マツダ ロードスターに暗雲!? CO2排出量規制がスポーツカーを殺す
マツダ ロードスター(海外名: MX-5)が、欧州で大幅な販売台数の減少に見舞われるかもしれません。
メーカー平均のCO2排出量の目標値を達成するために、一部グレードを廃止しなければならないためです。
Financial Timesは英国におけるMX-5の売上が、2020年に20%も減少すると予想しています。
マツダ・ロードスターと欧州のCO2排出量規制
EUのCO2排出量規制
EU(欧州連合)は、域内で自動車を販売する自動車メーカーに対して、メーカーの平均CO2排出量に規制を課しています。
自動車メーカーの平均CO2排出量は、各モデルのkmあたりCO2排出量に、それぞれの販売台数を重みづけした加重平均で算出されています。
EVやハイブリッドカーなど、燃費の良い車の販売台数が多いほど有利になる仕組みです。
トヨタが平均CO2排出量でリードしているのは、欧州で販売されるトヨタ車の60%がハイブリッドカーだからでしょう。
そのトヨタでも、2021年からのCO2排出量規制(95g/km)には対応できていません。
これはガソリン車の燃費換算で24.4km/Lという、非常に厳しい値です。
ICE(内燃機関)のみの車では、この規制値をクリアするのは不可能だと思われます。
マツダが直面する問題
マツダの平均CO2排出量は135.2g/kmとなっており、はっきり言ってかなり悪いです。
ディーゼルエンジンのSKYACTIV-DでCO2排出量を削減してきたマツダにとって、フォルクスワーゲンのディーゼル・スキャンダルに端を発する、ディーゼル車の販売不振が大きく影響しているのでしょう。
また、CX-5のようなSUVが人気なことも痛手です。
SUVは基本的に燃費が悪いため、メーカーの平均CO2排出量を悪化させる傾向があります。
トヨタのようにハイブリッドでそれを補えれば良いのですが、マツダの出遅れ感は否めません。
規制をクリアできないと多額の罰金
EUのCO2排出量規制は、ペナルティがかなり厳しく設定されています。
何しろ規制値を1g/km超えるごとに1台当たり95ユーロ(約11,583円)の罰金を課すというのですから、数万台単位で販売している自動車メーカーにとってはかなりの出費となります。
もし100万台販売している自動車メーカーが平均10g/km超過すれば、罰金額は約1,158億円です。
自動車業界が2021年に支払う罰金の総額が、3兆円を超えるのではないかとの予測もあります。
背に腹は代えられない……
罰金の支払い避けるために、各メーカーは電化に躍起です。
しかし、ラインナップの大部分をすぐに電化できるわけではありません。
そこで平均CO2排出量を悪化させるモデルの販売を取りやめることで、CO2を削減する動きがでてきています。
基準を満たさないモデルを販売して罰金を支払うよりも、単純に販売をやめた方がコストがかからないからです。
マツダがMX-5の一部グレードを廃止しようとしているのも、このような考え方によるものです。
MX-5の1.5リッターエンジン仕様は138g/kmのCO2を排出するのに対し、2.0リッター仕様は155g/kmと、マツダの平均CO2排出量(135.2g/km)よりもかなり多いので、2.0リッター仕様の販売を減らすことで、CO2も減らそうと考えているのでしょう。
このような動きは、日本にも波及するかもしれません。
日本の基準値は122g/kmとかなり緩めですが、それでもロードスターはクリアできていませんから、エンジンの更新などが必要になるでしょう。
また、欧州での販売台数が減ることで、従業員がリストラされる可能性もあります。
英国ではマツダの2020年の売上が13%減少すると予想されているようです。
もう自動車は電化せざるを得ない時代なのでしょう。
参考サイト
Mazda MX-5 facing reduced engine volume in 2020 – autoexpress.co.uk
2018年欧州CO2排出量レポート – jato.com
EV、欧州で新段階に 規制まで2年 基幹技術の外販や量販型登場 – nikkei.com
アングル:欧州自動車メーカー、排ガス規制対応は「待ったなし」 – jp.reuters.com
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