トヨタ RAV4ハイブリッドの燃費は過大評価? 日産オーストラリアが批判
日産はトヨタ RAV4ハイブリッドの燃費が誇張されていると考えているようです。日産オーストラリアのプロダクトマネージャーであるAleksandar Pecanac氏は「RAV4ハイブリッドは多くの記事を見るかぎり、(オーストラリアにおける公称燃費の)4.8L/100kmには及ばない」とコメントし、トヨタが燃費の良さを誇張していると主張しています。
今回はRAV4ハイブリッドとエクストレイル e-POWERの実燃費を比較し、RAV4ハイブリッドの燃費が本当に過大評価かどうかを見極めます。
RAV4ハイブリッドの燃費は過大評価か?
エクストレイル e-POWERとRAV4ハイブリッドの燃費比較
比較するのはエクストレイル e-POWERの4WDモデル(e-4ORCE)とRAV4ハイブリッド 4WDの実燃費です。ユーザーが報告した実燃費を集計しているサイト「e燃費」によると、エクストレイル e-POWER e-4ORCEの実燃費は13.91km/Lです。
一方、RAV4ハイブリッド 4WDの実燃費は15.48km/Lとなっています。大きな差はありませんが、RAV4ハイブリッド 4WDの方が低燃費のようです。
WLTCモード燃費に対する達成率は、エクストレイル e-POWER e-4ORCEが75.6~76.4%程度。RAV4ハイブリッド 4WDは約75.1%となっています。こちらも大差ありません。
ちなみにオーストラリアの公称燃費だと、エクストレイル e-POWERが6.1L/100km(16.39km/L)、RAV4ハイブリッドが4.7L/100km(21.27km/L)と大きな差がついています。
注目すべきは、エクストレイル e-POWERの公称燃費の悪さです。WLTCモード燃費でも18.2~18.4km/Lあるのに、オーストラリアだと16.39km/Lに悪化しています。
一方、RAV4ハイブリッドの方はWLTCモード燃費(20.6km/L)に比較的近い21.27km/Lがオーストラリアでも出ています。
つまりトヨタがRAV4ハイブリッドの燃費を実際より良く見えるように宣伝しているというよりも、オーストラリアにおけるエクストレイル e-POWERの公称燃費が悪すぎるというのが真実なのでしょう。おそらくオーストラリアの燃費テストの方法に、エクストレイル e-POWERが最適化されていないのだと思います。
RAV4ハイブリッドの実燃費が公称燃費に及ばないというのは事実ですが、それはエクストレイル e-POWERも同様です。日産オーストラリアのトヨタ批判は、ちょっと勇み足だったかもしれません。
なぜエクストレイル e-POWERの方が燃費が悪いのか?
WLTCモード燃費でも実燃費でも、エクストレイル e-POWERはRAV4ハイブリッドよりも燃費が悪い、これは事実です。その原因は高速燃費にあると考えられます。
RAV4ハイブリッドは高速巡航時にエンジンで直接駆動することが可能ですが、エクストレイル e-POWERのエンジンはあくまで発電用なので、高速巡航時もモーターで走行しなければなりません。
エクストレイル e-POWERのモーターは、低速走行時の効率に優れるIPM(永久磁石式)モーターなので、高速走行は得意ではありません。EVの日産 アリアには、高速走行時の効率に優れるEESM(巻線界磁式)モーターが採用されています。
今後エクストレイル e-POWERにEESMモーターが採用されるようなことがあれば、RAV4ハイブリッドと同等の燃費になるかもしれません。
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