日産がEVで逆襲に転じる
テスラ・モデル3の登場以降、電気自動車(EV)メーカーとしては少し影が薄かった日産ですが、人気車種にEVを設定して巻き返しを図ろうとしています。
トップ画像の出典: netcarshow.com
目次
人気のクロスオーバーにEVを設定
英国AUTO CARによると、人気を博しているキャシュカイやジュークにEVのグレードを設定することで、日産はEV市場での存在感を取り戻したいと考えているそうです。
しかし現在生産されている日産のEV(つまりリーフ)は、専用プラットフォームです。逆に言うと、EV向きでないプラットフォームのジュークやエクストレイルに、EVを設定するのは至難の業であり、採算が合いません。
したがって、まずは内燃機関とEVとで共有可能なプラットフォームを開発する必要があります。
新型インプレッサ用のスバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)などは、水平対向エンジン、ハイブリッド、EVの3種類に使えるプラットフォームとして設計されています。日産が目指しているのも、おそらくSGPに近いものでしょう。
なんで専用プラットフォームじゃダメなの?
「専用」の方が格上に感じますよね? でもコスト面を考えると、専用プラットフォームにはあまりメリットがありません。販売台数が多いガソリンエンジンの車とプラットフォームを共有してこそ、EVのコストを下げ、安く販売できるのです。
次期リーフは航続距離が大幅アップ!
昨年の東京モーターショーで発表された「IDSコンセプト」が、次期リーフの雛形だと言われています。
このIDSコンセプトのバッテリー容量は、60kWhという設定です。なので次期リーフも同じくらいのバッテリー容量になるだろうと予想されています。航続距離に換算すると、500〜540kmです。
ただし次期リーフにはいくつかのバッテリーが用意されるため、500kmオーバーのグレードは最上級モデルとなります。テスラ・モデル3(航続距離345km・価格$35,000)以上の航続距離となるわけですから、400万円前後の出費は覚悟しなければならないでしょう。次期リーフの登場は、2018年の予定です。
日産が小型のEVを開発中
リーフより小型のEVの開発を、日産のゼロ・エミッション・ビジネス・ユニットのディレクターであるギャレス・ダンスモア氏が認めています。
ヨーロッパではルノーのEV・ZOEの販売が好調です。
ZOEとリーフは、VWポロとゴルフくらいのサイズ差があります。日産の小型EVというのは、おそらくルノーZOEの日産版になるはずです。
サイズ | 日産・リーフ | ルノー・ZOE |
---|---|---|
全長(mm) | 4445 | 4084 |
全幅(mm) | 1770 | 1730 |
全高(mm) | 1550 | 1562 |
ホイールベース(mm) | 2700 | 2588 |
航続距離も見てみましょう。
車種 | 航続距離(km) |
---|---|
日産リーフ(30kWh) | 248 |
日産リーフ(24kWh) | 198 |
ルノーZOE(22kWh) | 238 |
航続距離はいずれもNEDC Driving Rangeの数値を使用。
小型軽量なZOEは電費に優れています。バッテリー容量はZOEが一番小さいのに、航続距離はリーフの24kWhよりも長いです。リーフ30kWhとの差もわずかですね。
価格もZOEの方が安いので、販売が好調なのも頷けます。日産としてはZOEのような小型EVを用意した上で、リーフをもう少しプレミアムなモデルに移行させたいのでしょう。安価な小型EVを買った若者がもう少し大きな車へと乗り換えるときに、日産のEVでステップアップできれば、顧客を囲い込むことができるからです。
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