2016年 SUPER GT 第4戦 SUGO GT500クラス決勝を振り返る

SUPER GT,モータースポーツ


マモノさん、こんにちは

ポケモンGOブームに嫉妬したのか、今年のSUGOはいつにも増してマモノさんが大活躍です。勝つとは誰も思っていなかったマシンが思いもよらぬ方法で勝っただけでなく、思わぬ形でレースが終わるなど、最初から最後まで波乱の連続となりました。

トップ画像の出典: car.watch.impress.co.jp


目次

1.予選
2.決勝序盤
3.決勝中盤
4.決勝終盤

予選

予選ではGT-R勢が全車Q1で脱落するという波乱が起こりました。#1 MOTUL AUTECH GT-Rがクラッシュしフロントを大破、#1を回収するための赤旗で他のGT-R勢がアタックするタイミングを逃してしまったからです。

ポールポジションを獲得したのは、#6 WAKO’S 4CR RC Fを駆る大嶋和也選手。彼にとっては2014年開幕戦岡山以来の、そしてチーム・ルマンの脇阪寿一監督にとっては監督として初めての、記念すべきポールポジションとなりました。

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決勝序盤

決勝日は朝から雨が降ったり止んだりのコンディションでしたが、決勝スタート時には雨は止んでいて、路面もほぼドライというコンディションでした。

しかしコース上には若干のウェットパッチ(まだらに濡れている部分)が残っていましたし、路面温度が20℃と、真夏とは思えないほど低かったため、各チームがタイヤチョイスに悩む状況でもありました。

#12 CALSONIC IMPUL GT-Rは、プロペラシャフトを破損しグリッドに付けず。メカニックの懸命な作業によって20分で修理を完了しましたが、ピットスタートに回されてしまいます。


予選でクラッシュした#1は、フロントセクションを丸々交換するという荒業でなんとか修復を完了。無事決勝のグリッドに付いています。

スタート

最近のGTの通例どおり、スタートでの混乱はありませんでした。


#6 WAKO’S 4CR RC Fを先頭に、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT#38 ZENT CERUMO RC Fという予選順位どおりのオーダーで、1コーナーをクリアしていきます。

1周目のヘアピンでは、#37 KeePer TOM’S RC F#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTの隙を突きオーバーテイク! 5位に順位を上げます。


2周目は何事も無く終了。しかし3周目には、早くもSUGOのマモノが牙を向きます。ハイポイントコーナーで#8 ARTA NSX CONCEPT-GT野尻智紀選手が、#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R柳田真孝選手にサイドバイサイドのバトルを仕掛けましたが、濡れた縁石に乗った#8が止まりきれず、2台は接触してしまったのです。


#24はなんとかグラベル(未舗装部分のこと)から脱出できたものの、#8は土の上でスピンターンしようとして失敗。動けなくなり大きく順位を落としてしまいました。

#8を脱出させるためにFROが出動したため、5周目のハイポイント付近はイエローフラッグが振られ、GT500といえども周回遅れのGT300を抜くことができません。1位の#6がその大渋滞に引っかかった隙に、2位の#17が一気に接近、テールトゥノーズの争いに持ち込みました。

#17 小暮卓史選手がホームストレートでスリップストリームに入ったため、#6 アンドレア・カルダレッリ選手は引くに引けない状態で1コーナーへ。しかしGT300クラスの#22 RQ’s SLS AMG GT3が、まるで#6のラインを塞ぐかのような動きを見せ、2台は接触。#6は再スタートこそきれたものの、13位まで落ちてしまいました。


#6 WAKO’Sは痛恨の接触

これで#17がトップに立ち、#38がそれを追う展開となります。この2台はしばらく接近戦を演じていましたが、16周目の馬の背で#38 石浦宏明選手がオーバーテイクを仕掛けます。しかし#17がドアを閉めてしまい、行き場を無くした#38と接触。またしても接触からのスピンで、トップが入れ替わることとなりました。


この時点で2位は#37、 3位には#39 DENSO KOBELCO SARD RC Fというオーダーです。

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決勝中盤

トップ争いが一段落したかと思えば、今度は#19 WedsSport ADVAN RC F関口雄飛選手が、猛烈な勢いで上位グループに追いついてきました。

#19は予選14番手スタートでしたが、19周目には#64 EPSON NSX CONCEPT-GTをレインボーコーナーからの立ち上がりでオーバーテイクし、5位に浮上します。


「スピンするほど強くは押していない」というやつ

その前では#39 ヘイキ・コバライネン選手が、20周目の馬の背で#37をアウト側から豪快にオーバーテイク! やはり元F1ドライバーの肩書は伊達ではありません。


しかも2位に浮上した彼は、瞬く間に#38を射程圏内に捉え、23周目のホームストレートで抜き去ってしまいました。


その間に#19#15 オリバー・ターベイを抜き4位に、24周目にはペースの上がらない#37を料理して3位に、25周目にはハイポイントコーナーで#38と接触しながらも前に出て、ついに2位へと浮上します。



#19が押し出す形になったがお咎め無し

このまま#39#19のトップ争いになるかと思われた矢先、GT300クラスの#5 マッハ車検 MC86が最終コーナーでコースアウト、車両回収のためセーフティーカー(SC)が導入され、勝負はお預けになってしまいました。


31周目にリスタート。今季から改正されたレギュレーションにより、SCラン中はピットレーンクローズドとなっていたため、SC明けにどのチームがピットインするかに注目が集まっていましたが、上位陣はステイアウトし、#24#15#46#100の4台がピットインしただけでした。

戦闘再開

リスタートしてしばらくの間は、#39#19を引き離しているように見えました。しかし35周目のホームストレートではテールトゥノーズとなり、トップ争いの火蓋が再び切って落とされます。


イン側を絶対に開けない#39

イケイケの#19 関口雄飛選手が攻め立てますが、#39 ヘイキ・コバライネン選手が露骨なブロックラインでディフェンスするため、オーバーテイクには至りません。

抜きあぐねた関口選手は、41周目の馬の背でアウトから仕掛けますが、2台は軽く接触。#19はアウト側の汚れた路面に押し出され、#39とのギャップが開いてしまいました。


軽い接触があったために、#19はレコードラインから外れてしまう。

ダストやタイヤカスを拾い、走りが精彩を欠くようになると、#19は不利を悟ったのか、44周終わりにピットへ。タイヤ4本交換と燃料給油を済ませ、関口選手から国本雄資選手に交代します。

ところが#19はピット作業に手間取ったため、先にピットを済ませていた#38#6に先行を許し、順位を落としてしまいました。

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決勝終盤

46周終わりに#39がピットインし、全車がピット作業を完了します。

すると意外な事実が明らかになりました。なんと#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rが、トップに浮上していたのです。


#24はタイヤ無交換という奇策に出て、タイヤ交換時間のロスを回避。温まったタイヤでピットアウトした#24 佐々木大樹選手はアウトラップもハイペースでこなし、ジャンプアップを果たしていたのです。

しかし後方に迫る#39 平手晃平選手は、タイヤ4本を交換しています。そしてニュータイヤのグリップの良さを活かし、52周目には#24にプレッシャーをかけるほどに接近していました。


ところが#39はコーナーでこそ#24に迫るものの、直線では引き離されてしまい、なかなか前に出ることができません。

J SPORTSのコメンタリー陣は、ADVANタイヤの走行抵抗の小ささが、#24の直線スピードが速い理由だと説明していましたが、それだと#19#39を抜けなかった事実を上手く説明できません。やはりGT-Rの方がパワーがあるのだと思います。

幕切れ

レースが残り10周にさしかかった頃には、真夏の太陽が雲間から顔を覗かせていました。路面温度も24℃まで上昇し、タイヤ無交換の#24には厳しいコンディションです。

#39#24に手こずっている間に、#38 立川祐路選手が追いつき、残り10周でトップ争いが3つ巴となります。

3台の中でもっともペースが良いのは#38でした。路面温度が上昇したことで、彼らが履くタイヤの温度レンジに合ってきたのでしょう。

後方から迫り来る#38に焦ったのか、#39はヘアピン手前で#24に接触。カナードを壊してしまいます。


74周目の最終コーナーで、#24がGT300のマシンに詰まったため、トップ集団はテールトゥノーズでホームストレートを通過。2位の#39はインサイドを抑えますが、#38は1コーナーアウト側から圧巻のレイトブレーキングを披露し、トップの#24に並びかける勢いで2位に浮上しました。



ところが最終コーナーでGT300クラスの#18 UPGARAGE BANDOHがクラッシュしたため直後に赤旗が出され、レースはそのまま終了してしまいます。


レース結果は74周目の順位で確定したため、立川選手のオーバーテイクは幻となってしまいました。

優勝は#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R近藤真彦監督の作戦が見事に的中した形です。次戦の富士には昨年の優勝チームとして、連覇をかけて臨むことになります。ADVANタイヤの進化度合いからすると、次のレースもかなり期待できそうです。

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