと比べると、ヤリスWRCは1km当たり0.2〜0.3秒くらい遅いのは明らかです。このギャップを埋めない限り、表彰台争いの常連にはなれないと思います。
とはいえ、開幕戦モンテカルロでは1kmあたり0.7〜0.8秒ほども遅かったのですから、トヨタがかなり差を縮めているのも事実です。
次のポルトガルでは、3台目のトヨタがエントリーします。データの収集効率が良くなるはずなので、開発の進捗スピードも向上するでしょう。シーズン後半に期待ですね。
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