ニュルでGRヤリスが718ケイマンGT4に食らいつく

その他モータースポーツ

Toyota GR Yaris 2020 Cornering
トヨタ GRヤリス(2020年モデル)

トヨタ GRヤリスニュルブルクリンクポルシェ 718ケイマン GT4を追いかけ回す様子がYouTubeで公開されています。


コーナーの多いテクニカルな区間ではGRヤリスの方が速く、ドライバーがウインカーを出して先に行かせてくれと合図しているのですが、718ケイマンGT4のドライバーは一向に譲ろうとしません。

ちなみに3ニュルブルクリンクのラップタイムでは、718ケイマンGT4の方が速いです。
GRヤリスのタイムは8分14秒93ですが、ケイマンGT4は先代モデルでも7分42秒を記録しており、現行の718ケイマンGT4 RSにいたっては7分4秒51という圧倒的な速さを誇っています。
718ケイマンGT4については、ニュルブルクリンクにおける正式な記録は存在しないようですが、アマチュアドライバーのアップロードした動画を見る限り、7分30~40秒くらいだと思われます。

にも関わらず、なぜ718ケイマンGT4は、GRヤリスを引き離せなかったのでしょうか。


GRヤリス vs 718ケイマンGT4

スペックの比較

まず両者の性能を比較してみましょう。

スペック GRヤリス ケイマンGT4
出力(ps) 272 420
トルク(Nm) 370 430
車重(kg) 1,280 1,495 *1
0-100km/h(秒) 5.5 4.4 *2

*1 PDK仕様の場合は1,525kg

*2 PDK仕様の場合は3.9秒

車重以外は718ケイマンGT4の圧勝ですね。
価格はGRヤリス RZ"High Performance"が456万円、718ケイマンGT4が1310万円となっています。コストパフォーマンスではGRヤリスの圧勝です。

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パワートレイン構成の違い

Porsche 718 Cayman GT4 2020 Cornering
ポルシェ 718ケイマンGT4

エンジンや駆動方式に関しては、両者は対照的です。

718ケイマンGT4は、4.0リッター・水平対向6気筒ガソリン自然吸気エンジンをリアミッドに搭載する後輪駆動車であるのに対し、GRヤリスは1.6リッター・直列3気筒ガソリンターボエンジンをフロントに搭載する4WDです。

軽量ボディとターボエンジン、そして4WDという組み合わせのGRヤリスは、一旦速度が落ちても容易に元の速度域に復帰できます。
しかし自然吸気エンジンである718ケイマンGT4は、一度パワーバンドを外すと元に戻すのに時間がかかってしまいます。後輪駆動車なので、コーナリング中にアクセルを大きく開けることも躊躇われるでしょう。

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タイヤの違い

動画に登場するGRヤリスは完全なノーマルではなく、タイヤをミシュラン パイロットスポーツカップ2に履き替えていたようです。
パイロットスポーツカップ2はサーキット向けのハイグリップタイヤなので、GRヤリスの軽量ボディと相まって、高速でのコーナリングを可能にします。
動画を見ても、ややアンダーステアながらもグイグイと曲がっていくGRヤリスを確認できます。

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遅い車の存在

ニュルブルクリンクは世界一有名なサーキットであるため、多くの車が詰めかけます。
普通のセダンやSUVなどが、スポーツカーに混じって走っていることも珍しくありません。

動画を見ると、それらの遅い車に度々引っかかっています。
GRヤリスは軽量でターボ搭載ですから、速度が落ちても直ぐに復帰できますし、4WDなのでどこからでもアクセルを踏めます。ハイグリップタイヤなのでライン取りも自由自在です。
一方、718ケイマンGT4は、遅い車をなかなか抜けず苦しんでいます。重い車体に自然吸気エンジン、そして後輪駆動車という構成では、遅い車に一度引っかかると容易に速度を戻せないのでしょう。

ドライバーの腕の差もあると思いますが、結局はあらゆる状況にフレキシブルに対応できる車の方が速いのだと思います。
サーキットにおいても、ラップタイムだけで優劣はつけられないということですね。

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